台風21号の被害から “関西国際空港”が9月21日に完全再開!早期復旧の裏側に迫る

2018年10月24日 18:00更新

関西ウォーカー 関西ウォーカー編集部

Twitterで
シェア
Facebookで
シェア

2018年9月、未曾有の台風により被害を受けた関西国際空港の早期復旧への道のりに迫る。<※情報は関西ウォーカー(2018年10月23日発売号)より>

多くの外国人観光客を中心に、今までのにぎわいを取り戻している/関西国際空港

多くの外国人観光客を中心に、今までのにぎわいを取り戻している/関西国際空港

すべての画像を見る(8件)

大型台風21号により損壊 孤島となった関西国際空港

9月4日、大型台風21号が関西圏を直撃、大阪や兵庫に多くの被害をもたらした。なかでも関西国際空港では、13時38分時点で最大瞬間風速58.1m/秒を記録。皮肉にも24年前に関西国際空港が開港した同じ日に、滑走路が冠水、強風により大型タンカーが連絡橋に衝突するなど、関西の交通の要が機能停止に陥った。

9月4日の第1ターミナルの様子。停電になったため、利用客は暗い館内で一夜を過ごした/関西国際空港

9月4日の第1ターミナルの様子。停電になったため、利用客は暗い館内で一夜を過ごした/関西国際空港

その被害の大きさから一時期は、“復旧の見通しが立たない”などのニュースが流れたが、わずか17日後の21日に復旧をとげ、これまでどおりの活気を取り戻している。

「台風当日は多くの便の欠航が決まっていたので、本来ならお客様も少ないはずでした。ところが、翌日に延期された便に乗ろうとするお客様が、鉄道が運休する前に空港に向かったことなどから、ターミナルにはたくさんの方が待機していました」と関西エアポート株式会社、広報・ブランディングチームの升谷淳子さん。結果として、タンカーの衝突により連絡橋は通行不能、夜の便も相次いで欠航となったことから、多くの利用客がターミナルに取り残された。

「4日は外にも出られない状況でしたが、いつ再開できるかわからないなかでお客様を待機させ続けるわけにはいきません。そこで、ベイ・シャトルさんに協力要請し、翌5日早朝から海路で神戸空港までお客様を送っていただきました」と升谷さん。不幸中の幸いか、連絡橋も片側通行できることが判明したため、間もなくシャトルバスも運行され、客のすべてが5日中に空港から脱出できた。

段階的に復旧が進み17日後に完全に再開

2階のレストラン街も全店が再開し、昼時には行列ができるほどの活気にあふれている/関西国際空港

2階のレストラン街も全店が再開し、昼時には行列ができるほどの活気にあふれている/関西国際空港

とはいえ空港の機能は停止したままで、滑走路の水抜き作業や電気の復旧作業は不眠不休で行われた。そして3日後の9月7日、比較的被害が少なかったB滑走路の運用が再開され、国内線の一部が運航。1週間後の14日には、A滑走路と第1ターミナルビル南側が機能を取り戻し、約50%の便が運航された。さらに、地下にある電気設備の浸水により停止していた一部のシステムも懸命の復旧作業が行われ、21日には第1ターミナルビル北側も再開し、約90%の飛行機が離着陸できるようになった。

【写真を見る】9月4日、飛行機は3、4機を除き退避していたが、現在は各社の飛行機が並ぶ従来の姿に/関西国際空港

【写真を見る】9月4日、飛行機は3、4機を除き退避していたが、現在は各社の飛行機が並ぶ従来の姿に/関西国際空港

「電気や空調も十分ではなく、食料も空港外から持ち込むしかない状況のなか、1日も早い空港の再開に向けて関係の皆さんが不眠不休で本当に頑張ってくれました。現場の方たちの協力なしに、今回の早期復旧はなかったでしょう」と升谷さんは話す。

寿司やうどんなど12店が集まる1階のフードコート町家小路も昼時は満席に/関西国際空港

寿司やうどんなど12店が集まる1階のフードコート町家小路も昼時は満席に/関西国際空港

JR、南海、鉄道の復旧が空港に活気を与えた

「空港が再開しても、本当にお客様に利用してもらえるか不安でしたが、前年と比べても90%程度の方が来られていて、正直ホッとしています」と升谷さん。再開後も台風前と変わらぬ活気を見せているのは、9月18日に鉄道が再開したのも大きいという。

天王寺〜関西空港間を約38分で結ぶJRの特急はるかなど、18日に電車の運行が再開された/関西国際空港

天王寺〜関西空港間を約38分で結ぶJRの特急はるかなど、18日に電車の運行が再開された/関西国際空港

タンカーの衝突により鉄道のレールにずれが生じ、14日より本格復旧工事が行われ、4日後の18日にはJR、南海共に運行を再開。関西国際空港を訪れる約5割が電車を利用していることから、鉄道の復旧が関西国際空港の再開に希望の光を当てたと言っても過言ではない。ちなみにネクスコ西日本の発表では、破損した連絡橋の道路を14日に撤去。新しい橋桁の架け替え工事が来春から行われ、GWをめどに完全復旧を目指しているという。

展望ホールから望む連絡橋。タンカーが衝突した手前の片側車線が撤去されている/関西国際空港

展望ホールから望む連絡橋。タンカーが衝突した手前の片側車線が撤去されている/関西国際空港

現在は一部の片側車線に中央分離帯が設置され、10月6日にはマイカー通行も可能に。取材日(10月10日)は車で空港へと向かったが、渋滞もなくスムーズに移動できた。

有識者による原因究明でさらなる安全策を講じる

「今回、滑走路が冠水した理由が、高潮なのか高波なのかなど、原因究明と今後の対策のための検証を進めています」と升谷さん。有識者らで組織される第三者委員会も立ち上げ、原因究明を進めるという。

9月30日夜に上陸した大型台風24号では「護岸に2万4千個の土嚢を積み上げたり、電気系統が浸水しないように止水板を増強するなどの対策を講じました」と、台風21号の教訓を受けて応急措置ながら迅速な対応が行われ、また滑走路の計画閉鎖を行ったため、旅客の滞留も見られなかったそうだ。根本的な解決策はこれからだが、原因を究明し、アジアが誇る防災機能を兼ね備えた安全なハブ空港として生まれ変わることに期待したい。

展望ホールからの眺め。修学旅行生なども多く、飛行機の離着陸などを間近に楽しんでいる/関西国際空港

展望ホールからの眺め。修学旅行生なども多く、飛行機の離着陸などを間近に楽しんでいる/関西国際空港

数字で見る復旧のポイント

【17日】台風の3日後にB滑走路、10日後にA滑走路と第1ターミナルビル南側、17日後に第1ターミナルビル北側が再開、従来の機能が復旧した。

【約95%】被害を受けてから、旅客機が離着陸する10月(1日〜10日)の旅客便数が計画比95%以上に。他空港への振替も、11日に終了した。

【4日】連絡橋の破損部分の撤去作業が14日に終了し、そこから鉄道の復旧作業を開始。4日後の18日にはJR、南海共に運行が再開された。

■関西国際空港/1994年9月4日に開港した、大阪湾内の泉州沖に浮かぶ海上空港。2007年には2本目の滑走路が整備され、関西、日本はもとよりアジアのハブ空港として多くの外国人も訪れる。2017年には2880万人が空港を利用した。<住所:大阪府泉佐野市泉州空港北1 電話:072-455-2500 時間:24時間 駐車場:約6500台(30分無料、以降15分で100円~110円ほか) アクセス:JR、南海関西空港駅と直結>

この記事の画像一覧(全8枚)

大きなサイズで見る

キーワード

関連記事

特集

ページ上部へ戻る