チーム広報が語る、名古屋グランパスのクラブ改革《10周年特別企画・後編》
東海ウォーカー
ピクシー体制の終焉。リーグ初制覇のその後

2010シーズンに悲願のリーグ初制覇を達成すると、“ピクシーグランパス”はACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)に出場しながらJリーグを戦った翌2011シーズンも好成績を残す。第29節から最終節まで怒涛の6連勝を見せるなどして、柏レイソル、ガンバ大阪と3つ巴の死闘を演じたが、惜しくも首位の柏にわずか勝ち点1およばず2位。2連覇の夢は潰えてしまったものの、ジョシュア・ケネディ選手の2年連続ゴールデンブーツ(リーグ得点王)獲得からもわかるように、チームとしても堂々と胸を張って振り返ることができるシーズンだった。

その後、ドラガン・ストイコビッチ監督は2013シーズンに勇退するまで、6年もの長きに渡ってチームの指揮を執った。これは現在もグランパスの歴史でもっとも長い体制となっている。グランパスのレジェンドでもあるカリスマは、プレイヤーとして2つの天皇杯を、そして監督としても1つのマイスターシャーレをクラブにもたらしたのだった。
オリジナル10の失墜。J2降格が与えた衝撃

そこからのグランパスは、お世辞にも“順風満帆”とは言い難い状況だった。なかでもクラブにとって大きな転機となったのは2016シーズン。グランパスは初めてJ2降格という憂き目にあう。鹿島アントラーズと横浜F・マリノスと共にJ2降格経験が一度もなかった“オリジナル10”のビッグクラブの失墜は、日本のサッカー界に大きな衝撃を与えた。梅村氏は当時について、クラブを見直すいいきっかけになったと振り返る。

「選手たちはもちろん努力していましたが、結果を出すことができず…グランパスを応援していただいている皆様を悲しませることになってしまいました。でも、今はネガティブなことばかりだったと思っていません。残留争いをしている時には、皆様から温かい声をたくさんいただきましたし、窮地のグランパスを後押ししようとスタジアムに戻ってきてくれた往年のサポーターも大勢いました。これまでのグランパスは、皆様に『なんとなく街に存在しているチーム』というイメージを持たれている気がしていました。『支えても支えなくてもどっちでもいい。自然と街にあるものだ』と。でも、降格という危機に直面したことで、サポーターや地域の皆様に『私たちが応援しなきゃいけない』と、改めて思っていただけた感覚がありました。それがクラブの大きな支えになりましたし、結果としてJ2降格となってしまいましたが、あの時の皆様のサポートが追い風となって、1年でJ1に復帰できたと感じています」(梅村郁仁氏、以降発言部分はすべて同氏)
目に見える数字として表れたクラブ改革の結果
J2降格を経験したことでクラブの人気は落ち込むのかと思いきや、逆にJ1復帰後の方がより多くの観客数を記録している。その数字は、初めてのリーグ優勝を決めた2010シーズンをも大きく上回っているのだ。グランパスのホームゲーム1試合の平均観客数は、2009シーズンで1万5928人、2010シーズンはリーグ優勝の特需で増加して1万9979人、2011シーズンは1万6741人だった。その後も平均観客数は1万6000~7000人前後で推移していた。

しかし、J1に復帰した2018シーズンには22年ぶりに2万人を超え、クラブ歴代最高(当時)となる平均2万4660人を動員。2019シーズンはそれをさらに更新する同2万7612人を記録する。グランパスは確実に変わったのだ。かつては週末開催の試合で見たような観客数を、平日開催のホームゲームで叩き出すことさえある。実際にスタジアムへと足を運んでみれば明らかだが、今やグランパスのホームゲームはどのクラブにも負けないような高揚感や一体感にあふれ、初めてサッカー観戦に訪れる人でも自然と熱くなれる雰囲気に満ちている。なぜだろうか。そんな疑問を梅村氏にぶつけてみた。
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