コーヒーで旅する日本/九州編|佐賀にスペシャルティコーヒーを広め、今なお新たな体験を生む。「みちくさ コーヒーロースター&ダレカ コーヒースタンド」

九州ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

真摯にコーヒーと向き合い続け、佐賀を代表するコーヒーショップに

九州編の第37回は、佐賀市にある「みちくさ コーヒーロースター&ダレカ コーヒースタンド」。2011年12月からコーヒーの移動販売を始め、翌年4月に実店舗をオープン。最初から自家焙煎も行い、仕入れる生豆はスペシャルティコーヒーにこだわってきた。ただ、開業したころは佐賀エリアではスペシャルティコーヒーが浸透しておらず、言わば同店が佐賀におけるスペシャルティコーヒーの先駆け。移動販売からコーヒーと関わり始めて、約11年。佐賀を代表するコーヒーショップの一店となった「みちくさ コーヒーロースター&ダレカ コーヒースタンド」の今、そして未来のことを聞いた。

店主の古川幸平さん(左)、美香さん(左)夫妻

Profile|古川幸平(ふるかわ・こうへい)、美香(みか)
1987(昭和62)年、長崎県琴海町(現・長崎市)生まれ。大学進学を機に佐賀に移り住む。大学卒業後、同級生だった佐賀市出身の美香さんと結婚し、幸平さんは介護士、美香さんは保育士として佐賀市で働く。幸平さんの両親はコーヒー好きで、自宅でコーヒーを淹れて飲むのが当たり前の環境に暮らし、自身もコーヒー好きに。琴海町の隣町、時津町の KARIOMONS COFFEE ROASTER に客として偶然足を運び、当時、移動販売を行っていた同店のスタイル、浅煎りのスペシャルティコーヒーに感銘を受け、自身もコーヒーショップを開くことを決意。2011年、移動販売から「cafe みちくさ」を開店し、その約4カ月後、実店舗オープン。2021年9月、自宅兼店舗となったのを機に「みちくさ コーヒーロースター&ダレカ コーヒースタンド」に改名した。

原動力は「スペシャルティコーヒーを広めたい」

現在は東与賀佐賀線(県道260号)沿いに店舗を構える

佐賀エリアにおけるスペシャルティコーヒーを語る上で、「みちくさ コーヒーロースター&ダレカ コーヒースタンド」は外せない。もともと両親が自宅で日常的にコーヒーを嗜んでいたことから、自身もコーヒー好きになった古川幸平さん。おぼろげに「いつかは自分のコーヒーショップを」という思いは抱いていたが、大学卒業後は介護の仕事に就いた。幸平さんは「僕の人生を変えたのは、長崎県・時津町にある KARIOMONS COFFEE ROASTER さん。今は長崎市内にも店舗を構えるなど、九州でも広く知られたロースタリーになっていますが、僕が最初に店に足を運んだ時は、倉庫の中にそのまま車を停めた移動販売を主とするスタイルでした。ミニマムに店を営まれていて、このやり方だったら、今の僕にでもできるかもしれないと考え、すぐに準備を始めました」と開業当時を振り返る。

佐賀エリアにおけるスペシャルティコーヒーの先駆け

最初は佐賀市内のベーカリーの駐車場の一角を借り、介護の仕事の公休を利用し、コーヒーを販売。まずは知ってもらい、飲んでもらうという考えから、イベントにも出店する機会があれば、積極的に参加していたそう。「佐賀ではまだスペシャルティコーヒーという言葉を知っている人の方が少なかったですし、なにより浅煎り由来のアシディティが『酸っぱかね〜』となかなか受け入れられませんでした。ただ、隣県である福岡では、浅煎りのスペシャルティコーヒーはスタンダードになりつつありましたし、オリジナリティという意味で、自分自身が表現したい味わいを変えたくなかった。若かったこともあり、少し意地になっていたというのも少しだけ」と当時を振り返って笑う。

回数を重ね、磨いたロースターとしての技術と感性

実店舗を開くと同時に自家焙煎を開始

自身が感銘を受けたスペシャルティコーヒーを「より多くの人に」という思いで地道にコーヒーショップを営んできた「みちくさ コーヒーロースター&ダレカ コーヒースタンド」。少しずつファンを増やし、卸の注文も受けながら、焙煎量を増やしてきた。

【写真】2021年9月に新たな愛機となった焙煎機、GOLDEN

現在、使っている焙煎機はトルコのメーカー、GOLDENの5キロ窯。日本ではあまり見かけない珍しい焙煎機で、2021年9月、自宅兼店舗となった際に新たに導入したものだ。「2012年に実店舗をオープンしてから、約10年間使ってきたのはフジローヤルの半熱風式1キロ窯。一度に焙煎できる量が少なかったので、ほぼ毎日のように夜中まで作業していましたね。ただ、千本ノックのように焙煎し続けてきた経験が、ロースターとしての僕の大きな糧となっています」と幸平さん。現在の焙煎機、GOLDENは半熱風式だが、「イメージ的には熱風式に近い。焙煎度合いのレンジは広がり、さらにどんな豆でも理想的な焙煎ができるようになりました」と続ける。

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