フィギュアスケート・近畿ブロック大会レポート1 【ノービスA男子、ノービスA女子】

2016年10月22日 18:33更新

東京ウォーカー(全国版) 編集部

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10月8日-10日の日程で、大阪府立臨海スポーツセンター(大阪府高石市)においてフィギュアスケート近畿選手権大会(近畿ブロック)が開催された。この大会の見どころは何といってもジュニア女子クラス。ジュニアグランプリにおいてトリプルアクセルを成功させた紀平梨花の帰国後初戦であり、また本田真凜、坂本花織、岩元こころといった強豪が一堂に会する機会となり、ブロック大会にもかかわらず多数のメディアが取材に詰めかけたほどだ。シニアではグランプリシリーズ出場を控えた三原舞依が出場。その他、本田4兄妹が全員揃って出場したことなど話題に事欠かず、今季の6つのブロック大会の中で最も見どころの多い大会となった。まずは今週末に迫った全日本ノービスのプレビューを兼ね、近畿ブロックのノービスクラスをご紹介したい。

全日本ノービスの優勝候補へと成長した、片伊勢武

片伊勢武、近畿ブロックでの演技

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この試合で目標としていた100点超えを果たし、全日本ノービスの優勝候補へと躍り出たのが片伊勢武(かたいせ・たける)だ。軽度の疲労骨折をしているそうで、演技後には足首をアイシングする姿が痛々しかったが、「全日本ノービスに向けて問題はありません」と力強くコメントしていた。春の全関西ノービスまでは5種類のトリプルで演技を構成することは出来ていなかった片伊勢選手、短期間での成長振りは目覚ましいものだ。この試合ではダウングレードとなったループジャンプ以外は危なげのない演技だった。

「7月のOHK杯から5種類、7トリプルの構成で組めるようになりました。苦手なジャンプは作らないようにしているんですが、ループは一番跳べるようになるのが遅かったんです。ちゃんと克服したいと思っています」

片伊勢選手は、中野園子コーチのチームに所属している。中野チームでは今季、三原舞依、坂本花織の活躍が目覚ましい。勢いのあるチームで練習していることが、片伊勢選手にもプラスになっているようだ。

「中野先生の指導は、言っていることが全て正しくて、ちゃんと聞いていれば上手くなれると思います。『かおちゃん(坂本花織)、舞依ちゃんのジャンプを見て、あんなジャンプが跳べるようになってね』と先生に言われているので、研究して真似するようにしています」

目標だった100点を超えられたことは嬉しいが、まだまだ成長できる点があるはず、コンテンツシートを見て改善していきたい、と気を引き締めていた。その先には、ノービスA男子で本命と目される佐藤駿との対決がある。優勝も狙える位置に来たように思うのだが、

「考え過ぎると緊張します。まずは練習通りの自分の演技をすること、そうすれば結果はついてくると思います。全日本ノービスで表彰台に乗り、全日本ジュニアに出場することが目標です」

と慎重な姿勢を崩さなかった。「宮原知子選手みたいに、どんな舞台でも、緊張してても、プレッシャーがあっても、自分の演技が出来るようになりたい」という片伊勢選手。その言葉通り、精神面での成長も著しいものが見受けられる。

<全日本ノービス展望>

ノービスA男子は、夏までは宮城の佐藤駿の全日本ノービス4連覇が濃厚かと思われていたが、ここに来て状況は混沌としてきた。トリプルアクセルへの挑戦を春から続けている佐藤駿だが、やはり未完成のトリプルアクセルは負担になるようで、演技全体の出来栄えを落とす結果になっている。一方、この夏に5種類のトリプルをマスターした兵庫の片伊勢武は一足先に100点超えを果たし、優勝候補として佐藤駿と対峙することになる。愛知の佐々木晴也も十分に優勝圏内だ。この3名の争いとなりそうだ。

全日本ノービスのタイトルは渡さない、岩野桃亜

スケーティング、表現力はノービスクラスでは抜きん出ている

数年前から将来を嘱望される存在だった岩野桃亜(いわの・もあ)だが、昨シーズンはブロック大会の直後に以前のコーチの下を離れることになり、コーチ不在で臨んだ全日本ノービスで涙の3位入賞を果たしたことは記憶に新しい。しばらくは所属チームが決まらずに苦しい時期を過ごした岩野選手だが、その後、長光歌子コーチのチームに所属することが決まり、ようやく安定した練習を積めるようになったようだ。

「練習では出来ていた3ルッツ+3トウループが試合で成功しなかったことが悔しい」と、まずは反省点を挙げることから会見が始まったが、この夏に積み上げてきた練習には相当の自信を持っているようだ。

「今年の夏は凄くハードで、野辺山合宿の後に中京のジュニア強化合宿への派遣、そこからチームの合宿が10日間ありました。毎日7キロ走って自分を追い込んだ練習を積んできました。この努力を全日本ノービスで出せたら、自分のベストを見せられます。凄く努力をしてきたので負けたくありません。100点超えは自分にとって大きな壁ですが、この壁を乗り越えられたら怖いものはないと思うので、それを目指して頑張っています」

そして、大技への取り組みについてはこんなコメントを聞かせてくれた。

「紀平梨花選手がトリプルアクセルを決めています。自分もジュニアに昇格する来季は大技に挑戦したい。クワドサルコウに挑戦します。トリプルアクセルも練習していますが、サルコウの方が確率が高いんです」

現在の長光チームでは、分業制で多くのコーチが指導してくれているようだ。充実した練習により、スケーティングは昨年よりも上手になったと胸を張る。それはスコアにも表れていて、PCS(演技構成点)はノービス選手としては極めて高い点数だ。ハイレベルな戦いが予想される今年の全日本ノービス。楽しみでならない。

<全日本ノービス展望>

ノービスA女子は、夏までは兵庫の岩野桃亜が断トツの存在だったのだが、最近になって様相が変わってきた。東京の松岡あかり、住吉りをんが急成長を見せ、三つ巴の戦いが予想される。最も難度の高い演技構成で臨むのが岩野桃亜。しかし回転不足、そしてフリップのエッジエラーなど減点されることも多く、これらの改善が全日本ノービス制覇のためには必須だ。エレメンツのクオリティでは松岡あかりが頭一つ抜けており、ジャンプが決まれば再度の100点超えの可能性は高い。また住吉りをんも100点超えを狙える地力をつけている。3名のうち誰が優勝しても不思議はない。

※「ジュニア」編へ続く 【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image works)】

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