フィギュアペア高橋・木原組、世界選手権での挑戦

東京ウォーカー(全国版)

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2013年の夏、「THE ICE」で初お披露目となった高橋・木原組の演技を、満員の観客はうれしい驚きをもって迎えた。ペア結成の発表からわずか半年、一抹の不安を胸に演技を見守ったファンも多かった中、2人は見事な演技を披露した。

その後も期待にたがわぬ成長を見せ、結成初年度にしてソチ五輪へ出場。若いペアの将来に、大きな期待が寄せられた。

迎えた2シーズン目、“ペアらしい演技をする”だけでファンが満足してくれた初年度と違い、より一層の内容を求められる立場となった彼らは、壁を乗り越えられずに苦しんでいるようにも見える。だが彼らは、一段上のレベルを目指し、黙々と練習に励んでいる。

2月に韓国で開催された四大陸選手権では、総合10位と不本意な結果に終わった。しかし演技後の取材で、決して下を向かない前向きな姿を見せた。

「特別悪いできだったわけではありません。ただ、できたはずのこと、やらなければいけなかったこと、そういった取りこぼしが悔しくて…ホテルに戻ってから映像で見直しました」と木原は語る。

高橋は、「今年はイベントが多いので、疲れは確かにありますが、自分たちにとっては経験を積むことが何よりも大切。決して負担ではありません」と続ける。

2人とも、自分たちの置かれている状況を理解し、期待に応えようと奮闘している。

「出ることが目標だったソチ五輪と違い、平昌五輪は結果が求められます。今のままではそれは叶わない。全てにおいて、今よりも進歩しなければいけません」と木原が語るように、現状にはまったく満足していない。

そのために、いくつもの壁と対峙し、乗り越えようともがいている。2人が目指す高みは遥か先だが、まず乗り越えるべき壁は何だろうか?

木原は明確な回答を持っていた。「今はツイストリフトが、ダブルでしかできていません。これをトリプルにすること。そしてユニゾン(2人が息を合わせ、細かな動作までタイミングを合わせること)と、スピンのバリエーションを向上させたい」。

どれもこれも、ペアとして世界で戦うために避けては通れない課題だ。特にユニゾン。これこそが、ペア競技の根幹をなすと言っても過言ではない。

ユニゾンに秀でたペアの、一挙手一投足がそろった演技は芸術の境地に達する。もちろんそれは簡単ではない。

例えばサイドバイサイド(2人が隣り合って同じ技を行うこと)のジャンプ。2人がそれぞれ勝手に跳べば、当然、筋力の強い男子が高く、滞空時間の長いジャンプを跳んでしまう。それではユニゾンは台無しだ。

ペアの男子は女子のジャンプに合わせて跳ばなければならない。さらにリフトやスロージャンプをこなすためにシングルとは比較にならないほどの筋力が必要になる。

これによってジャンプが崩れるリスクも高い。ただ、この点を木原に聞いてみたところ、

「自分の場合は、元々筋力がなかったこともあり、筋トレをすることでかえってジャンプの強化につながりました。筋肉がついてジャンプが崩れる、というのは自分の場合には当てはまりませんでした」とのこと。

2人は世界の舞台で戦って、世界のレベルを肌で知り、そしてその経験を国内に還元することの重要性も感じているようだ。

世界のトップ選手の演技に圧倒され、それを追いかけつつも、同時に後輩のペアに経験を伝えていくことで、ペアが国内でもメジャーな競技になることを願っているという。

上位のペアと伍して戦えるようになるための課題を高橋は自覚しているようだ。

「最近、ジャンプが不調なのは、メンタルの問題だと分析しています。技術は確実に向上しているのに、それを大事な場面で決めるだけの自信がまだついていない。これは自分が変わるしかない。悔しいけれど、決して悲観はしていません」。

上位のペアは自信に満ち溢れているそうだ。「たとえ小さなミスがあっても、全体の印象としてそれが気にならないように仕上げる。さらに一層上のレベルを目指して努力しています。自分たちもいつか、そういうレベルで戦えるようになりたい」。

現在の彼らの苦悩は、目指すべき高みへたどり着くための、避けては通れないプロセスなのだ。すぐに結果が出るものではない。それでも決して悲観することなく前を向く彼らを、心から応援したい。目前に迫った世界選手権、日本からも精一杯の声援を送ってほしい。【中村康一】

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