ローカル大会にドラマが!愛知で引退するフィギュア選手

東京ウォーカー(全国版)

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3月12日(木)から15日(日)まで、日本ガイシアリーナにて愛知県フィギュアスケート選手権大会が開催される。愛知県の選手にとってはシーズンの総決算であり、今季限りで引退する選手にとっては、現役最後の大会でもある。

シニアカテゴリーで、全日本もしくは国体に参加経験のある愛知県所属の選手には、引退セレモニーも用意される。この大会で引退を迎える3人の選手に、現役生活を振り返ってもらった。

まず紹介するのは、江口涼一。「現役最後のシーズンは充実していました。悔いはありません」。主将を務めている中京大学スケート部は、1月のインカレで男女ともに総合優勝を果たし、最高の結果を残した。

キャリアのスタートは名古屋・大須のスケートリンクだ。グランプリ東海クラブに所属した後、邦和スケートクラブに移籍したが、中京大学入学後、再び選択を迫られることに。

「豊田キャンパスと邦和のリンクが遠くて、学業との両立が困難になりました」。名東クラブに移籍し、中京大学のリンクでの門奈コーチの指導によって成果も出た。2011年・2012年と全日本選手権に2年続けて出場。長い競技生活の中で最も感慨深い経験だったという。

「満員の観客の中で演技できることは、プレッシャーもありましたが、喜びが勝りました」。

そして、大学では3年生から2年連続で主将を務めた。「長い現役生活を通して、スケートの技術以上に、人間性や礼儀作法など、人として大切なことを学びました。卒業後の人生にも生きると確信しています」。

後輩に対しての期待も大きい。「来年からは橋爪峻也が主将を務めます。彼にはチームの団結力を高めること、目標を全員で共有して物事に取り組んでいくことなど、主将としてやるべきことを伝えました」。

最後の演技となる今大会は、思い入れのある楽曲を選んだという。ショートは「海猿」、フリーは「海の上のピアニスト」だ。「楽しんで滑りたいと思っています。門奈先生からは『悔いのないように、笑って終われるように滑ってらっしゃい』との言葉をかけられました」。

卒業後は、フィギュアスケートとは距離を置き、社会人として仕事に専念する。

次に紹介するのは、同じく中京大学の河野有香。大学進学を機に愛知県に拠点を移した選手だ。「高校までは広島で秦先生のもと練習してきました。秦先生と門奈先生に親交があったのが縁で、進学後は門奈先生に師事しました」

今季のインカレには並々ならぬ思いがあったようだ。「アベック優勝できたことが幸せでした。それまでは3位が最高で、どうしても表彰台の真ん中に上りたかったんです。『最後の年に先輩を優勝させよう』と、後輩が一丸となって取り組んでくれました。チームが一致団結して勝ち取った優勝は一生の思い出です」。

現役生活の中での一番の思い出はイタリアで開催されたメラーノ杯だ。「高校3年生の時に強化選手になって、ほぼノーミスの演技で2位を獲得。小さい頃から強化選手になることが夢でした」。

卒業後はプリンスアイスワールドに入り、ゴールデンウイークの公演から出演する予定だ。

「門奈先生からは『楽しんで悔いのない試合をしなさい』と言葉をかけてもらいました。最後の試合は感謝の気持ちを込めて滑ります」。

最後は梅林暁乃。静岡県所属の選手なので、今回は引退セレモニーへの参加資格はない。それでも彼女は愛知県を引退の場に選んだ。「愛知県は、私が子どもの頃から練習や試合でお世話になった第2の故郷です。ここで引退したかったんです」。

愛知では門奈コーチ、東京では樋口豊コーチに素晴らしい技術を教わったことが財産だと語る。今回の引退試合は、久しぶりに門奈コーチがリンクサイドに立つ。「残り1年、全ての試合を楽しんで」。1年前にもらったアドバイスどおり、満足できる現役最後の年を過ごしたようだ。

最も思い出に残っている試合は高校1年生の時に参加した愛知県TP大会。村上佳菜子など、強豪がひしめく中で良い演技を披露し、4位に食い込んだ試合だ。卒業後も仕事の傍ら、フィギュアスケートにも関わっていきたいとのこと。

「静岡県のフィギュアスケートを盛り上げたいんです。国体の引率の資格を取ったので、監督として国体に帯同したり、静岡県の選手が足りない時には自分が演技することも考えています」。

大学に進学後、愛知県の試合で滑ったことはほとんどない。今回の引退試合への意気込みも人一倍強い。「以前よりジャンプの力は落ちてしまいましたが、東京でスケーティングを鍛えてもらい、昔、愛知県で滑っていた頃よりも上達できました。成長した姿を皆さんに見せたいです」。

江口涼一、河野有香、梅林暁乃、現役生活最後となる3人の演技を現地でぜひ観戦してほしい。フィギュアスケートへのそれぞれの思いをひしひしと感じられる素晴らしい大会になるはずだ。また、3人にとっても良き思い出となる試合になることを願っている。【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

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