俳優・小橋賢児が映画監督デビュー! 「自分が感じた“リアル”を人に伝えたい」
関西ウォーカー
―交通事故で下半身と左腕の自由を失った男性、通称CAPと、作家をはじめ出版業、経営など様々な分野で活躍する高橋歩。2人の出会いとCAPの家族を含む総勢11名でアメリカ大陸4200キロの旅を捉えたドキュメンタリー『DON’T STOP!』。本作で映画監督デビューを果たした俳優の小橋賢児が、本作のキャンペーンのために来阪。映画の見どころと俳優休業中のエピソードを語ってくれた。
Q:小橋監督は俳優としてご活躍されてきましたが、いつごろから映像作品を作られるようになったんですか?
8歳から芸能界にいまして、10代の忙しい時期から20代になる間に、いろいろと自分でやりたいことが増えてきたんです。20代のときに、漠然と自分の30代をイメージしたんですが、このまま俳優を続けても、それは本当の幸せではないのでは…と考えたら、居ても立ってもいられなくなったんです。それで26歳の時にネパールに行ってみたり、俳優の活動をお休みさせてもらって英語の勉強のために、アメリカに行ったりしていました。休業中に、いろんな国で生活したり、芸能界では出会えなかった人たちと交流することで、自分が感じた“リアル”を人に伝えたくなって、旅の中で撮影した映像を編集して、短編作品を作るようになったんですよ。映像の編集も独学で、編集ソフトの説明書を読んだり、無料講習を受けに行ったりして、攻略本を見ながらゲームをしているような感覚で作品を作り続けたんですよね。完成した作品を友達に見てもらったりしているうちに、知り合いのファッションブランドのPVですとか、イベント用の映像とか、映像制作の依頼をもらえるようになっていったんですよね。
Q:そこから今回の作品を監督した経緯を教えてください
2年前に今回の映画にも登場するユウイチさんと出会って、彼から高橋歩さんの話は聞いていたんです。歩さんがトークイベント出演のために帰国するということで、そのイベント終了後の飲み会で、はじめて歩さんと対面しました。その時に、彼から「今度、車椅子の不良オヤジとアメリカを旅するんだよね」という話を聞いたんです。普通、車椅子の人の話をするときはどこか、悲壮感があるじゃないですか。でも歩さんはそれを気軽に話していて。僕はそのポップさにすごくワクワクして、反射的に歩さんに「その旅の映画を撮らせてください!」って言ったんですよね。
Q:映画の主人公でもある人物で、事故が原因で車椅子生活を送るCAPさんですが、アメリカへの旅に出る前に、監督はCAPさんのご自宅で1ヶ月の共同生活をされていたそうですね。
映画の撮影許可をもらうために、北海道にいるCAPさんに会いに行ったんですよ。CAPさんと会うのは初めてですし、かなり緊張しながら今回の旅を映画に撮らせてほしいと伝えると、一瞬の間があって。「あっマズいかなぁ…」と思ったらCAPさんが「オッケーオッケー! I am HERO!!」って言って快く了承してくれて(笑)。とはいえ、CAPさんがかなり照れ屋で、なかなか本音を語ってくれない人なんですよね。10日間の旅だけで、僕が突っ込んでも、CAPさんの本音は撮れないなと思ったので、お互いの距離を縮めるために共同生活をさせてもらいました。
Q:映画では年齢や職業もバラバラな男女11人という大所帯での旅が描かれていますが、旅に参加した人々のむき出しになる感情も赤裸々に描かれていますね。
アメリカを10日間で移動しようとすると、昼はひたすら走り続けるしかないんですよね。だから意外と昼は何も起こらなくて。でも走っている間に、車の中で同乗者と話したり、景色を見ながら感情が揺さぶられてくるわけですよ。夜になるとその感情があらわになるんですよね。だから思っても見なかったものがたくさん撮れましたね。
Q:CAPさんの娘と歩さんが口論になったり、旅に同行したスチールカメラマンの方がCAPさんの前で号泣されたりと、普通なら人に見られたくない、それぞれの本音の部分が映像に出ていますね。
人間って結局、感情的になった瞬間は恥ずかしくても、それがあるからこそ、成長の旅になっていると思うんですよね。そこを包み隠さず映像にすることにより、映画に映っている人の存在を借りて、映画を見てくださった方の助けになることもあると信じています。
Q:本作の公開を前にした今、次回作の構想はありますか?
映画監督になりたくてテーマを探していたのではなく、目の前にテーマがあって、表現する方法がたまたま今回、映画だったということなんです。いま、自分の作品を世に広めていく作業の段階ですから、子どもが生まれる前に、次の子どものことはなかなか考えられないですね。
Q:俳優業に関してはいかがですか?
それも特に決めていないんですよ。オファーをいただいて、タイミングが合えばぜひやりたいとは思いますね。仮に“俳優”という肩書きになると、俳優として仕事をしていかなくちゃいけないのが嫌だなとは感じますね。最近はクリエイティブな行為や作品を通じて、人々に“気付きの場”を提供したいということを強く思っていて。それに沿ってタイミングもあって、僕自身がワクワクできるものであれば、「何でもやります!」という気持ちですね。
<小橋賢児監督 初日舞台挨拶>
●日にち:9/15(土)
●時間:12:30の回・上映終了後
●会場:テアトル梅田
※詳細はテアトル梅田(TEL06-6359-1080)にお問合せください
【取材・文=関西ウォーカー編集部・鈴木大志】
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