まさにシンデレラ・ストーリー!世界選手権は三原舞依に注目! 【後編】

東海ウォーカー

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異例のローテーションで臨んだ国際大会


三原舞依、四大陸選手権でのショートプログラム。初の大舞台での勝負が始まる


年が明け、三原はインターハイ、そして国体への出場を選んだ。四大陸選手権、世界選手権に向けたローテーションとしては異例中の異例。タイトなスケジュールに加え、インターハイ、国体はジュニア課題で出場することになるため、プログラムの組み換えが必須となるためだ。このことについてインターハイの折に聞いてみたのだが

「プログラムをジュニア課題に変えることは確かにきつかったんですが、大変だな、と感じることが、”今スケートができている”と実感が湧く要因のひとつでもあるんです。大変なことをしっかりと乗り越える、それを意識してインターハイに出ようと思いました。学校の代表でもあるので、出させてもらえることが嬉しかったんです」

と、負担をむしろ喜びと捉えて取り組んだようだ。そして、あえてきついローテーションを選んだのにも前向きな理由があった。

「世界選手権、四大陸選手権は初めてなので、不安、緊張が出てくるはずです。それを克服するために必要なのは、試合での経験だと思ったんです。場数を積むためにインターハイ、国体に出ることを選びました」

関節の病の治療を今も続ける彼女にとって、コンディショニングは最も重要な課題のようで、様々な工夫をしていると話してくれた。

「寒い時期にじっとしているとこわばりが強くなり、関節が動かなくなるんです。常に動いたり、カイロで温めたり、“超極暖”という肌着を愛用しています。人一倍ウォーミングアップをしたり、走ったり、こわばった時の対処法を去年からつかめるようになってきました」

“超極暖”というのはユニクロのヒートテックの中でも、特に暖かいバージョンだそうで、これが欠かせないという。個人的には、どうかスポンサーについてあげてもらえないだろうか、そんなことを考えた取材だった。

インターハイからわずか数日のインターバルで臨んだ国体では、フリープログラムでミスの多い”らしくない”演技となってしまった。秋のシーズン入り以降、試合で大きく崩れたのはこの時だけだ。

「悔しい。どこかで気持ちの緩みが出てしまったんじゃないかと思います。体調のせいにはしたくない。体調の良くない中で、自分が練習してきたことを出せるかが重要です。この悔しさをバネに、四大陸選手権に向けて人一倍しっかり練習して、自信をつけて臨みたい」

無理がたたったのでは、と心配になったのだが、実はこの大会での久し振りの失敗を、大きな教訓としてその後の四大陸選手権に生かし、優勝につなげることができたのだ。同じ失敗は繰り返さない、彼女のクレバーな面が発揮されたエピソードだ。

ついにビッグタイトルを手中に収め、世界のトップスケーターに仲間入り


表彰式にて。名実ともに世界のトップスケーターの仲間入りを果たした


迎えた四大陸選手権。舞台は、平昌五輪の会場となる江陵アイスアリーナだった。今季、彼女がずっとテーマに挙げていた「勢いのある演技」。それがようやく実現できた試合だったと感じる。“勢い”というのはスピードだけの話ではなく、動きの切れ、大きな表現など、印象を強くするための要素すべてを含んだものだ。インターハイでも国体でも、“勢い”のなさを自身の課題に掲げていた彼女だが、それを大舞台で修正して見せたのは素晴らしいことだ。上位陣がフリーで崩れる中、ショート、フリーとノーミスの演技でまとめ、見事な優勝を飾った彼女だが、実は本人も中野園子コーチも優勝は予想していなかったという。ただただノーミスの演技を重ねる、それだけを意識していた結果なのだ。しかしこの優勝によって、スケーターとして一段高いステージに上ったことは間違いない。

「来年この場所にもう一度戻って来れるような、オリンピックに出られるような選手になりたいです」

試合後の会見でもこう話した通り、三原にとってオリンピックは、すでに具体的な目標になりつつあるようだ。

「ロシアの選手と戦うには表現力でもスケーティングでもまだまだです。もっとレベルアップして、ノーミスのレベルを上げていきたい」

確かに現在の評価はまだ水を開けられているが、元よりエレメンツの難度は十分に高いものを持っている。今回、自身初の200点台を獲得したが、「ノーミスのレベルを上げる」ことで、更に評価が高まっていくことだろう。

今季のフリープログラム、“シンデレラ”。病からの復帰のシーズンにふさわしいシンデレラ・ストーリーを思い描いて、中野園子コーチが選んだ曲だという。ここまで映画やドラマのように見事な筋書きを綴ってきた彼女は、今週の世界選手権でそのストーリーを完結させる。「ハッピーエンドになるように」。そんな思いで作り上げたプログラム。ヘルシンキの舞台で最高の結末を見届けたい。【東海ウォーカー/中村康一(Image works)】

編集部

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