フィギュアスケート・東京ブロック大会レポート3 【ノービスA女子】

東京ウォーカー(全国版)

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一躍、全日本ノービスの優勝候補に躍り出た、住吉りをん


一躍、全日本ノービスの優勝候補に躍り出た住吉りをん。フリースケーティングの演技


8月に開催された夏季フィギュアでのスコアは82.73。それが今回は98.17。わずか1か月で15点以上も上がったのだ。3フリップ+3トウループが認定され、加点も付いたことが大きかった。とはいえパーフェクトの演技ではない。ルッツを失敗しての98点だったことから、ノーミスならば100点超えのスコアとなるだろう。

「初めて98点を取ってビックリしています。全日本ノービスではノーミスを目指したいです」

曲かけからノーミスにこだわった練習をしてきた。フリップ+トウの練習量を増やし、助走でスピードを出すことを心掛けたという。今回の反省点として、失敗したルッツにエッジエラーもついていたことを挙げる。またスピンでの取りこぼしもあった。それらを修正し、「全日本ノービスでは100点を超えたい」と力強く宣言した。

住吉選手といえば武田奈也のキュートな振付で、良く踊る演技をするのが持ち味だと感じていたが、本人は意外なことに「踊りは特別好きというわけではない」とのこと。が、最近は演技の中で自然と笑顔が出るようになってきた。

「今まではジャンプ、エレメンツを次々こなすことに意識が行っていましたが、最近は『よし、ジャンプ成功した。笑おう!』と演技の中で楽しめるようになってきました」

この日、演技をスタートするときには意識的に笑顔を作っていたそうだが、3フリップ+3トウループが成功してからは自然と笑顔が出たという。

「曲が“くるみ割り人形”だから、もっと繊細に、綺麗に優雅に見せるようにと意識しています。表現面では永井優香選手に憧れています」

彼女が師事する岡島コーチの下からは良い選手が次々に育ってきている。

「競い合っていることが大きいと思います。松岡あかり選手が夏季フィギュアで100点を出しました。私も100点を出したい、との思いでフリップ+トウの練習を増やして頑張ってきたんです」

岡島コーチの指導はほとんどがジャンプだという。振付は武田奈也、スケーティングを佐藤紀子、スピンは望月梨早に教わっているそうだ。この分業体制がチームの躍進を支えているのだろう。

悔しい思いのリベンジは全日本ノービスで。松岡あかり


演技を一度見れば分かるが、実に能力の高い選手だ。ジャンプの軸の美しさを是非見てもらいたい


8月の夏季フィギュアで100点超えを果たし、注目を集める存在となった松岡あかりだが、この日はミスの多い演技となってしまった。

「一番悔しいのは、住吉りをん選手に負けたことです」

同じチームで切磋琢磨し、長足の進歩を遂げていく様を肌で感じていた住吉選手の存在が、松岡選手にはプレッシャーになっていたようだ。「全日本ノービスでは絶対に勝ちたい」と意を新たにしていた。

「注目が集まるのは嬉しいことですが、その期待に応えたいという気持ちがプレッシャーになっています。でもそれを言い訳にはしたくない。そこが自分の弱いところだと思います」

この生真面目な性格が、今回に限っては裏目に出てしまったようだ。演技を観れば分かるが、本当に上手で、大きな可能性を感じさせる選手だ。注目が集まるのは当然だと思うが、それが現在の彼女には負担になっている面があるようだ。

最後に悔し涙を押さえ、こう宣言した。

「全日本ノービスではノーミスの演技をして、ベストの点数を取りたい」

他の選手を意識することなく、彼女のベストの演技をしてほしい、と心から願う。そうすれば自然と結果はついてくる。それだけの逸材だ。

【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

編集部

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