【その1：3/29(土)・30(日)上演！】満島真之介が、役者デビューを飾った傑作舞台「おそるべき親たち」に出演。役者＆作品についてロングインタビューを敢行！

今、注目を浴びる若手実力派・満島真之介が、ジャン・コクトーの傑作舞台「おそるべき親たち」のPRに来阪した。作品は、あるブルジョワ家族を描いた芝居。息子を溺愛する母は、息子に恋人が出来たと知って怒るが、実はその恋人は父の愛人で…。隣の家を覗き見するような濃密な室内劇は、喜劇性を織り込みながら、衝撃の結末へと向かう。共演は、佐藤オリエ、中嶋朋子、中嶋しゅう、麻実れい。圧倒的な存在感を誇る出演者5名での芝居だ。2010年に東京で上演し、演出・熊林弘高は毎日芸術賞千田是也賞、麻実は第18回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。客席が三方を囲むという特殊な舞台で役者デビューしたのが満島真之介。役者になったきっかけから2010年、そして3年の活躍を経て臨む『おそるべき親たち』。現在に至る思いを聞いた、ロングインタビュー。

Q：すごい舞台、すごい共演者とのデビューでしたね？

「はい、すごいっていうのが、時間がたってからわかりました（笑）。役者として表に出るのが、この舞台が初めてで、2010年のこの作品への出演はボクのすべてのデビューです。当時は、すごさをまったくわかりませんでした。周りからは、すごいってずっと言われていたんですけど…。舞台もそんなに観たことがなかったし、出演者ではテレビで見ていた中嶋朋子さんを知っていただけで、あとは佐藤オリエさんの名前ぐらい。でも、逆に知らなかった分、まっすぐに飛び込めたんだと思います」

Q：もともと役者志望だったんですか？

「いいえ、表に出ることはまったく興味はなかったんですよ。ボクは18才から保育園の先生をしていました。子どもたちのその瞬間しかない身体や表情、感情をドキュメンタリーとして撮りたくなって、映画の裏方の助監督になったんです。助監督時代から、いろんな事務所に『役者をやらないか』と声を掛けていただいていましたが、すべてお断りしていました。その後、自転車で日本一周の旅に出ました。200日間、7か月。その旅の途中、ある時、太陽を見ていたら急に身体の血が騒ぎ出して、何か身体で表現したいっていう衝動が生まれて。その勢いのまま『事務所に入ります！』と電話したんです。帰京してすぐ、自分の身体のことを知りたいと思い、初めてワークショップに参加しました。そこで台本を読んでくれと言われ初めて台本を読みました。その時いらしたのが演出の熊林さん。あれよあれよという間に、最初の作品が『おそるべき親たち』に決まったんです(笑)。実はずっと長くミシェル役を探していたんだと、後で聞きました」

Q：へぇ…そこから初舞台、どうでしたか？

「最初は緊張はするんですけど、お客さんがいようがいまいが、4人との戦いだったし、それよりも自分との戦いでした。4人の方とどれだけぶつかれるか、どれだけ自分の思ってることを全部投げれるか。その事ばかり考えていました。稽古や読み合わせの中で信頼関係が出来ていたので、ボクの何も知らないまっすぐなパワーと、この4人のみなさんが持つ今まで経験してきた大きなパワーが、化学反応を起こしたんだろうと思います。ボク自身は芝居の事は何も知らなかったんですけど、この方たちの愛情を素直に感じていました。だから真実として、愛す、怒るという感情が舞台上に出たんじゃないかなって。怒ったり泣いたり笑ったり、普段ボクは感情を激しく全面に出すことがなかったので、今まで出せなかった感情が頭よりも先に身体が全部吐き出していくので、どんどんどんどん…今までに感じた事の無い感覚で溢れていたんです。だから毎日家に帰ってから、『何やってたんだオレ…』と大泣きしてました（笑）」

※【その2】に続く

【取材・文＝ドルフィンコミュニケーション】