「内定が決まった」は、日本語として間違っている⁉うっかり言いがちな二重表現32選
東京ウォーカー(全国版)
こんにちは。クイズを愛する2児のサラリーマンけんたろ(
@kenlife202010
)です。クイズ好きが高じて、日本語や雑学に興味を持つようになり、X(旧Twitter)やVoicyではクイズを中心に言葉の知識や雑学ネタを発信しています。
こちらでは「言葉にまつわる知識」をテーマに、よくある日本語の間違い、実は知らない身近なモノの名前、漢字、社会人としての言葉、言葉の雑学などをお伝えしていきます。
今回は
「実は二重表現」
です。
日本語は同じような意味でもさまざまな言い方が存在します。また、私たちが意図する以上の意味を含んでいるような言葉もあります。たとえば、「頭痛が痛い」「被害を被る」「事前予約」など。なんとなく使ってしまっている言葉はありませんか?
今回はそんな実は二重表現になっている言葉を32個ご紹介します。
一番最初に
強調するような形で使われることをよく耳にしますが、「一番」と「最」は意味が重複します。同じ理由から「一番最後」「一番ベスト」なども誤りです。
約◯ほど
「約1時間ほどお時間かかります」などと店先で聞くこともありますが、「約」と「ほど」はどちらも数の程度を表しているため意味が重複します。「約1時間」「1時間ほど」にすべきです。
享年◯歳
訃報と共に「享年80歳」という言葉を目にすることも多いですが、享年とは「天から享(う)けた年数」のことを意味する仏教用語であり、「歳」をつける必要はありません。
製造メーカー
よく機材のトラブルなどが起こると、「製造メーカーに問い合わせます」と言われますが、「メーカー」とは製造業者のことなので意味が重複しています。「メーカー」だけで問題ありません。
被害を被る
ニュースなどでも「地震の被害を被る」という言い方をすることがありますが、本来は字を見ればわかるように「被害」自体が「害を被る」ことを意味しています。正しくは「被害を受ける」や「被害に遭う」となります。
従来まで
「従来までの建築様式」のような使われ方を目にすることもありますが、「従来」は「以前から今まで」を意味しています。そのため、「従来まで」「従来より」「従来から」のような使い方は重複しており間違っています。
満天の星空
夜空を見上げながら「満天の星空だね」と恋人に甘く囁いている人はいないでしょうか。「天」が「空」を意味しているため意味が重複しています。正しくは「満天の星」です。恋人から冷められないように気をつけましょう。
元旦の朝
旦という字は太陽が地平線から昇ってくる様子を表している漢字です。そのため「元旦」だけで朝の意味を含んでいます。朝を強調したいのであれば「元日の朝」というのが正解です。
後遺症が残る
「後遺症」の「後遺」とは「後に残る」という意味です。そのため動詞に「残る」を使うと重複してしまいます。正しくは「後遺症が出る」となります。出ないことを切に願いますが。
頭痛が痛い
もはや二重表現のネタの代表格として扱われることの多い表現です。漢字の通り、「頭痛」は「頭が痛い」という意味ですので、「痛い」の意味が重複しています。「腹痛」「筋肉痛」なども同様です。
内定が決まる
就職活動中にようやく内定が出ると、つい「内定が決まったー!」と叫びたくなりますよね。しかし、「内定」は内々に決まることを意味するため、「決まる」と意味が重複します。
募金を集める
「募金」は漢字の通り「お金を募る」なので、「集める」の意味が含まれています。そのため「募金を募る」も意味が重複しています。正しくは「募金をする」「寄付金を募る」などの言い方になります。一方で最近はお金を出す側も「募金をする」と言うようになっており、新たな「募金」の用法が生まれてきています。
過半数を超える
投票の結果を伝えるシーンなどで耳にすることもありますが、「過半数」の「過」と「超える」は意味が重複しています。正しくは「過半数を占める」となります。
すべて一任する
仕事で抜擢されて上司から「君にすべて一任するよ」と言われるのはカッコいいですが、日本語としては残念ながら間違っています。「一任する」は「すべて、一切を任せること」を意味します。そのため「すべて」を付け加える必要はありません。また、「一任」の「一」は一切の一なので、一人に任せるという意味ではありません。
はっきりと明言する
「明言」ははっきりと言うことを意味するため意味が重複します。同じ理由から「はっきりと断言する」の言い方も誤りです。
連日〜が続く
お天気コーナーでよく「連日猛暑日が続きます」「連日寒い日が続いています」と聞きますが、「連日」と「続く」では意味が重複します。正しくは「連日猛暑日です」や「寒い日が続いています」となります。
IT技術
ITとは“Information Technology(情報技術)”の頭文字であるため、「技術」はここに含まれています。ただ「IT技術者」はよく耳にしますし、ITに関わる技術者ということで特に問題ない印象です。
第◯回目
「記念すべき第1回目!」のように使われているのをよく目にしますが、「第」も「目」も数字について順序を表す語であるため、同時には使いません。正しくは「◯回目」「第◯回」と表現します。
各〜ごと
「各」と「ごと(毎)」はどちらも「それぞれ」と同じ意味であるため同時に使うと意味が重複します。「各〜」か「〜ごと」のどちらかにしましょう。
まだ未定
予定を確認すると、「まだ未定です」と返されることが多いですが、「未定」の「未」は「まだ」の意味です。そのため「まだ」を付ける必要はありません。
加工を加える
「加工」には漢字の通り「手を“加える”」の意味が含まれているため、述語で「加える」を使うと意味が重複します。シンプルに「加工する」もしくは「加工を施す」が正しい表現です。
捺印を押す
重要書類を提出する際などに求められる捺印ですが、「捺印」とは「印を押すこと」なので、「捺印を押す」では意味が重複します。そのため「捺印する」「印を押す」が正しい表現となります。
余分な贅肉
「贅肉」はそもそも余分な肉のことを指しているので、「余分な」を加える必要はありません。お腹まわりについた贅肉を落としたい今日この頃です。
酒の肴
「肴」とはお酒を飲むときに楽しむ食事のことを指します。そのためわざわざ酒を付ける必要はありません。ただ、「さかな」と言うと「魚」を連想する人がほとんどのため、「酒の肴」と言うのが一般的です。熟語でも酒と肴の組み合わせのことを指す「酒肴(しゅこう)」があります。
後で後悔する
「後悔」は文字通り「後で悔やむ」ことを意味するため、「後で」を付け加える必要はありません。ただ、この「後で」は未来の時点を表しているため、意味としては「将来のある時点で後悔する(可能性がある)」となり、二重表現とは言い切れないという解釈もあります。
楽観視する
「楽観」の「観」は「見る」の意味であるため、「視」と意味が重複します。ただ「楽観視」が市民権を得てきつつあるのも実際のところで、同じ構成である「客観視」に関しては「客観する」と使う人はほとんどいません。
炎天下のもと
夏の甲子園の実況などで「炎天下のもと試合が〜」と耳にすることがありますが、「炎天下」の「下」と「もと」は意味が重複しています。同様の理由で、「炎天下の中」と表現するのも間違いです。正しくは「炎天下で」「炎天の中」と表現します。
発売開始
よく新商品が出ると「◯月◯日より発売開始!」と目にしますが、「発売」とは「商品を売り出すこと」のため開始の意味合いが含まれています。シンプルに「発売」とするか「販売開始」とするのが正しい表現となります。
事前予約
「予約」の「予」は「あらかじめ」を意味しており、「あらかじめ」を意味する「事前」と共に使うのは意味が重複しています。「予約」だけで十分です。
違和感を感じる
「違和感」は「しっくりしない感じ」という意味なので、「違和感を感じる」では「しっくりしない感じを感じる」となり意味が重複します。「違和感がある」「違和感を覚える」が適切です。
お体をご自愛ください
季節の変わり目やビジネスメールの結びなどで「暑い日が続きますが、くれぐれもお体をご自愛ください」といった文章をよく目にします。しかし、「自愛」とは「自分の体を大切にすること」という意味なので、わざわざ「お体を」と添える必要はありません。
留守を守る
「留守」とは家の人が外出中にその家を守ることです。つまり、「守る」の意味が含まれており意味が重複します。「留守」を使いたいときは「留守を預かる」とするのが適切です。
いかがだったでしょうか?「言われてみると確かに!」と思った言葉も多かったのではないでしょうか。なかには強調の意味や、同音の単語と区別するために使っているケースもあります。普段の生活では気にすることはないかもしれませんが、公の場で喋るときや文章を書くときなどは二重表現を避ける方がいいでしょう。
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