伊藤沙莉、元カレは「好きだった理由がわからない」過去を振り返り感じる今

2021年11月9日 11:46更新

東京ウォーカー(全国版)

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映像業界で働く46歳の佐藤(森山未來)が忘れられない恋人・かおりと過ごした“あの頃”を回想し、2020年から1995年までを遡って描く、映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』。


90年代カルチャーや音楽シーンの懐かしさに重ねて、仕事への葛藤や恋愛、友情という普遍的な感情を描き、共感を集めた同名小説を映像化した本作が、11月5日(金)より劇場公開およびNetflixで全世界配信される。

『ボクたちはみんな大人になれなかった』主演の森山未來とヒロインの伊藤沙莉(C)2021 C&Iエンタテインメント


携帯電話もまだ一般的ではなかった時代に、文通から始まった恋愛。佐藤にとって初めての彼女で、別れも告げず突然彼の元を去ったかおりを伊藤沙莉(いとうさいり)が演じる。平成生まれの伊藤は、この物語やかおりという役をどう捉えたのか、また、過去を振り返って感じることについても語ってもらった。

【写真】伊藤沙莉のキュートな笑顔ショットなど撮り下ろし多数!


作品を通して改めて感じた「90年代はかっこいい時代」

――佐藤の青春時代である90年代の描写が、本作が支持される理由のひとつだと思うのですが、平成生まれの伊藤さんはこの作品に関わってどんなことを感じましたか?

【伊藤沙莉】「昔はいい時代だった」って聞くことがよくあると思うんですけど、確かに良い時代だなぁという印象は持っていましたし、90年代にすごく憧れる気持ちもあります。その時代に生きていた人たちがどう感じて、何を思っていたかはわからないけど、作品を通して改めてかっこいい時代だなと思いました。

――佐藤と同世代の人たちがあの時代を振り返って感じる気持ちは、今まさに青春を過ごしている人も変わらないものだと思いますか?例えば、伊藤さんが40代になって今を振り返った時、どんな思いを抱きそうでしょうか?


【伊藤沙莉】やっぱり、振り返ってみればいい時代だったなと感じるとは思います。ただ、佐藤たちの世代が見てきた時代の変化は、すごくわかりやすいものだったと思うんですよ。1990年代から2000年代初頭にかけて、明らかにいろいろなことが便利になって自由になっていったけど、同時に縛られてもいるというのを目の当たりに見てきたんだろうなって。

だからこそ、あの頃は自由で奔放に生きることができたと昔を懐かしむこともあれば、便利でいい時代になったけど窮屈だな、寂しいなと感じることもあると思います。そう考えると、ある程度変化しきった今を青春時代として過ごす私たちの世代から下は、佐藤たちの世代の感覚みたいなものは体感できないのかもしれないですね。


――佐藤とかおりのように連絡手段が文通だったり、ポケベルから携帯電話に進化したり…という時代の流れは、今となってはまさに作品を通してしか感じられないものですよね。

【伊藤沙莉】なかったものが誕生した時代の次の世代である私たちは、それが進化していく時代にいるんですよね。進化は素晴らしいことだけど、新しく生まれたものが主流になっていくという流れが見られないとしたら、それは少し残念。この先どんなものが生まれてくるのかまだわからないから、そういう時代の変化をもっと見たいなと思います。


――出演されていたNetflix作品の「全裸監督」も同時代のお話だと思いますが、その時の撮影で感じたことや、聞いたお話などが本作の撮影の中で生かされたというようなことはありますか?

【伊藤沙莉】流行っていたものなんかを調べたり聞いたりはしましたが、戦時中くらい時代が違うというわけではないので、具体的にどんな時代だったかというようなことは、そこまで人に聞いたりはしなかったんです。ただ、その時代に生きていた人特有の何かが絶対にあるとは感じています。それは、今作なら佐藤だったり、佐藤の同僚の関口(東出昌大)だったり、そういうキャラクターにも出ているんじゃないかな。その時代を知っている人っていうのは、わかりやすい空気感をもっているように思いますね。


今まで一番葛藤して悩んだ役へ出した「密かな答え」

――そういう時代の登場人物の中でも、かおりは不思議な存在感のある役でした。伊藤さんにとっては、「今まで一番葛藤して悩んだ役」だったそうですね。そんなかおりに対して「自分なりの答えを密かに出したい」というコメントを出されていましたが、その答えは見つかりましたか?

【伊藤沙莉】かおりという子をどうやって佐藤にとって特別な存在にするか、ということに縛られすぎたせいで、難しく考えてしまっていたんだと思います。でも、かおりも結局人間だから、実際は大したことはなくて、どういうことが特別なのか難しく考える必要はなかったんだなって、演じる中でわかったんです。

すごいと思っていた人が、実は普通の人間だったんだって気付く瞬間ってあるじゃないですか。かおりも、そういう風に気付かれる側でいいんだなって思ったんです。だから、なにか特別に見えることをするのではなく、普通に恋をして、普通に自分の興味のあるものに取り組んだりする、よくいる女の子でいいんじゃないか、それが密かな答えではあったかもしれないですね。


大きな括りでいうとミステリアスな部類に入る役柄を演じるのは初めてだったので、自分でもいろいろ考えて、監督とも話しながら役作りをしていきました。明確にこれがかおりの答えだ、と撮影に臨んだわけではなく、作品を作っていく中で、こういうあり方でいいんじゃないかなという着地でした。

――初めて演じるような役だったということですが、かおり役にキャスティングされた理由について、ご自身ではどう考えていますか?

【伊藤沙莉】山本晃久プロデューサーとは21、22歳の時にドラマで初めてご一緒したんです。その後も映画『寝ても覚めても』で呼んでもらったりとか、長い関わりがある中で「伊藤沙莉にしかできない、伊藤沙莉がやるということに意味があるヒロインをいつかやってもらいたい」みたいなことを言ってくださっていて。そう言ってもらえることはすごくありがたいなと思いつつ、そんなヒロイン像ってあるのかなって思っていたんです。それで出されたヒロインがかおりだったので、おもしろいなと思ったし、すごく納得しました。

伊藤沙莉が演じたヒロインのかおり(C)2021 C&Iエンタテインメント


思い出すのは、正体不明な先生や好きだった理由がわからない元カレのこと

――観た人も自分の過去を振り返らざるを得ないような作品だと感じたのですが、伊藤さんが思い返した過去などがあれば教えていただきたいです。

【伊藤沙莉】かおりの役作りの話にも繋がる話ですが、振り返ってみると、すごいと思っていた人が意外と普通の人だったんだ、と思うことがあるんですよね。私は特に先生に対してよくあることなんですけど、学生だった当時は届かない存在で、自分とは違う正体不明の生き物のように思っていたのに、いざ大人になって同窓会なんかで遭遇すると、「この人、めっちゃ人間だった!」って(笑)。本人たちは正体を隠すつもりもないけど、謎の多いまま私たちと接して、それでもちゃんと信頼関係を作っていたわけですよね。


そういう物事は人生にきっとたくさん転がっていて、例えば、付き合っていた事実はあるのに好きだった理由がいまだに思い出せない人とかもいるんです。私、めちゃくちゃ記憶力がいいんですけど、その人の記憶だけが本当にぽっかり抜けていたりして。逆もしかりで、あんなに苦しかったのに、記憶がすごく美化されてるなって思う時もあるし。そういうのは、生きていかないと知ることができない感覚なんだろうなと思いますね。

――本作は、仕事に対して悩んだり葛藤したりという佐藤の姿も、恋愛の思い出と並行して描かれますが、伊藤さんは佐藤のように仕事に対して悩んだりしたことや、転機となった出来事はありますか?

【伊藤沙莉】仕事に関しては、私にはこれしかない、これしかできない、自分に向いている、って思うのと同時に、全然向いてないのになんでこの業界に入ってきちゃったんだろう、と思うこともすごくあって…。好きでやっている仕事って、そういう気持ちとの戦いだと思うんです。好きという気持ちがいい方向に発展して職業になったからこそ、続けたいけど続けていいのかなとか、早く辞めた方がちゃんと自分に向いている職業に出合えるんじゃないかとか、そういうことを常に考えている時期はありましたね。


転機はいっぱいあったんですけど、前の事務所を辞めたのが18歳くらいの時で、そこからいろいろなことが変わっていったなと。同じ歳の人は卒業のタイミングで、周りのみんなにとっても人生が動く時期と重なっていたので、心のありようとしては周りと同じで、未来が開けるのか、大きな岐路だったなと思います。

東京で好きなスポットはお台場!「千葉の田舎モンなんで」

――最後に、劇中では渋谷や六本木、新宿など、東京を象徴するような場所がたくさん登場しますが、伊藤さんが一番好きな東京のスポットについて教えてください。

【伊藤沙莉】お台場ですね。19歳の時が一番仕事がなくて、教習所とバイトに行く以外はずっと友達と過ごすような生活をしていたんですけど、その頃に一番行っていた場所なんです。友達と夜中に車を出して、ちょっとだけ海を見て帰るっていうのがイケてると思ってたんですよ、千葉の田舎モンなんで(笑)。だから今でも、休みの日に何をするわけでもなく行きたくなる場所ではありますね。それこそ、人生の転機になった占い師と会ったのもお台場だったりして、いろいろなことが詰まっている場所です。


スタイリスト=三浦玄
ヘアメイク=aiko
撮影=八木英里奈
取材・文=大谷和美

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