吉沢亮は「解釈力が高い頭のいい役者」、劇場版『ヒロアカ 』監督インタビュー

2021年8月12日 16:25更新

東京ウォーカー(全国版)

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大人気アニメ「僕のヒーローアカデミア」の劇場版第3弾となる『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』が、8月6日(金)よりついに全国公開される。

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』メインカット(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の、堀越耕平原作のマンガ作品をアニメ化した本シリーズ。総人口の約8割が超常能力“個性”を持つ世界を舞台に、ヒーローを育成する雄英高校に入学した“無個性”の少年・デクこと緑谷出久(みどりや・いずく)がヒーローを目指してクラスメイトたちと切磋琢磨していく。TVアニメは2016年に第1期がスタートし、2021年に第5期を迎えた。

今回は、劇場作の公開を記念して、映画の監督およびTVアニメの総監督でもある長崎健司氏にインタビュー。本作の見どころはもちろん、アニメ第1期から携わり、長年向き合い続けている「ヒロアカ」への思いを存分に語ってもらった。

【画像】オリジナルコスチューム“ステルススーツ”を着た爆豪勝己(写真左)、轟焦凍(同中)、緑谷出久(同右)(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


「ヒロアカ」の魅力は目標に向かう学生たち 監督の共感ポイントが高いのは…「爆豪ですね」

――監督は「僕のヒーローアカデミア」アニメ第1期から関わっていらっしゃいますが、本作と最初に出合った時、どんな印象を持たれましたか?

【長崎監督】監督の話をもらってまず原作を読んだのですが、第1話からめちゃくちゃ感動したので、アニメにしたい、関わりたい思いが強くなりましたね。目標に向かって頑張っている学生たちの話がすごくいいなと思ったんです。宿命とかじゃなく憧れに向かって進んでいく物語で、しかもヒーローものと学園テイストを合わせてやっているところが非常におもしろいと思いました。

(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


――監督から見て、「ヒロアカ」の一番の魅力はどんなところでしょうか?

【長崎監督】前述したように、目標に向かっていること。主人公のデクは夢に向けて頑張っているけど、反面、呪いにかかっているようなところもあると思うんです。第1話で彼が爆豪を助けに出ていくシーン、あれは普通の人ならやらないですよね。そうした行動がちょっと異常にも見えてしまうけど、ただ、それができるからこそ彼はヒーローなんだろうなと。僕自身、デクのまっすぐさと危うさが混在しているところがすごく好きですね。

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』の場面カット(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


――今回の劇場作では、デクに加えて1年A組のメンバーの爆豪勝己(ばくごう・かつき)と轟焦凍(とどろき・しょうと)が活躍するとのことで、この2人についてもどう思われているか教えてください。

【長崎監督】爆豪は最初はヤバいやつだったんですけど(笑)、その一方で弱さもすごく出てきて、それも含めて自分らしさを必死に出そうとしているのが彼の魅力ですね。轟もエリートではあるけど、その奥に非常にネガティブな感情があって、懸命に乗り越えようとしている。デク、爆豪、轟の3人は観ている側が共感できる部分を各自が持っていて、作品が進む中で彼らがどんどん成長して、しかもお互いの関わり合いの中で変わっていくところがすごくいいなと思います。

(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


――この3人は、作品が長く続く中で成長してきていますが、彼らの中で監督自身の見方が変わったキャラクターなどはいますか?

【長崎監督】爆豪ですね。オラオラ系の彼が見下していた相手(デク)に抜かれる恐怖を覚えていく、ああいう感情って誰にでもあると思うんですよ。そういう劣等感が描かれている部分も「ヒロアカ」の好きなところで、爆豪からは特に強く感じるので、共感ポイントが高いキャラクターでもあります。

――「ヒロアカ」はファンの熱量も非常に高い作品ですが、人気の秘密、愛されている理由についてはどのように考えていますか?

【長崎監督】僕自身もいちファンとして、学生たちが前向きに切磋琢磨していくキラキラ感がとても好きなので、特にキャラクターと同世代の人たちは共感しやすいのかなと。あとは、「ヒロアカ」は読んでいて落ち込む部分ももちろんあるけど、元気になれる部分も多いので、いろいろな意味で観ている人にとって力になる作品なんじゃないかと思います。

(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


「原作の感動をどう落とし込むか」を積み重ねてきたTVアニメ

――「ヒロアカ」のTVアニメは、原作に忠実でありつつアニメならではの臨場感、ダイナミックさがありますが、監督が映像演出でこだわっていることについて教えてください。

【長崎監督】まず自分が原作を読んで「うおー!」と感動した部分を、アニメでどう表現できるか?というところからですね。自分がいいなと思ったところは、たぶんほかの読者も同じように感じていると思うので。とはいえ、TVアニメは時間がどんどん流れてしまう媒体なので、原作と同じ絵を出しただけでは印象に残らない。なので、原作の絵が持っている熱さをアニメの流れる時間軸にどう置き換えるか、というところを、色や音楽、声などを含めて最初からずっと大事にし続けています。

(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


――TVアニメの4期から総監督に就任されましたが、立ち位置が変わったことで作品への影響はありますか?

【長崎監督】総監督になってから、シナリオや絵コンテのチェックは現場の向井雅浩監督にまずやってもらって、その後自分も見せてもらうんですが、向井監督とは意思疎通ができているので、それほど直しなどはなく調整する程度ですね。アニメ制作の基本的なコンセプト自体は、向井監督をはじめ、音響監督や現場スタッフたちとずっと守り続けてやっているので、僕が総監督になったことでの大きな変化はないですね。

(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


――アニメは2021年に第5期を迎え、非常に長く続いていますが、作品への向き合い方は最初の頃と今で違いはあるのでしょうか?

【長崎監督】それも基本的には変わらないですね。先ほど話したように、原作を読んだ時の印象や感動をアニメにどう落とし込もうかというスタンスで、第1期から積み重ねてきている感じです。キャラクターたちや本編自体が成長していく中で、それも含めて観ている人たちにどう楽しんでもらえるか?という向き合い方をずっと続けています。

吉沢亮は「演出意図の解釈力が高い、非常に頭のいい役者さん」

――今夏公開の劇場作についてもお話を伺っていきたいと思います。今作のメインゲストとなるロディ・ソウルのキャラクターはどのように生まれたのか教えてください。

【長崎監督】今回は、環境のせいで夢を見ることができなかった少年が、デクと出会って生きる力を取り戻す友情の物語にしたいなと思ったんです。その着想を元に、デクとは全然違う、人もヒーローもまったく信用していないロディという人間像が出来上がっていきました。

吉沢亮が声優を務めたロディ・ソウル(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


――ロディ役を演じた吉沢亮さんのお芝居は、どのような感じになったのでしょうか?

【長崎監督】吉沢さんはアフレコ経験があり、演技もうまくて、コミカルな表現からシリアスな感じまで、すべて演じ分けてもらいました。デクたちとは違う価値観の持ち主であるのを特に表現したかったのですが、彼のおかげで従来の「ヒロアカ」にない魅力がロディに備わって、非常に説得力のあるキャラクターになりましたね。これまでアニメを観てきた人たちにも、ロディは新鮮に映ると思います。

――吉沢さんのアフレコで印象に残ったことなどはありましたか?

【長崎監督】吉沢さんのアフレコは2日間で、1日目に最初から収録して、2日目に録り直しをしました。初日に「こういうキャラで」「こういうニュアンスで」と、細かくディレクションしたことをすべて覚えていて、しかも自分のものにしてどんどん膨らませてくれたんです。そのおかげで、絵の状態は良くなかったんですが、アフレコを非常にスムーズな形で進められましたね。演出意図の解釈力が高い、非常に頭のいい役者さんでした。

(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


堀越先生からのサプライズで生まれた新コスチューム

――今回の劇場版は前2作と違って世界規模のお話ですが、この着想について教えてください。

【長崎監督】デクとロディという、価値観が異なる2人を描くことになったので、ならば国も違うほうがいいのではということになったんです。ちょうど本編でもインターンの時期を迎えていたので、1年A組の面々やプロヒーローたちが世界中に散らばってミッションをやるプロットを作り、堀越耕平先生の監修の元で原作の要素を加えたり、キャラクターデザインを起こしてもらったりして膨らませていきました。

“ステルススーツ”を着たデク(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


――デクたちの新コスチューム“ステルススーツ”が非常に話題を呼んでいますが、あの衣装はどうやって生まれたのでしょうか?

【長崎監督】あれが生まれたきっかけは、堀越先生にプロットを見てもらって雑談していた時ですね。愛情があふれてイメージが湧いた先生が、こちらから正式にお願いする前にイラストを送ってくださって(笑)。なので、先生のデザインを元にして、ヒーロースーツアクションが入る形で作品を仕上げていきました。

――すごい!堀越先生からのサプライズだったんですね。ほかにも先生からの思いがけない提案などはありましたか?

【長崎監督】それは、いろいろありましたね。ロディの相棒である小動物のピノは、堀越先生のアイデアで、先生の言うところの「頭のイカれた感じのカラーリング」になって(笑)、おもしろいデザインに仕上げることができました。僕らがどうするか迷っている時に先生の方から「やりたい」と手を挙げてくれるというのは、1作目、2作目でもあったんですが、今回は特にたくさんデザインのイメージを膨らませてもらいましたね。

(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


――お聞きしていると、堀越先生のほうも映画でしかできないことを一緒に楽しんでいる感じが伺えます。

【長崎監督】映画に関しては、本編と繋がっていない部分もあるので、先生とは「いい塩梅で、お互いやりたいことが広げられたらいいですね」と話していて。実際、先生は演出的な部分を理解しつつ、映画のシナリオの要素もきちんとかみ砕いたうえでアイデアを提案してくれるので、こちらとしては非常にやりやすく仕事ができています。

(C)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社


――最後に公開に向けて、作品の見どころをお聞かせください。

【長崎監督】今回は1作目、2作目とはまた違う「ヒロアカ」の映画にしたいということで作り始めて、ドラマやキャラクターの見せ方もこれまでと異なる形にしています。前作では1カ所でともに戦った1年A組が今回は世界中に散らばっていますが、離れていてもお互い信頼しあって頑張れる、そういうところまで成長した生徒たちの姿を見てほしいです。彼らの思いが積み重なってひとつの解決に向かっていく物語を、きっと楽しんでもらえると思います。

取材・文=田下愛

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