コーヒーで旅する日本/関西編|素朴な疑問から広がったコーヒーの世界。多くの人の縁を得て進化を続ける継承喫茶。「カフェ シルフィード」

東京ウォーカー(全国版)

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自分から行動を起こせば世界は広がる

「長年、受け継がれた空間を活かしつつ、肩肘張らずコーヒーを楽しめる場所にしたい」と加藤さん

街の喫茶店らしく、難しい話は抜きで、「コーヒーで世界旅行気分を味わってもらう感覚で、豆の種類の幅を広げてきました」と加藤さん。また、あえてフロアの中に焙煎機を置き、作業を客席から見えるようにすることで、コーヒーが出来上がるまでの過程を身近に感じられるのも、ここならでは。「喫茶店らしく、焙煎も開放的にやろうかなと思って。焙煎を始めたころに言われた、“楽しくやらないとおいしくならないよ”というアドバイスが、今も心に残っていて。数値やデータも大事だけど、それだけ見ているとお客さんの方を見なくなるから」。大阪では、古い喫茶店をそのまま活かした継承喫茶のスタイルが増えているが、焙煎も含めた店とお客の距離の近さはなかなかない。

オリジナルクッキーが付いた、ペアリングセット950円


加藤さんが継いでからでも、すでに20年を超えたが、当初とは自身の心境も大きく変わったようだ。「はじめは、同業のつながりも何もなくて、悶々としていたから、今は多くの人と交流できるのが楽しい。特にコーヒーアミーゴスは自主参加の集まりで、店主さんだけでなく、趣味で好きな人も来る場所。今は、そういう自分が得たつながりの中で、縁ができたコーヒーを飲んでもらいたいという思いもあります」。先々は、コーヒーを通して、子どもと交流する場を作りたいとも考えているそうだ。

「飲み物だけではとどまらず、コーヒーのことを知ってほしい。コーヒー染めとかコーヒーノキの栽培とか、世界地図を見ながら産地の説明をしたりするのもおもしろい。抽出は理科の実験みたいだし、歴史や地理、外国語にも広げていける。いろんな形で子どもたちの興味の湧くことに触れられる場にできたら」。そこには自身が、これまでコーヒーから多くのことを教えられ、思わぬ形でコーヒーの世界に自分の居場所を見つけたという思いも重なっているかもしれない。「特にこの10年は、自分から動けば世界は広がるんだなと実感しました」という加藤さん。古くて新しいこの店は、今も少しずつ魅力を広げている。

カウンターには各国の多彩な豆がずらりと並ぶ


加藤さんレコメンドのコーヒーショップは「バーンホーフ」

次回、紹介するのは、大阪市の「バーンホーフ」。
「店主の安部さんとはコーヒーアミーゴスの活動が、ご縁の始まり。異業種から転身されて、東京の自家焙煎の名店・カフェ・バッハで学んだ知識や技術、コーヒーのクオリティを継いでおられます。私が、豆のソーティングの大切さを教えてもらったのも安部さんから。コーヒーはもちろん、自家製スイーツの開発にも真摯に取り組んでいて、お客さんを大事にしている姿勢が伝わります」(加藤さん)

【カフェ シルフィードのコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル 1キロ(半熱風式)
●抽出/ハンドドリップ(カリタウェーブ)
●焙煎度合い/中煎り~深煎り
●テイクアウト/あり(500円~)
●豆の販売/ブレンド2種、シングルオリジン約10種、100グラム700円〜

取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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