【WEB連載:はーこのSTAGEプラスVol.9】観劇ルポ!劇団☆新感線『五右衛門vs轟天』おバカ系でベストな舞台

関西ウォーカー

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ネタバレ必至!

関西発の劇団☆新感線の『五右衛門vs轟天』、観て来ました。「劇団35周年オールスターチャンピオンまつり」にふさわしく、あまりにおもしろかったので観劇ルポ書きます。舞台は、新感線の2枚看板、古田新太と橋本じゅんが、石川五右衛門・剣轟天というそれぞれのハマリ役でガチンコ勝負する、おバカ系の“ネタもの”。“ネタもの”なので、ネタバレさせずに、おもしろさを伝えたい…。これ、けっこう大変ですけど!

物語は、「轟天がタイムスリップして、五右衛門と会ってドタバタする話。内容はない(笑)」と、前に会見で演出・いのうえひでのりは言っていましたが、その通りでした。

時は現代。Dr.チェンバレン(粟根まこと)率いる悪の一味ブラックゴーモンが、地球規模で暗躍中。その悪業(?)に手を焼くインターポール(国際警察)は、彼らが石川五右衛門(古田新太)のDNAを持つことを発見。たまたま彼らの縄張りを荒らしていた剣轟天(橋本じゅん)は、ブラックゴーモン撲滅のミッションを受け、スーパーインターポールのアンドリュー宝田(賀来賢人)と共に、400年前へタイムトリップすることに。

ここらへんまでなら許される?よね。

えっと、新感線は初めてという方に。キャラを知らなくても大丈夫ですから。一応、古田の言葉を借りれば「轟天はバカで変態キャラ。五右衛門は賢くて、スーパーわき役」、こんなもんでOK。で、これまで“いのうえ歌舞伎”は観たことがある、という方。ま~ったく違う舞台ですから。おバカ満載のネタが次々登場、体を張ったギャグとアクションがウリなんです。こちらの方が、“いのうえ歌舞伎”より、新感線の根っこだと思います。だからこそ35周年記念のおまつりで、コレやるぐらいなわけで。

要は、どれだけ一緒に、このおバカを楽しめるか、です。いえ、根っからの新感線ファンが全員おバカとは言ってません、念のため。

その“ネタもの”に、生バンドも入る”音モノ“が合体したのが今回の舞台。もう、最初っからド派手におバカ全開です。なんといっても10年ぶりの轟天に、登場から大拍手で迎えられる橋本じゅん。これまでに五右衛門シリーズほかの作品で強烈な印象を残したキャラたちが、ほぼ全員お目見え。知ってる人は、はい、そのイメージ通りです。再登場なので芝居をもっと掘り下げている、わけではありません。

1幕は、ほぼ登場人物紹介的。松雪泰子の真砂のお竜、ばってん不知火の池田成志、マローネ・ド・アバンギャルドの高田聖子…。うれしくなっちゃう!良く知る映画などの音楽やキャラのパロディが散りばめられ、笑ってて気づいたら、聖子さんの登場は、開演から1時間も経ってた。賀来賢人さん、ありがとう、初参加でこんなに頑張ってくれて。準劇団員、決定と思う。そして、中谷さとみさん。森のシーンで、え?誰!?という今回の注目株です。

それから、成志さんね。1幕では、轟天と五右衛門を越えるか、ぐらいのパワーで目立ちまくり。初日からこんなに飛ばして、東京まで持つのか!?と心配になり、休憩時間中に見つけたいのうえさんに聞くと「大丈夫、大丈夫」と笑ってたから、大丈夫なんでしょう。マジ~?

あ、今回は、ばってん不知火の応援グッズ付きです。座席に1人1個ずつあり、開演前に使い方説明があるので早めに席に着きましょう。2幕でも使うシーンがあり、お客さんたちが焦ってグッズを探してる風景がおかしかった。あ、私もですけどね。注意を。

2幕の轟天は「今回は体に気を付けるって言ったよね!」と叫びたくなるほど、強烈に轟天です。そして2幕の内容は…言えません。ほんとに言えません。そのアイデアが、その見せ方が、びっくりするほど、おバカです。しかも、キン○○とか連発やし…。3D映像にLED照明…とデジタル技術を駆使しながら、(無駄な?)贅沢にもアナログのおもしろさが効果的に。音楽も大音量のロックから、楽曲のアレンジまでも笑わせる。タイトル後にワンシーン用意されている映画のように、今回は最後の最後まで劇場を出ないように。上演時間3時間20分(休憩含む)。あっと言う間です。このまま終わらんといて! と思ったほど、楽しかった。

帰り道。「やりきったって感じ!」「満足したわ~!」と、みんな口々に言いながら、劇場を出ても笑ってる。関西人を大笑いさせ、1万円を超える料金を払ってでも満足と言わせる。35年間、新感線を観て来た私が言います。これまでの“おバカ系”で史上最高の出来、と。

【取材・文=演劇ライター・はーこ】

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