柴咲コウ「自分が思う自分と、他者が見る自分の評価って一致しないときもある」家族のことで悩んだ経験も活かして挑んだ最新作

東京ウォーカー(全国版)

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「いるだけでいい存在」柴咲コウが考える家族とは

――村井さんご本人と直接お話はされましたか?

【柴咲コウ】監督の提案で、オンラインでインタビューさせていただきました。村井さん自身の口からお兄さんの話を聞くことで、話し方や感情の表現、他者への伝え方など、演技の参考になりました。「なるほど、こういう人なのか」というリアルを感じられておもしろかったです。

©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会


――直接話すことで、村井さんの人物像について学んだことはありますか?

【柴咲コウ】村井さんご自身の自己評価と、監督の解釈のギャップが印象的でした。自分が思う自分と、他者が見る自分の評価って一致しないときもあるわけで、その両方の意見が聞けたのがよかったなと思います。

村井さんは、家族といっても自立した人同士だから一定の距離を保つ必要がある、でも愛情はしっかり持っているという考え方の人なんです。

私自身も家族に対してベタベタしすぎないタイプなので、その感覚に共感できました。

撮影=八木英里奈


――物語の冒頭で、「家族とは何でしょうか?」と質問された“理子さん”が言葉に詰まるシーンがありました。柴咲さんならどう答えますか?

【柴咲コウ】今、ぱっと思いつくのは「いるだけでいい存在」です。期待しすぎず、適度な距離感でいられる関係が支えになる。

支えだからこそ、多く期待したり心配したりしすぎると、煙たがられて、エゴとエゴのぶつかり合いになってしまうんですよね。だからといって距離感が遠すぎるとさみしいなとも思うので、その塩梅が難しいですけど。どうやって声をかけるのか、たまには電話をしてみようかなとか、互いに思いやりを持って、適度に接する関係でありたいですね。

©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会


――柴咲さんは、映像作品で「家族」が描かれ続けることのおもしろさをどう考えていますか?

【柴咲コウ】家族は切っても切れないものだからこそ、思い悩んでいる人もいるでしょうし、ほかの人が家族とどう接してるのかということは、見えづらい部分でもあります。

だからこそ、作品を通して自分の経験を投影することで、救いになる部分もあるんじゃないのかなと感じます。私も過去に家族のことで悩んだ経験があるので、家族構成や状況は違っても、演じながら“理子さん”の気持ちを理解していました。

撮影=八木英里奈


――本作を通して新たに感じたことはありますか?

【柴咲コウ】“理子さん”のしっかりした真面目な部分と、自分自身が重なる瞬間が多かったです。家族や仕事において迷惑をかけずにきちんとこなす姿勢を演じる中で、自分自身の生活や考え方も見直すきっかけになりました。

――最後に、本作を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

【柴咲コウ】家族の距離感や支え合う姿、そこにある優しさや温かさを感じてほしいです。笑いと涙が自然に混ざる映画なので、肩の力を抜いて、日常の中の演劇を楽しむような気持ちで観ていただけたらうれしいですね。

撮影=八木英里奈


取材・文=イワイユウ

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