【第11回】思わず“ただいま”と言いたくなる、味と優しさを求めて。うどん店「河正」

2017年7月14日 21:44更新

東海ウォーカー 豊野貴子(エディマート)

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にぎやかな大津通に面した店。外から覗いて混雑しているか確かめる人も

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百貨店やファッションビルが立ち並ぶ矢場町と大須を結び、若者も多く行き交う大通り沿いに「河正」はある。店を訪れる人にとっては、長年変わらぬ味と店を守る女性スタッフの優しさにほっとする、街のオアシスのような存在だ。

麺、ご飯、揚げ物の組み合わせが絶妙な看板メニュー

【写真を見る】中華そばとカツのせごはんのセット

うどんや日本そば、きしめん、中華そばの各種麺類と、丼物をそろえるうどん店。豊富なメニューがあるが、常連客の注文が集中する名物メニューがある。中華そばと“カツのせ”と呼ばれるご飯物のセット(750円)だ。

中華そばのスープは、鶏ガラスープに合わせ醤油とラードを加える

澄んだ鶏ガラスープになめらかな中華麺、自家製のチャーシューやメンマ、かまぼこ、たっぷりのネギがのる中華そば(550円)。コクがありながらも、後味あっさりのほっとする味で人気だが、「もう少し満腹感が欲しい」「ご飯ものも食べたい」と感じる人に好評なのが、“カツのせ”だ。

カツをのせた小ライスは、ライスだけでは物足りないという思いを超える満足感を与えてくれる

名古屋の老舗食肉専門店・スギモトから届く上質の豚肉は、分厚すぎずほどよい厚さ。いつも揚げたてサクサクのカツが、ライスからはみ出るようにてんこ盛りで運ばれてくる。好みで、テーブルのウスターソースをかけながら。なかには、中華そばに投入するという楽しみ方もする客もいるそうだ。

豊富なメニューをそれぞれの楽しみ方で

カツ丼。卵を2個使い、火が通りすぎないように仕上げる

カツのせ同様に揚げたてのカツとネギを、卵でふんわりととじるカツ丼(780円)。ご飯をたっぷり食べたい人や、卵となじんでしっとりしたカツを好む人におすすめだ。

コクがあってまろやかな、厚(あつ)むろのダシを使う

きしめん(450円)はワンコインでお釣りがくる手頃な価格だが、甘めの味がしっかり染みた自家製の揚げや、麺が隠れるほどのったカツオ節など、十分に満たされる一杯。2017年7月中旬現在、麺類の夏限定メニューも考案中とのことで、登場が待ち遠しい。

都会の喧騒を一時忘れ、心が和む空間

昼時は相席が当たり前という混雑ぶり

河正の創業は1976(昭和51)年。初代店主、河原正一さんの名前にちなんだ店名だ。正一さんの息子・賢一さんが2代目を継ぎ、妻の朋子さんと賢一さんの妹の美和子さんも店を手伝うように。

店主の河原朋子さん(右)と、義理妹の美和子さん(左)。あうんの呼吸で、息の合った仲よし姉妹

威厳のある“大将”をやさしい朋子さん、美和子さんが支える店として親しまれたが、2010(平成22)年に賢一さんが他界。店を続けるか迷いもあったが、朋子さんが3代目店主として継続することに。「そのころ、私はもう60代だったし、ほかに仕事もなかったでしょ」と朋子さんは笑う。

以前、出前をしていたころの名残りが感じられる創業当時の岡持ち

平日はビジネスマンやショップ店員などでにぎわう店。休日には、常連のビジネスマンが家族をともなって訪れたり、昔通っていたという客が遠方から訪ねて来たりすることもあるという。「カップルで来ていた2人が結婚して、子ども連れで来てくれたりするのもうれしいの」と朋子さんが微笑むように、移り変わりの激しい繁華街で長年愛されてきたのには理由がある。

松坂屋名古屋店の向かいで創業し、1987(昭和62)年に現在の場所に移転。食器は当時から大切に使い続けているものが多い

朋子さん、美和子さんのほかも、お母さんのように身近に感じる女性スタッフばかり。「実家に帰ったような気分になる」と言われる居心地のよさは、簡単に醸し出せるものではない。お客さんを思いながら手作りする料理や心からの笑顔、優しさがあふれた会話が人の心をとらえ、「また来たい」と感じさせるからだろう。【東海ウォーカー/豊野貴子(エディマート)】

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