長澤まさみ「阿部寛さんが大好き」、16年ぶり「ドラゴン桜」共演について語る
東京ウォーカー(全国版)
2005年に放送された、阿部寛主演の人気ドラマの続編となる日曜劇場「ドラゴン桜」(TBS系・毎週日曜21時)が4月25日にスタート。世帯視聴率は4月クール首位となる14.8%、個人視聴率も8.8%(※ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、Twitterでも世界トレンド1位を獲得するなど、注目を集めている。
かつて落ちこぼれだった龍山高校から東京大学合格者を輩出し、一躍時の人となった元暴走族の弁護士・桜木建二(阿部)が、偏差値32で経営破綻寸前の龍海学園で東大合格者を出し、学園を再建していく様を描く本作。
前作で桜木が受け持つ「東大クラス」の生徒だった水野直美を演じていた長澤まさみは、本作では東大卒の弁護士となって登場。桜木の教え子だった水野が16年の時を経て、生徒たちを導く側に立つ。
「第44回日本アカデミー賞」で初の最優秀主演女優賞に輝くなど、国民的女優として活躍する彼女に、この16年での変化や「ドラゴン桜」の魅力、“大好き”だと明かす阿部から学んだことを聞いた。
同世代の共演者と切磋琢磨した前作は「ある意味青春だった」
――続編の話を聞いた時の心境を教えてください。
【長澤まさみ】16年ぶりに続編をやるとは思っていなかったので、まさかという感じで、初めて聞いた時はびっくりしました。でも、阿部さんがやる気満々だと聞き、やる以外の選択肢はないと思いました。
桜木先生としてもそうですが、私は“阿部寛さん”という先輩が大好きなんです。なので、阿部さんが「やる」と言ったら、ついていこうという気持ちになって。私にとって、阿部さんはそういう存在です。
――前作の「東大クラス」メンバーは、長澤さんをはじめ、山下智久さん、小池徹平さん、新垣結衣さん、中尾明慶さん、紗栄子さんら、今なおジャンルを超えて活躍されている方々が出演されていましたが、長澤さんにとってどういう作品ですか?
【長澤まさみ】いくつかある若い時に撮った作品の中でも、「ドラゴン桜」は長く愛されている作品のひとつだなと思っていて。この仕事をしていると、「あのドラマが好きだった」など、感想をいただくことが多いのですが、その中に必ず「ドラゴン桜」は入ってくるんです。
あと、同世代の俳優の皆さんとご一緒できて、すごく刺激をもらっていました。みんなが頑張っているから、自分も頑張らなくちゃと、切磋琢磨する感じが現場にあって。ある意味、私の青春だったかもしれませんね。
――女優として勉強になったり、手応えを感じたりしましたか?
前作の時は、お芝居に対して勉強になったという自覚はなかったかもしれないですね。ただお芝居はおもしろいと感じていた頃だった気がします。
――第1話には、前作の生徒役だった紗栄子さんがサプライズ出演されていました。前作の共演者の方たちとは、続編について何かお話しされましたか?
【長澤まさみ】今はプライベートではあまり交流はないですが、紗栄子さんとはたまたま街で遭遇する事があったり、小池さんと中尾さんは共演したり。山下さんも新垣さんも仕事でたまにお会いする事はありました。
――阿部さん演じる桜木先生の言葉は心に刺さるものが多いですが、長澤さん自身、桜木先生から影響を受けて変わったことはありますか?
【長澤まさみ】桜木先生というより、私としては、やはり大先輩の阿部さんという印象が強くて。阿部さんは本当に真面目な方なんです。当時は、そんな阿部さんの一生懸命やられている姿にすごく影響を受けていて。阿部さんは桜木先生のように押し付ける訳ではないので、言葉で刺さったというより、現場での阿部さんの姿を見て、話して、得たものが多かったですね。
特に阿部さんからは、“自分で考える力”を教えてもらったと思います。当時はまだ若くてお芝居というものを全然わかっていなくて。そんな時に「自分の感情を第一にして、芝居をすることが重要。それで相手の心も動く」と仰ってくださいました。技術ではなく、自分の役の思いを感じて感情にのってお芝居をすることの大切さに気付かせてもらい、それはすごく心に残っています。
――16年ぶりの共演ということで、阿部さんの変わった部分や逆に変わらない部分を感じることはありましたか?
【長澤まさみ】阿部さんは、全然変わらないですね。こっちがNGを出しても全然気にされてないぐらい、ご自身のお芝居に集中されていて。今でも学ぶことは多いですし、ずっとそのスタンスを維持されているのは本当にすごいなと思います。
――阿部さんが演じる桜木先生の魅力はどういったところだと思われますか?
【長澤まさみ】ちょっとクールなところですかね。話す内容は熱血だけど、さっぱりしたものの言い方がいいのかなと思います。ギトギトな感じでこられたら、逆にみんな萎縮しちゃって、「この人、信じていいのかな」となりそう。でも、阿部さんが作りだす桜木先生のクールさが、言動の説得力を増している気がします。
――桜木先生は1話ではやさぐれたシーンがあるなど、前作のイメージとは違う印象もありますが、その辺りはどう感じられましたか?
【長澤まさみ】前作から16年経っていますからね。考えが変わったのかなと、あまり気にしなかったです。そう考えると、私の役柄もキャラが変わっていると思うところもありますし。16年あれば人は変わりますよね。私自身も大人になり、昔よりは愛想が良くなったかなと、自分でも思いますよ(笑)。人それぞれあるのかなって。
生徒役から教える立場へ「若い子達を見ると、すごく愛おしさが芽生えます」
――演じる水野は、女子高生から今回は教える立場になりますが、どういう思いで演じられていますか?
【長澤まさみ】私も16年という時を経て大人になっているので、若い子達を見ると、すごく愛おしさが芽生えるんです。頑張っている姿を見ると、素直に「頑張れ」と感じるので、そういった感情にのれればいいなと思っています。教育者という堅い考えではなくて、応援団のひとりという気持ちで役と向き合っていますね。
――第1話で、水野が堂々とスピーチされているのを見て成長を感じました。演じる上で何か意識されていることはありますか?
【長澤まさみ】監督から「この作品はシリアスなシーンが多いので、水野のいるシーンは若干、柔らかい印象で」と言われて。なので、クスッと笑えるようなほんわかしたシーンになれば、という思いで演じています。
――“東大クラス”のメンバーとして、今回は髙橋海人さん(King & Prince)、南沙良さん、平手友梨奈さんらフレッシュな顔ぶれがそろっています。当時、生徒を演じていた長澤さんですが、今の生徒役の俳優さんたちを見て、どんなことを感じられますか?
【長澤まさみ】まだ生徒役の皆さんとのシーンは少ないのですが、みんな基本クールだなと。でも、私たちの時も「さっぱりしてるね」みたいなことを言われていて、同じような感じだったなと、自分の若い時のことを思い出しますね。
あと、話していて秘めているものが見え隠れすると、まだ若いんだな、みんなこうやって少しずつ大人になっていくのかなと。まだそんなに同じシーンがないので、これから良い関係性を築けたらいいなと思います。
――前作の「ドラゴン桜」は金曜22時の放送枠でしたが、今回は日曜劇場枠にて放送されます。長澤さんが感じる、前作から変わったと思う本作の魅力はありますか?
【長澤まさみ】前作は、当時18歳だった私と同世代の方に届く作品として作られていたのかなと思いますが、今回は日曜劇場ということもあり、作品を届けたい年齢層が幅広くなっているのかなと感じます。
今はSNSをはじめ、テクノロジーが発達したことによって、社会が成長して、若い方でも自ら仕事を取っていける時代。世代を超えて活躍の幅が広がっていて、大人でも子供でもみんな同じように悩んでいる気がして。今回、それぞれの生徒の悩みがさまざま人に当てはまり、より多くの人が共感できるのかなと思います。
――「ドラゴン桜」というタイトルにちなみ、行ってみたい桜の名所や、お花見の思い出などを教えてください。
【長澤まさみ】今回もドラマの中で“ドラゴン桜”を植えるので、その桜はいつか見たいですし、それが名所になればいいですよね。今年はなかなかお花見にも行けなかったですが、近所の、桜がある所まで散歩するなど、日常生活の中で桜を楽しんでいました。
芝居へのスタンスは16年前から変わらない
――女優として日々ステップアップされていますが、16年前から特に変化したところはありますか?
【長澤まさみ】「早く終わらないかなぁ」と、あまり考えなくなったことですかね(笑)。学生の頃は、そういうことしか考えていなかったので(笑)。
――作品や芝居への向き合い方が変わられたということですか?
【長澤まさみ】どうなんでしょう…。「その時の最善を尽くす」というスタンスは、ずっと変わらなくて。
現場に入ることは周りとの共同生活なので、相手のことを考えて芝居ができるようになったという意味では変化したかもしれません。今は、相手とちゃんとお芝居を交わしているという充実感がありますね。
――「ドラゴン桜」に出てくる生徒たちは東大に行くことで人生が大きく変わりますが、長澤さん自身、女優として価値観が変わった言葉やターニングポイントはありますか?
【長澤まさみ】映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の公開前に、プロデューサーさんから、「これから頑張っていく中で、“あの長澤まさみ”というものをどんどん増やさないといけないよ」と言われて。
“セカチュー”のアキという認識を、また別の作品で塗り替えて、作っていかないといけない。作品は撮り終えたらそれまでですが、女優の仕事としてみた時の終わりは、まだまだ先で終わりはなくて。それは、自分の中で一番大切にしていることかもしれないですね。なので、次に向かう事を大事にして、過去の作品のことはそんなに考えないです。
――前作にご出演されていた18歳の時に思い描いていた33歳のイメージと、今のご自身は近いですか?
【長澤まさみ】割と順調で、こんな感じなのかなという感じです。というのは冗談で(笑)。私は目標をいつも高く持っているタイプなので、そこに到達できているかと言われたら、いつもできていないんです。でもそれでいいし、そういう思いが続けばいいなと思っていて。
今が自分のベストだという価値観は持っていなくて、自分の中ではいつも「もっともっと」というスタンスで仕事に取り組み、自分の想像できないほどの大きな目標を立てるようにはしていますね。
目標に到達すると、燃え尽きちゃう気がして、私的にはその方が頑張れるんです。満足するとそこで止まるので、満足しない自分でいられる状況を自分で設定するようにしています。
――阿部さんの16年間変わらない姿勢がすごいとおっしゃっていましたが、長澤さん自身もそのモチベーションをずっと保たれているのはすごいと思います。
【長澤まさみ】阿部さんほどすごくはないですけど、阿部さんのようになりたいですね。阿部さんは、お芝居に人生をかけていて。私も情熱や自分の中に燃えている魂みたいなのものは、消さないようにしたいです。
撮影=八木英里奈
文=高山美穂
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