「コンソメパンチ」の「パンチ」って何?ヒントは45年前の流行語!「ポテトチップス コンソメパンチ」誕生秘話

東京ウォーカー(全国版)

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カルビー株式会社から発売されている、言わずと知れたロングセラー商品「ポテトチップス」。いろいろな味があるなかでも、「コンソメパンチ」は「ポテトチップス コンソメWパンチ」「ポテトチップス コンソメトリプルパンチ(期間限定商品)」と種類の多さが特徴だ。

そんなコンソメパンチの誕生から、2023年で45年目を迎えた。「うすしお味」「のりしお」に続き、シリーズの顔として長年愛されているが、そもそも「コンソメパンチ」の「パンチ」とはなんなのだろうか?どうしてここまでの人気商品となったのだろうか。

そこで今回は、カルビー株式会社(以下、カルビー)マーケティング本部 ポテトチップスチームの冨本奈津美さんに、「ポテトチップス コンソメパンチ」の誕生秘話と変遷、知られざる開発秘話を聞いた。

2022年9月の最新パッケージ。パンチの効いた味わいに原点回帰するため、ビーフをきかせた味わいが復活!


商品名のルーツは当時の流行語!コンソメパンチの誕生秘話

カルビーの「ポテトチップス」ブランドが誕生したのは1975年のこと。最初のフレーバーである「うすしお味」の発売を皮切りに、1976年に「のりしお」、そして1978年に「コンソメパンチ」が発売された。当時「100円で食べられるスナック菓子」と謳ったCMソングが話題となり、発売当初から大ヒットしていた。

「うすしお味とのりしおの発売後、さらに幅広い方たちに食べていただきたい思いでコンソメパンチを開発しました。コンソメパンチは今でこそおなじみの商品名として広く認知していただいてますが、実は当時の『パンチがきいている』という流行語から来ています。ご存知ない方からすると、たしかに『パンチって何?』となるかもしれないですね!」

1980年のパッケージ。ブランドキャラクターはこの頃から健在


当時のカルビーの社内報によると、CMソングの影響もさることながら、カルビー秘伝のスパイスと独自の味わいもヒットにつながる大きな要素だった。そして現在も、子供のおやつから大人のおつまみまでバリエーション豊かに楽しめるスナック菓子として、世代問わず安定した人気を獲得している。

「ポテトチップスブランド全体の主なユーザー層は30代〜40代の女性です。とはいえ購入者の統計ですので、実際に食べられているのはお子さんかもしれませんね。また、これらの層に加え、コンソメパンチは30代〜40代の男性ファンが多いんです。ほかのフレーバーよりもコンソメの濃い味付けがおつまみに合うみたいで、そのなかには『子供の頃から好き』と言ってくださる方も多くいらっしゃいます」

1999年のパッケージ。現在30歳の筆者にとっては小学生の頃に食べていた思い出深いデザイン


デザインと味わいの改良から見る商品へのこだわり

ポテトチップスの商品パッケージは、いずれも味のイメージとマッチした配色や、チップスの写真、親しみやすいブランドキャラクターと、思わず手に取ってみたくなるようなつくりになっている。そんなデザインだが、実は発売から現在に至るまで定期的に変更されているのである。

「1978年の発売以降、弊社名や商品名の見せ方から、チップスのシズル感、ブランドキャラクターのサイズ感など、時代の変化に合わせてデザインを変更しております。コンソメパンチの味わいで言えば、2001年にビーフコンソメからチキンコンソメに変更するなどのリニューアルをしています。また、2021年には原点回帰を掲げ、再びビーフをきかせたパンチのある味わいにしていますね。これまでコンソメパンチは、こうした味の改良を約10回にわたり実施しています」

2007年のパッケージ。隠し味である「梅」の酸味ですっきりとした後味に


コンソメパンチのラインナップとして、コンソメ風味を2倍にした「ポテトチップス コンソメWパンチ」や、筒型パッケージの「ポテトチップスクリスプ コンソメパンチ」(以下、クリスプ)といったシリーズが発売されている。なかでもクリスプと袋タイプとでは大きな違いがあるのだとか。

「クリスプは、粉末ジャガイモを味付けし、シート状にしてからチップスの形にくり抜いて作っています。一方で私が担当している袋タイプは、生のジャガイモをスライスして揚げていますので、生地に違いがあるんです。現行ですと袋タイプはビーフをきかせ、クリスプではチキンの旨味をきかせています。このように、同じコンソメパンチであってもチップスの厚みやジャガイモの味、香りの感じ方も変わり、生地に合った味付けになるよう常にこだわっています」

「ポテトチップスクリスプ コンソメパンチ」のパッケージ。袋タイプとは違う、パリッとはじける食感

「コンソメWパンチ」(2022年7月発売)のパッケージ。文字通りコンソメ風味が2倍になり、よりクセになる味わいに!※コンビニエンスストア限定商品


同じフレーバーであっても、細かな味の違いがあるポテトチップス。そしてその味を決定しているのが冨本さんたち企画チームだ。ひと口サイズであるチップスの味の差異を判別するという、緻密な開発の裏側はどのようになっているのだろうか。

「私が所属する企画担当と開発担当の2チームでプロジェクトを進行しており、『どこを際立たせるか』『どうやってメリハリをつけるのか』といった課題を設けて、それぞれのテーマに沿った味を試作します。そして数ある試作のなかから2種類〜5種類くらいまで絞ります。ここから数回、多いときには数十回のテイスティングを繰り返し、1つの味を決定していきます。このとき、味付けしていないチップスに味のついたパウダーをかけて試食しますが、味の細かな違いを見極める必要があるので、一度にたくさん食べてしまうと味がわからなくなってしまいます。なので、一定の時間を空けて納得がいくまで何度も試食します」

その後は、開発担当者がサプライヤー(原材料のメーカー)とやり取りを行い、狙った味に近づけていく。試作段階では調査会社に試食を依頼するほか、「カルビー ルビープログラム」に登録しているユーザーに試作品として提供し、味の感想を募ることもあるそうだ。

「肯定のお声だけでなく『こんな味にするのなら購入しません』といった、厳しくも率直なお声をいただけるので大変参考となります。それらをもとに再度味の調整を行い、仕上げていきます」

コロナ禍で売上が増加!カルビーが掲げる目標

コロナ禍でリモートワークが主流となったことで、自宅でおやつを楽しむ人が増えた。

「『BIGBAG』や『GO5PACK』の売上の増加が顕著ですね。GO5PACKは小分けなので、湿気る心配もなく、少量のため、お子さんに分け与えやすいというお声もあります。また、BIGBAGはご家族で食べられる回数、買い物の頻度の変化により、自宅にストックしておくために購入される方が多いようですね」

「ポテトチップス コンソメパンチ BIGBAG 152g」

「ポテトチップス コンソメパンチGO5PACK」。小分けしてあるので気軽に食べられるのが魅力


コンソメパンチの発売当初から、広い顧客層に向けた商品展開を行ってきたカルビー。さらにコロナ禍によって濃い味のニーズが増え、冨本さんも「以前にも増して、さまざまなお声をいただくようになりました」と話す。SNSでもポテトチップスを使ったレシピが見られたりと、もはやスナック菓子の枠を超えた、人々の生活を豊かにする食料品と言える。

「『休みの前日に食べながら夜更かしするのが至福の時間』といったお声をいただくことがあります。こうしてお客様の生活の一部で、少しでも至福の時間のお手伝いができたことに、作り手として大変うれしく感じています。独自のおいしさを大事にしつつも、懐かしさを感じていただいたり、これからも食べる人たちがわくわくするような企画を考案していきたいと思います」

コンソメパンチが発売当初から今も変わらず愛されるのは、常にユーザーファーストの姿勢で味付けやデザインといった、商品のクオリティを磨き続けてきた努力の結果だ。45年もの企業努力の結晶が詰まった1枚1枚を、今一度しっかりと噛み締めたい。

取材・文=西脇章太(にげば企画)

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