フィギュアスケート・近畿ブロック大会レポート2 【ジュニア男子】
東京ウォーカー(全国版)
ジュニア男子のエースとして恥ずかしくない演技を目指す、友野一希

昨シーズン、目標としていた世界ジュニア出場を果たしたものの、そこで世界の壁をまざまざと見せつけられる結果に終わった友野一希。だがその経験は彼の目を世界に向けさせ、高みを目指す意識を植え付けることにつながった。迎えた今季、友野選手はジュニアグランプリシリーズで活躍を見せる。惜しくもファイナル出場は逃したものの、表彰台に乗り、世界へと大いにアピールすることに成功した。
近畿ブロックのショートプログラム、友野選手は今季初めて70点を超えることが出来た。
「ジュニアグランプリシリーズでこの演技をやりたかったです。これからどんどんパーソナルベストを更新していきたい」
今季、彼はトリプルアクセルを手のうちに入れ、安定感も増してきているのだが、トリプル+トリプルのコンビネーションジャンプがまだまだ不安定だ。これが今季、ショートプログラムでなかなか70点を超えられなかった理由でもある。
「トリプル+トリプルは去年習得したばかりなので、苦手意識がまだあります。これから克服していきたい。まだ上積みは狙えます。加点をもらえる綺麗なジャンプを跳んで、70点台後半を狙いたい」
そしてフリースケーティングでは、今度こそクリーンに決めたかった4回転サルコウで、珍しく回転の足りないジャンプとなってしまった。
「今まではオーバーターンが多く、力み過ぎていたので、今日はあまり力を入れずにやってみようと思ったんです。そうしたら力を抜き過ぎました」
練習では出来ているものが、試合本番では微妙な調整が出来ずに苦心しているようだ。トリプルアクセルにしても、後半のものは成功する確率が高い一方、前半では力みが出てしまうことが多い。「意外と後半の方が疲れていて力が抜けて上手に跳べる。前半は力んでしまう」という。試合の中におけるジャンプは、練習と同じには行かない。特にいわゆる大技と呼ばれるジャンプは、選手達は細心のノウハウを駆使して跳んでいる。スタミナも筋力も十分な状態で跳ぶ前半のジャンプ、疲労が溜まった状態で跳ぶ後半のジャンプ、それぞれ跳び方を微調整して跳んでいるのだ。観る側としては当たり前にやっているように捉えてしまうが、トップ選手はとてつもなく難しいことをやっている。この辺りの習得を目指しているのが、現在の友野選手の状況のようだ。
今季戦ったジュニアグランプリシリーズについては「ファイナルには届かなかったが、それでも自分の演技が出来れば世界で通用することが分かった」と前向きな感触を得てきた様子。「国内では自分の演技をすればまず負けることはありません。しょうもないミスをなくしていきたい。ジュニアのエースとして恥ずかしくない演技をするだけです」と昨年までとは一味違う自覚を身に着けたようだ。そして、来季もジュニアに残る後輩達についてこんなことを語った。
「去年は(山本)草太君一人に頼っていました。あの状態のままでは今年は一つもメダルが取れていなかったと思います。去年はメダルを取れていたのは草太君だけ。でも今年は、僕、(島田)高志郎、(須本)光希と取れた。みんな、まだまだ成長中です。僕は来年からシニアですが、来年のジュニア男子には期待が持てます」
その後輩達のためにも、世界ジュニアでの枠取りを頑張りたい、との思いも強い。
「来年につながるように、僕がジュニア男子をしっかり引っ張っていきたい。枠取りも重要です。しっかり後輩達に託したい。今年は国内だけでなく、海外にも目を向けてやっているので、国内で負けるわけには行きません。そして世界ジュニアでトップクラスとして通用する演技をすることが目標です」
「シニアに上がると僕は下っ端からのスタートになります。“シニアの中堅”と言われないように、そこから頭一つ抜け出せるように、自分の個性を出しながら、シニアの強化選手に負けないように、グランプリで2枠いただけるような選手になりたい」
有言実行、夏の誓いの実現を目指し、上昇中。山隈太一朗

昨シーズン、最後の全国中学校大会で有終の美を飾り、復活を遂げた山隈太一朗。しかしその後、思うような調整が出来ずにいることは以前にもお伝えした。ただサマーカップでは「秋までに調子を上げて全日本ジュニアでは優勝を目指します」と不調の中にも関わらず、高い目標を掲げたことが印象的だった。
「サマーカップの後に合宿があって、そこで自分を変えることが出来ました。あの頃よりはかなり良くなっています。ただ踊った後のステップなど課題も多いので、仕上がりは5割ぐらいかな?」
フリースケーティングでも大幅に良化した姿を観客に見せることが出来た。
「ミスはありましたが、夏に比べたらだいぶ良くなりました。今回の近畿ブロックで課題が色々見つかりました。西日本でそれを改善して、そこでも見つかった課題を全日本ジュニアまでに改善したい。1年間頑張ってきたことの成果を全日本ジュニアで発揮したいと思います」
そして今季の目標について、夏と同じ質問をしてみた。
「僕の今のレベルで言っていいのか分かりませんが、全日本ジュニアでは優勝を目指したい」
そう、夏と同じ、強気な答えが返ってきた。現在のジュニア男子のレベルからして、この目標の実現はたやすいことではない。それでも初志貫徹、高い目標を変えずに頑張る姿に、心から声援を送りたいと思う。
※「ジュニア女子・前編」へ続く 【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image works)】
編集部
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