コーヒーで旅する日本/東海編|理屈ではなく、心で味わうやさしい一杯。「喫茶toi」

東海ウォーカー

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自分好みの焼き方ができる焙煎機

よく見ると、扉のガラス部分に「珈琲焙煎所」の文字を発見

湯本さんが自分でコーヒーを淹れるようになったのは23歳のころ。当時所属していた会社が手掛ける名古屋・矢場町のカフェ「re:Li」(現在は閉店)でハンドドリップをしたのが最初だった。「カフェでの仕事が楽しくなってきたころ、サードウェーブコーヒーが注目され始めました。会社でもコーヒーに力を入れた店舗『Maison YWE』をオープンすることになり、立ち上げメンバーとして参加しました。ここで東京の『ONIBUS COFFEE』の豆を扱うようになり、浅煎りの豆を知ったんです。豆によって味が全然違うし、淹れ方もいろいろあるし、『コーヒーっておもしろいな』と思いました。コーヒーを好きになって、たくさん飲むようになると、『もう少し濃い感じがいいな』『もう少し華やかな感じがいいな』など、豆そのものに自分の好みが出てきて、焙煎をやり始めました」。浅煎りの味わいに衝撃を受けたものの、いろいろと飲み比べていくと、自分の好きな味わいは中深煎りあたりだと気付いた湯本さん。自分の好きな味を自分で表現したいと考え、「喫茶toi」では店内に焙煎機を設置して自家焙煎コーヒーを提供している。

刻一刻と変化する豆の様子を目と耳、鼻で判断していく

「グアテマラだと、ちょっと深めに焼いて甘味を出すことを意識していますし、エチオピアだとやっぱり香りをしっかり出したいので、当店では比較的浅めにしています。それでも、ほかの店に比べるとちょっと深いかもしれないですね。ニカラグアはエチオピアと特徴が近いので、差別化するためにエチオピアよりもちょっと深く焼いていますが、元々持っている華やかさは後味としてしっかり残るように考えています。今使っている焙煎機は火力がそれほど強いわけではないので、深煎りにはあまり向いていない気がしています。火力というよりは排気で調整しているので、極端な焼き方は難しいんです。一方、自分の好きな中深煎りあたりの焙煎度合いは、やりやすいですね」

【写真】ドリップコーヒーでは中煎りのエチオピア、中深煎りのニカラグア、中深煎りのグアテマラのほか、ブレンドを2種類用意している

豆はすべてスペシャルティコーヒーを使用。「ラインナップはほぼ固定です。エチオピアはイルガチェフを使っているのですが、実は以前、違う農園の豆も仕入れたことがあります。でも、焼いてみるとやっぱりイメージとずれるので、自分の好きな味、お店に合う味、お菓子に合う味というものが出せるのは今のラインナップかな、と思います」

ゆっくり穏やかに過ごせる場所でありたい

バスクチーズケーキ(500円)と珈琲(550円)

取材中に何度も「ここで過ごす時間を、いい時間にしてもらいたい」と話していた湯本さん。コーヒーも、フードも、そのための一要素として位置づけられている。だからなのか、コーヒーにしてもフードにしても、「喫茶toi」では主役にしない。少し存在感を控え、そっと寄り添ってくれる。

おひとりさま席も用意

「ちょっとひとりで本を読みたいとか、自分と向き合いたいとか、現実から離れてゆっくり過ごしたいとか、そういう時間を提供したいと思っています。店の規模が小さいのでやれることは限られていますが、いつかは夜営業もやってみたいですね」

カスタードプリン(500円)とアイスのカフェラテ(580円)

焦がし風味が強そうなプリンも、実はオレンジのリキュールを加えてさっぱりとした後味に。冷たいカフェラテとの組み合わせは、これからの暑い季節にぴったりだ。ホッと心のこわばりをほぐしてくれるような、温かさを感じられるカフェ。ここでいただくコーヒーやエスプレッソには、理屈ではなく心で味わうおいしさがあった。

湯本さんレコメンドのコーヒーショップは「hikure.」

「愛知県豊川市にある『hikure.』をおすすめします。コーヒーがおいしいのはもちろんですが、『どこが好き?』と聞かれたら『やっぱり人柄が好きだな』と思います。コーヒーを担当しているオーナーの石部さんのほかに、お菓子を担当しているスタッフさんがいて、ふたりに会いに行っているお客さまも多いのではないでしょうか。店をオープンしたのは当店の方が少し早いので、石部さんはお客さまとしてもよく当店へ来てくれていました。『hikure.』がオープンしてからは、定休日が当店と同じなのでお互い店は足を運ぶのはなかなか難しくなりましたが、たまに顔を出すと定休日でも焙煎作業をしていることなどがあり、今も交流は続いています」(湯本さん)


【喫茶toiのコーヒーデータ】
●焙煎機/煎りたてハマ珈琲半熱風式1キロ
●抽出/ハンドドリップ(コーノ式)、エスプレッソマシン(ラ・マルゾッコ リネアミニ)
●焙煎度合い/中煎り~深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム730円~

取材・文=大川真由美
撮影=古川寛二


※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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