40周年の「うまい棒」誕生秘話、限界まで10円貫く原動力は「子どもへの恩返し」
東京ウォーカー(全国版)
販売終了と再販繰り返し “粘り強く”人気得るなっとう味
酒のつまみから生まれためんたい味は、コンポタ味、チーズ味に並ぶ売り上げを誇る人気フレーバーとなった。売り上げとしてはこれにやさいサラダ味、たこ焼き味、サラミ味と定番の味が続くが、近年ではシュガーラスク味など、甘いうまい棒も急速に人気を集めている。
一方で、販売終了とリニューアルを繰り返し着実に人気を伸ばした味もある。1993年に発売され、約1年で一度販売を終了したなっとう味だ。その後、1995年、2003年にリニューアルしてそれぞれ再発売するも、いずれも数年でラインアップから姿を消していた。現在のなっとう味は、2012年に発売された第四期。うまい棒を製造するリスカが茨城県のメーカーということもあり、なっとう味は特に思い入れの深い味だという。
「最初のなっとう味は香料を使って納豆の味を再現していましたが、やはり実際の納豆の味とは違うのではという声もあり、現在では納豆のフリーズドライパウダーを使うことで、唾液と相まってねばねばした納豆の風味が味わえるよう進化しています。また、関西では納豆を食べる習慣があまりなかったこともあり、当初は西日本での売れ行きが弱かったのですが、再販ごとにうまい棒ならではの味として認知されるようになり、2012年の第4期は過去最長の販売期間となっています」
そのなっとう味を含め、現在発売されているうまい棒は、限定商品を除く通常フレーバー14種と、10本入りで販売されるプレミアムうまい棒3種。これまでに発売された総フレーバー数は50種類以上に及ぶ。常に新たな味を開発する営みそのものが、うまい棒が愛され続ける理由の1つとなっている。
パッケージのアイツの名は「うまえもん」、38年目にしてようやく命名

うまい棒を語る上で欠かせないのが、パッケージに描かれたキャラクター「うまえもん」だ。実はその名称は、2017年まで公式には定まっていなかった。
「インターネットが普及してから、地域によってパッケージキャラクターが『うまい棒くん』や『うまい坊や』など、さまざまな呼ばれ方をされていると知りました。中でも『うまえもん』という呼び名が主流のようだと把握はしていましたが、それぞれの名前で親しまれている中で公式な名称を定めてしまうのもどうかと考え、公式には『うまえもんという呼ぶ方が多いみたいですね』という程度にとどめていたんです。
ただ、2017年に妹キャラクター「うまみちゃん」が登場したのを機に、誰の妹なのかと説明する必要があり、『では、うまえもんでよいのでは』という流れで名称が決まりました」
これまでも、カラオケブームやJリーグ開幕など、世相を反映したパッケージの中でコミカルに描かれてきたうまえもん。うまえもんのデザインはアレンジし続ける一方、パッケージの「うまい棒」のロゴタイプは変えずに定番としての安心感を保っているという。
限界まで10円を死守、貫く想いは“子供への恩返し”

味の多彩さや愛されるキャラクターで国民的支持を得るうまい棒だが、その地位は決して安泰というわけではない。2019年10月には消費税増税が控え「うまい棒も値上げするのでは」との声もある。さらに、高級志向の菓子の台頭や、ライフスタイルの多様化によって、小売店で駄菓子が占める割合は減少しつつある。そうした中でも田中さんは「できる限りは10円で続けていきたいという思いはあります」と思いを明かす。
そうした努力を払い、やおきんが低価格な駄菓子を作り続ける裏には、これまで駄菓子を買ってきてくれた子どもへの恩返しの思いがあるという。
「うまい棒はCMや広告を打つ予算自体がありません。その分、新しい味や、うまい棒の世界観を広げることで、子供の頃にうまい棒を食べた方が大人になっても『うまい棒は置いてほしいよね』『駄菓子があると楽しいよね』と思っていただけています。
100円あったらたくさんの種類が選べるのがうまい棒の、そして駄菓子の強みです。子供が安心して、喜んで食べていただける駄菓子は弊社の柱として、これからも作り続けていきたいと思っています」
おいしさも多様化する時代の中、うまい棒は子供から大人まで楽しめる駄菓子の楽しさで生き残りを図っている。
国分洋平
同じまとめの記事をもっと読む
この記事の画像一覧(全8枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介