コーヒーで旅する日本/東海編|おいしいコーヒーをきっかけに、人が集える寺にしたい。「カフェ茶房 宗休」

東海ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも名古屋の喫茶文化に代表される独自のコーヒーカルチャーを持つ東海はロースターやバリスタがそれぞれのスタイルを確立し、多種多様なコーヒーカルチャーを形成。そんな東海で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

2021年11月に佐橋さん夫妻が店を継ぎ、現在のスタイルになった

東海編の第7回は、岐阜県関市にある「カフェ茶房 宗休」。店主の佐橋和馬さんは「人が集える場所にしたい」という住職の思いに共感し、奥様の由華さんと一緒に2021年11月から境内の一角でカフェを営んでいる。夫婦でカフェ巡りをして知ったコーヒーのおいしさ。会社員生活に終止符を打ち、「やりたいことに挑戦してみよう」と通ったコーヒー教室。そこで初めて知ったコーヒーの多様性。そして関善光寺の住職と出会い、「カフェ茶房 宗休」の店主に。「店を始めた当初はまだまだ素人だったと思いますが、コーヒーは知れば知るほどおもしろいです。生産国によって異なる個性もそうですが、同じ豆でも抽出器具によって違いが出るところも奥が深い。この楽しさを知ってもらえるような店にしたい」とやりがいを感じている佐橋さん。2人の生活は、コーヒーを中心に動き始めた。

店主の佐橋和馬さん(右)、由華さん(左)

Profile|佐橋和馬(さはし・かずま)
1988(昭和63)年、岐阜県可児市生まれ。会社員時代の忙しい日々に体調を崩し、やりたいことに挑戦すべく「カフェ・アダチ」(岐阜県関市)のコーヒー教室に参加。由華さんは2020年にコーヒーインストラクター検定2級を取得するなど、夫婦でカフェ開業を目指す。コーヒー教室の主催者である小森さんの紹介を受けて、2021年に「カフェ茶房 宗休」の二代目店主となった。

寺の境内にあるコーヒー専門店

本堂へと続く長い階段を上った先に、カフェが見えてくる

山の稜線を望むのどかな自然に囲まれ、刃物、鵜飼といった歴史と産業が息づく岐阜県関市。日本唯一のマンジ戒壇巡りや岐阜県最大の木像仏である本尊・丈六阿弥陀如来で知られる名刹「関善光寺」の境内にカフェが誕生したのは2018年のことだった。「人が集える寺にしたい」という住職の思いにより、物置として使われていた建物をリノベーション。1日1組限定の宿坊を備える「カフェ茶房 宗休」としてスタートを切った。

店内には、テーブル席と、小上がりの座敷がある

「カフェでは和風のランチやスイーツを中心に提供していましたが、前のオーナーさんが辞めることになり、2021年11月に私たち夫婦が店を引き継ぎました。始めるにあたって『自分たちができることを精一杯やろう』と決め、ランチをやめて、好きだったコーヒーとスイーツを提供する店にリニューアルしています」と話すのは、二代目店主の佐橋さん。

ブレンド珈琲(550円)とキャロットケーキ(450円)

コーヒーは、同じ関市内にある自家焙煎珈琲店「カフェ・アダチ」が手がけるオリジナルブレンドを柱にブラッシュアップ。スイーツは、由華さんがコーヒーの味に合うよう試行錯誤して完成させたキャロットケーキを目玉に据えた。

思った通りの味を表現する技術を学ぶ

コーヒー豆にのせるようなイメージで、お湯を注いでいく

佐橋さんは、店を始める前、12年にわたり会社勤めをしていた。「当時からコーヒーは夫婦共通の趣味で、よく2人でカフェ巡りをしていました。今から4、5年くらい前に犬山城下町にある『珈琲ボタン』で自家焙煎のコーヒーを飲み、そのおいしさに感動。やがて、『いつかは夫婦でカフェをやってみたい』と夢を抱くようになりました。そして、日々の忙しさから体調を崩したことをきっかけに『このまま働くことが自分に向いているのか。自分が本当にやりたいことは何だろう?』という思いが湧きあがり、好きだったコーヒーをちゃんと学んでみようと決心。『カフェ・アダチ』のコーヒー教室に参加したのです」

カフェ開業を目標にしながらコーヒーについての理解を深め、コーヒー教室で身に着けた"豆に寄り添う"抽出方法を実践する佐橋さん。すっきりとした味わいを目指す時はサッと、コクと香りを引き出したい時はじっくりと、豆の様子を見ながら抽出していく。

由華さんはコーヒーインストラクター検定2級を取得。次は1級に挑戦しようと勉強中

佐橋さんがコーヒー教室で学ぶ一方、由華さんはコーヒーインストラクター検定2級に挑戦し、今まで感覚に頼るところが大きかった抽出についての知識を修めた。「お湯の温度や時間で味がどのように変わっていくのかを知り、味の提案や淹れ方のアドバイスもできるようになりました」と由華さん。夫婦揃って同じ目標を見据え、少しずつ準備を始めていた。

そんな折、コーヒー教室を主催する「カフェ・アダチ」の小森さんから「カフェ茶房 宗休」が後継者を探していることを聞いた佐橋さんは、夫婦で話し合って店を引き継ぐことに決めた。それから約1年間の準備を経て、新しい「カフェ茶房 宗休」が始動した。

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