イスラム教徒が集う!ヤシオスタン食堂の“イード”とは?
東京ウォーカー
埼玉県八潮市には多くのパキスタン人が暮らす「ヤシオスタン」と呼ばれる地域コミュニティが形成されており、市役所の周りには彼らの食文化を支えるレストランも数多く存在する。パキスタン直輸入のスパイスをふんだんに使い、同国のレシピに忠実な“本国人仕様”のメニューが味わえるとあって、多くの日本人エスニック料理ファンも食の巡礼に訪れている。
そんなヤシオスタン食堂の一つ、カラチの空で7月17日からの3日間、特別料理が楽しめるというので取材に出かけた。

この日用意された料理は、イスラム教徒の断食月、ラマダンの終わりを祝う「イード・アル=フィトル(イード)」のための料理で、貴重な食材を使って手間ひまかけて作られた贅沢な10品が主役となっている。
店主のザヒット・ジャベイドさん(日本語ペラペラ!)のおすすめは、羊の脚の関節を蒸し上げた「マトンジョイントスチーム」だとのこと。だが、普段より早い朝8時の開店から大勢が駆けつけたため惜しくも完売。そこでマトン好きなら!ということで選んでもらった「マトンクンナ」を注文した。

「マトンクンナ」は羊のモモの筋肉だけを切り出して各種スパイスで煮込んだ料理で、「マトンジョイントスチーム」と合わせて、50本もの羊の脚をイードのために手配したのだという。
10分ほどで小鍋に盛られた「マトンクンナ」がテーブルに運ばれてきた。
ゴロっとしたぶつ切りマトンをひと口ほおばると、筋肉特有の繊維の歯ごたえが一瞬するものの、パサつきのないほろりとした柔らかさでスイスイ食べ進めることができる。ずいぶん長時間煮込まれているようだが、肉の味わいがしっかりと残っており、フレッシュなスパイスとのバランスが絶妙だ。
「イスラムの決まりはイスラム教徒が守ればいい。日本人に戒律を押し付けることはない」
全粒粉を使った「ロティ」と「マトンクンナ」を堪能している間も、次々にパキスタン人がやってきて、知り合いを見つけるたびに握手や抱擁をしてイードを祝っている。その隣のテーブルでは日本人のグループも特別料理を楽しんでおり、店内は終始和やかなムードだった。
スパイスたっぷりの貴重な料理をお腹いっぱい食べ、フィンガーティーで一息つくと、これからやってくる真夏の過酷な暑さにも耐えられそうな気がするから不思議なものだ。
イードは我々日本人の多くにとって馴染みの浅い風習だが、「イスラムの決まりはイスラム教徒が守ればいいこと。日本人に戒律を押し付けることは決してありません」とジャベイドさんが笑うように、難しいことは抜きで特別な夜を体感することができた。【東京ウォーカー/取材・文=杉山元洋】
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