三浦しをんが直木賞受賞作の続編を語る「多田と行天はつまり私自身なんです」

東京ウォーカー

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毎回、旬な人を紹介するこのインタビュー。今回は作家・三浦しをんに、新作「まほろ駅前番外地」について聞いてみた。

タイトルから推測できる通り、同作は2006年に第135回直木賞を受賞した「まほろ駅前多田便利軒」の続編だ。

「“東京”ウォーカーで紹介していただけるとは、まほろ感謝!という感じです」と笑顔を見せる三浦しをん。2つの作品の舞台となる“まほろ市”とは、実は作者が暮らす町田市がモデル。東京南西部に位置し「神奈川県だと誤解されがちでどっちつかず。町田市民にはそんな鬱屈した思いがある」ということだが、そもそもホームタウンを舞台にした理由は?

「良さも悪さも含めて郊外の話を書きたいと思ったのがきっかけです。改めて町田市を見てみると、結構変で面白い。核家族向けの画一的な街に見えるけど、駅前なんかは相当“はっちゃけて”いるんですよ。実はそういうエネルギーのある街なんだと気付いたんです」。

郊外の住宅地を舞台にしてはいるが、主人公は社会からはみ出した男たちだ。便利屋を営むバツイチの多田と、彼の高校の同級生で変わり者の行天(ぎょうてん)。彼らは、さまざまな依頼を持ち込む人々にかかわるうち、自分たちの内面に抱えたシビアな過去と向き合わざるをえなくなる。

「前作を書き終えた時、多田はそれなりに幸せそうだけど、行天はどうなっちゃうの、ということが我ながら気になったんですね。それで、これまで続編というものを書いたことはなかったけど、連載を再開しました。この作品ではいろんな登場人物の視点からストーリーが語られて、独立した短編集としても楽しんでいただけると思います。シリーズとしてはさらに、行天の抱える問題が解決するまで続けたいですね」。

駅伝や林業などを取材した作品でも評価を得ているが、このシリーズには、等身大の作者が色濃く反映されているという。

「多田と行天には、年齢的に無限の希望も可能性もないし、家族という安定した居場所もない。つまりそれは私自身なんです。むしろ、多田に嫉妬することすらありますね。いいな、1回は結婚したんだから、みたいな(笑)。でも“まほろ”では、そういう状態からの幸福の再生というものを描いていきたいです」。

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