WEB連載【GEAR'S VOICE Vol.14】ノンバーバルパフォーマンス「ギア-GEAR-」劇場周辺散策@1928ビル

関西ウォーカー

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秋の観光でにぎわう京都の街で絶賛公演中のノンバーバルパフォーマンス「ギア-GEAR-」の連載コラム第14回目(毎週木曜日更新)。

今回は制作スタッフの大名(だいみょう)が、「ギア」公演会場である1928ビルをご紹介します。

「こんにちは、大名です。もうすぐ京都は観光シーズンに突入です!「ギア-GEAR-」の公演会場付近には素敵な近代建築がたくさん残っています。ギア公演へお越しの際は、是非近隣の建物も散策してみて下さい。と言うことで、今回は「ギア-GEAR-」の公演会場である1928ビルをご紹介させて頂きます」

1928ビルの面する「三条通」は、東海道の終着地点「三条大橋」のある、京都で最も重要な通りであり、明治大正期この界隈には金融機関などの堅牢な建造物が数多く建てられました。そして昭和への時代の移り変わりと共に、御池通、四条通、烏丸通などは道路の拡張工事をされましたが、重要な建造物の多い「三条通」はその対象から除外され、祇園祭においても、道幅の狭さと商店街のアーケード化などから山鉾巡行の経路が「三条通」から一筋北の「御池通」へと変更されました。以降はオフィス街としての側面を担ってきましたが、時代の経過と共に多くの近代建築が老朽化により補修や取り壊しを余儀なくされました。そんな最中、2000年頃より「三条通」のまちづくりが見直され始め、界隈には商業施設が徐々に増え、近代建築の多くが用途を変更し、新たな街の機能として甦りました。こうして「三条通」は、近代建築竣工当時のスケール感と現代のニーズが合致した「人が歩く街」へと進化を遂げています。

「1928ビル」は、昭和3年(1928年)武田五一氏の設計により、大阪毎日新聞社京都支局ビルとして建築されました。毎日新聞の社章をモチーフとしたバルコニーの形状や玄関左右のランプカバーのデザイン等に、アール・デコの影響が認められ、意匠史の上からも注目に値する建築物として、京都市登録有形文化財に登録されています。

歴史的な建造物が次々と姿を消していく中で、当ビルも一時は老朽化による解体も心配されましたが、建築家・若林広幸氏が買取り、耐震壁を補強するなどして保存されることになりました。そして現在、80年を経た今も建築当時の姿をそのままに残す当ビルは、時間の堆積と共に、独特の文化的雰囲気を醸し出しています。

中でもアーチ型形状をもつ3階のホールは、ふるくより演劇公演や講演会など、広く市民に利用され親しまれて参りました。1999年、このスペースが、現代の多様なニーズに対応すべく新しい設備を加え、「アートコンプレックス1928」となり,さらに2012年4月からはノンバーバルパフォーマンス「ギア-GEAR-」の公演会場として、いまに生きる近代建築のホールとして活躍しています。

地下にあるカフェアンデパンダンも、ビルの持っているポテンシャルを活用した雰囲気のあるお店で、一説によると、戦後の時期に進駐軍の集まるバーとして使われた可能性もあるそうで、若い世代を中心に人気のあるカフェの1つです。

1階にある同時代ギャラリーでは週代わりで現代のアーティストによる作品展が行われたり、ビルの南側にあるラジオカフェではコミュニティーFMの公開収録が行われるなど、ビル全体が新聞社時代に続き、文化を街に配信し続けるビルとして生き続けています。

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