コーヒーで旅する日本/東海編|作為性をなくした「ええ加減」なコーヒーを目指す。「珈琲ボタン」

東海ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも名古屋の喫茶文化に代表される独自のコーヒーカルチャーを持つ東海はロースターやバリスタがそれぞれのスタイルを確立し、多種多様なコーヒーカルチャーを形成。そんな東海で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

ネコのイラストがトレードマーク

東海編の第8回は、愛知県犬山市にある「珈琲ボタン」。就職をきっかけに岐阜県各務原市にやってきた大前良平さんは、知人のカフェ経営者から店を譲り受けて、奥様の和恵さんと一緒に「珈琲ボタン」をオープンさせた。コーヒーの焙煎や抽出は独学、飲食業の経験もないままに店を始めたという大前さんの目指す味は「ええ加減」なコーヒー。「私が『この豆をおいしくしよう』『この豆はこういう味にしよう』という意図をもって焙煎や抽出をするのではなく、私の意図をなるべく排除したほうがおいしいものになるのではないかと思うのです」という大前さんのコーヒーとの向き合い方は、民衆の中から生まれた日常的な工芸品に価値を見出す民藝(以下、民芸)という思想に大きく影響されている。民芸をコーヒーに応用した、「珈琲ボタン」の目指す理想像を伺った。

店主の大前良平さん(右)、和恵さん(左)

Profile|大前良平(おおまえ・りょうへい)
1989(平成元)年、奈良県大和郡山市生まれ。学生時代からハンドドリップをするようになり、会社員時代には手網焙煎に挑戦するなどコーヒーが趣味に。「好きなことを仕事にしたい」とコーヒーに関する仕事を探していたところ、知人の店を譲り受けることになり、2017年に「珈琲ボタン」をオープン。営業しながら、2年ほどかけてコーヒーとケーキを主体とした現在のスタイルに整えた。コーヒーの味に合うよう考えられた手作りケーキは、カフェの営業経験を持つ和恵さんが担当している。

コーヒーとケーキと、時々ネコ

看板ネコの2匹は気まぐれで、店にいない時もある

現存する日本最古の天守を持つ国宝・犬山城。観光客が多く行き交う城下町のメインストリートからのびる路地に面して、大前さん夫婦の営む自家焙煎珈琲店「珈琲ボタン」がある。店のメンバーは、コーヒーを担当する店主の大前さん、ケーキを担当する和恵さん、黒猫のポポちゃん、茶白猫のボンくん。コーヒー好きはもとより、ネコ好きにも知られる人気店だ。

店内に置かれている大前さん夫婦の愛読書は、自由に読んでOK

古民家を改装した店内は、コーヒーの香りが漂う落ち着いた雰囲気。ヴィンテージスピーカーから流れるアナログレコードの音楽に耳を傾けながら周りを見渡すと、スイーツタイムを満喫したり本を読んだり、と、お客それぞれが日々の喧噪を忘れてゆったりとした時間を過ごしている。

入口付近にある、コーヒー豆のショーケース

ショーケースには約10種類の豆がディスプレイされており、シングルオリジンには焙煎度合いに加えて産地、標高、精製方法、品種が明記されている。スペックから選ぶもよし、焙煎後の豆を見て選ぶもよし、店主の紹介文から選ぶもよし。「今日はどの豆にしよう?」と誰もがワクワクしながら選び、先に入口のカウンターでオーダーを済ませてから店奥の座席へ向かう。

ケーキは日替わりで3~4種類を用意。写真は冬季限定のラムレーズンのケーキ(600円)とドリップコーヒー(500円~)

「うちのコーヒーは、比較的深めの焙煎度のものが中心。今はブレンドも中深煎りと深煎りのみになっています。私自身が深煎りを好むからということもありますし、ケーキとの相性も考えた結果、このようなラインナップになりました」と大前さん。そんな店のもうひとつの主役であるケーキはずっしりとした味わいのものが多く、どれもコーヒーに負けない存在感を持っている。和恵さんのケーキ作りの原点は、かつてオーストラリアでカフェを経営していた際に好評を博したマフィン。現在は、岐阜県産アローカナ卵をはじめ厳選した材料を用い、シンプルかつ丁寧な菓子作りを心がけている。

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