【漫画】特攻服に書かれた「天上天下唯我独尊」は、命の尊さを教える言葉だった!?僧侶が描く漫画が深い/ヤンキーと住職
生徒たちのやりとりから生まれた、「ヤンキー」というキャラクター





観光でお寺に行くことはあっても、今まで仏教に触れる機会も、考える機会もなかった筆者だが、近藤丸さんの話はとても興味深くて引き込まれた。きっと当時の生徒たちにとっても、心に残る授業になったのではないだろうか。
「『天上天下唯我独尊』の話をすると生徒は、仏教の伝承やお釈迦様の言葉を通して、自分自身を見つめることの大切さを少し理解してくれるように思います。そのあと生徒たちに、『暴走族の特攻服にも書かれているのを見たことがありますが、「自分だけが偉い」という風に意味を誤解しているかもしれません。本当はそうではなく、「私の命がかけがえのないものなのだから、あなたの命も、また他の人の命も、かけがえのない尊いものなんだよ」という意味です。…でももしかしたら、暴走族の人たちはそれをきちんと分かったうえで、刺しゅうを入れているのかな?そうだったら感動しますね』と話したところ、生徒たちは笑ったり、反論してくれたりしました。こうした授業でのやり取りから生まれたのが、『ヤンキー』です」
最後に、近藤丸さんから読者に向けて、メッセージをもらった。
「今まで僧侶として仏教の大学で学んできた経験や、中高生に仏教系高校で教えるなかで学んだことを、漫画の中にちりばめています。読むと何か新たな発見や、今まで無かった見方に出合えるかもしれません。ヤンキーと住職の何気ない会話の中から、仏教の深さや楽しさに触れられるような話を描いたつもりです。今後もどんな話が展開されるのか、ぜひ期待して下さい。この漫画をきっかけに、2500年続いてきた深い教えである仏教の言葉に出遇って頂けたら有難いです」
普段の生活の中では、なかなか触れる機会の少ない人が多いであろう仏教。しかし2500年もの間、人間の悲しみや苦悩に寄り添ってきた仏教には、現代人の悩みに応える言葉もたくさん残されているそう。漫画「ヤンキーと住職」を読めば、人生のヒントが見つかるかもしれない。
取材・文=石川知京