元トップスター杜けあき×湖月わたる 宝塚100周年への思いを語る
東京ウォーカー
ことし創立100周年を迎えた宝塚歌劇団。さまざまな記念イベントが行なわれるなかで、宝塚の歴史を彩ってきた元トップスターたちが一堂に会す夢の舞台「セレブレーション100!宝塚~この愛よ永遠に~」が、5/18~6/8まで東京・青山劇場で、また6/24~6/30まで大阪・梅田芸術劇場にて上演。100年もの間ファンに愛されつづけてきた宝塚の魅力、そしてスターたちの絆について、この舞台に出演する元雪組トップスターの杜けあきさん、そして元星組トップスターの湖月わたるさんに話を聞いた。
――いま改めて宝塚歌劇団の魅力は、どう感じていますか?
杜「100周年の記念式典に出させていただき、現役の皆さんの舞台も拝見して、改めて感じたのは、若くて綺麗な女性たちだけの劇団ということで、舞台の上の空気が全然違うなということですね」
湖月「本当に華やかなんですよね!」
杜「そして、上演中の3時間だけは、お客さまが現実を忘れて違う世界に入っていける。あそこまで現実逃避できる舞台は、なかなかないですからね」
湖月「100周年ということで、100人のラインダンスもあったんですけど、ものすごく揃っていて。これぞ宝塚。まさに集団芸術だなと思いました。日本が世界に誇れる劇団だと思います」
――宝塚時代を振り返り、一番の思い出は?
湖月「いろいろありますが、実は卒業(退団)の日が一番印象深いんですね。ファンの方も、組の皆さんも、スタッフの方も、退団していく者をここまで幸せに送り出してくれる世界は、ほんとにないと思います」
杜「寂しいんだけど、清々しいんですよね」
湖月「本当に幸せな宝塚生活でした。杜さんはいかがですか?」
杜「私も、思い出はありすぎて。でも、実は振り返って浮かんでくるのは、みんなでバカ騒ぎして遊んだり、宴会したことなの。やっぱり、宝塚は“仲間”なのよね。稽古は大変だったけど、その後みんなで朝まで話したなとか、踊りまくったなとか。そんなことばっかり思い出すの。ほんとに楽しかった!」
湖月「家族みたいな感じでもありますね」
杜「宝塚は上下関係がとても厳しいけど、でも、仲間としての絆は強いよね。下級生からトップにいたるまで、その立場、その立場での経験が、人間形成にすごく役立ってる気がする」
湖月「そして、退団してからも、その絆は続いていて」
杜「そう、私は退団してすぐの公演で、浜木綿子さんとご一緒させていただいたときに、浜さんが『宝塚での舞台見たわよ』って言ってくださって。浜さんは、私の母よりも年上の大先輩なんだけども『同じ環境で同じことをしてきた仲間』って仰ってくださったのが、とても嬉しかった」
湖月「私も、退団した直後の公演で、杜さんにお世話になって…」
杜「もう男役じゃないのに、ミニスカートはいて膝広げてたりするから『わたる!足、足!』ってね(笑)。みんなが通ってきた道だから(笑)」
湖月「いまでも、すごく感謝してるんです」
――宝塚歌劇団の未来については、どうあってほしいと思われますか?
杜「変わらずに、というのが一番。あの世界だけは、変わらずにいてほしい。私思うのだけど、宝塚の生徒が持つ“志”って“武士道”に通じるものがあるような気がするの。“清く正しく美しく”の教えを基本に、みんなが努力していくという潔い志」
湖月「ほんとにそうですよね。作風などは時代とともに変わっていく部分も確かにあるけれども、でも宝塚にずっと続いてきた精神、志は、変わらないでいてほしいと思います」
杜「それさえ失わなければ、宝塚はずっと続いていくだろうなって。200周年は、天国から祝いましょう!(笑)」
湖月「そうですね!(笑)」
――各世代のトップスターが再集結、多くの人に愛された作品の曲を披露していく「セレブレーション100!宝塚」。お二人は、この舞台の見どころをどう感じていますか?
杜「みんな、宝塚から外の世界に出て、いろんな経験をしてもう一度集まっているのが、今回の舞台。男役さんだった方も、女優として女性を演じたり、私生活でもお母さんになったりして。いろんな人生経験が、またこうやって舞台に立ったときに、厚みとして出てきているのが、素晴らしいんですね。私も、まだまだ上級生に学ぶことがたくさんあります」
湖月「杜さんも、1曲歌われるだけで、その作品の世界、背景がバーッと見えてくるんですよね。1曲で、その作品を見せる力というのは、さすがに上級生の皆さんは素晴らしくて。私も、今回、じっくり勉強させてもらおうと思っているんです」
杜「わたるより下級生の子は、わたるに同じことを感じてるのよ。それが、宝塚よ」
湖月「卒業生として、宝塚の作品の曲を歌わせていただく責任を感じながら頑張りたいと思います」
杜「そう、どの曲も、宝塚の歴史の大切なひとつだからね。出演する誰もが、代表作を持っているから、どのシーンもすべて見ごたえがあると思います。たくさんのスターさんが出演されて、これでもかこれでもかと、名作の主題歌をメドレーでお聞きいただけるので」
湖月「以前から見てくださっていた方には、その時代を思い出して、懐かしんでいただけると思います。また歌あり、ダンスあり、トークありで、宝塚の紹介のようなショーでもありますから、まだ宝塚を見たことがないという方にも楽しんでいただけるんじゃないでしょうか」
杜「いままでご覧になれなかった方や、敬遠されていた方も、この機会に足をお運びいただけたらと思います」
杜・湖月「そして、宝塚に興味を持っていただけたら、次はぜひ本物の宝塚歌劇も、ご覧になってみてください!」
多くのファンを、長きにわたって魅了しつづけている宝塚歌劇。創設時は、兵庫県宝塚市にある温泉施設を盛り上げるために作られた、少女たちだけで構成されたレビュー集団だった。それが、100年たった現在、日本が世界に誇る劇団へと成長した。その栄光の歴史を支えてきたトップスターたちが一堂に会する「セレブレーション100!宝塚」は、貴重な作品でもあり、見応えたっぷり! 今や日本のエンターテイメントを語るには欠かせない宝塚。ファンの人はもちろんのこと、まだ宝塚未体験の人は、この機会にぜひ、夢の舞台に浸ってみよう。
(取材・文=市原咲絵)
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