「産後ママへの労りギフト」の文化を。 momwellが目指す“ママが誰かに頼れることが当たり前になる社会”
東京ウォーカー(全国版)
子育て中も「手を抜く瞬間があっていい」
ーー産後ケアの課題について教えてください。
【三輪詩織】日本では、そもそも「産後ケア」という言葉自体があまり浸透していません。産後ケアのサービスや施設、それに対する補助があることも広く知られていません。妊婦検診のときなど、病院で教えていただける機会が増えてほしいと思います。また、知っていたとしても、対面での利用申請が必要など、実際に利用するには、さまざまなハードルがあるのが実情です。

ーー出産・育児は個人の頑張りに頼っている部分が大きいですよね。
【三輪詩織】その要因は、それでも今まで何とかなっていたからです。また、国民性からなのでしょうか、日本のママたちは「自分が頑張るべき」「我慢するべき」と思っている方が多いのも、要因のひとつかと思います。
【三輪詩織】社会人になると、身だしなみとしてメイクや服装を整えることを求められるのに、きちんと学べる機会は少なく、多くの人が失敗をしながら身につけていきます。命が関わる出産や育児は、もっとハードルが高いのに、教えてもらえるのはパパママ学級だけ。産後うつや育児ノイローゼを減らすためにも、しっかりとしたフォローが必要だと感じています。
ーー「momwell」を通してどのような未来を実現したいですか?
【三輪詩織】ひとつは、ママも誰かに頼ったり、甘えたりすることが当たり前だと思える社会にしていきたいです。育児に関して、少しぐらい手を抜く瞬間があってもいいと思うんです。もうひとつは、子どもを持つことの楽しさが伝わる社会の実現に貢献をしたいですね。最近は、子供を欲しいと思わない若い方が増えているそうですが、もちろん大変なこともあるけれど、子供を持つことで得られる楽しさもあると思います。いろいろな側面を見たうえで、自分自身にとって良い選択をできたら良いですよね。
ーー子どもを持つことと「大変そう」「お金がかかりそう」というイメージがセットになっていますよね。
【三輪詩織】たしかに大変だし、お金はかかります(笑)。でも、問題提起されっぱなしではなく、いい面も大変な面も知ったうえで、選択をしてほしいと思います。

ーー今後、展開予定のプロジェクトがあれば教えてください。
【三輪詩織】産後の女性が、自分自身の体調やメンタル、子育ての悩みなどを、管理栄養士やメンタルケアアドバイザー、医療分野の方々に、オンラインで相談できるチャットツールを作ろうとしています。ママたちは子どもの体調などで予定が変わりやすいので、相談を受ける側も業務委託などで融通が利く方たちと契約して、いつでも気軽にできるようなサービスを提供していく予定です。
商品を通じて心にもアプローチ。「社会が変わるきっかけをつくりたい」
ーー三輪さんが、仕事において大切にしていることは何ですか?
【三輪詩織】ずっと根底にあるのは、自分のことを意識して否定的に捉えるということです。平たく言えば、謙虚な気持ちを持ち続けるということ。起業をすると、勤めていたころに比べて、叱られたり、アドバイスを受けたりする機会が少なくなるので、自分自身を客観的に見るようになるべく努めています。
【三輪詩織】そのために、異分野の経営者の方、私よりも圧倒的に結果を出している方からお話を伺うようにしています。そうすると、自分はまだまだできていないと思えるし、逆に意外とできていたと気づけることも。また、トラブルが起きたときは、逆に苦労マウントを取られて「全然いける」と励まされることもあります(笑)。
ーー女性起業家としてのキャリア設計という視点で、今の社会についてどのように感じていますか?
【三輪詩織】起業しやすい環境だと思っているので、お子さんがいらっしゃる方も、起業という選択肢を考えてみるのはいいのではないでしょうか。やはり時間や場所を自由に決められるという点では、とてもいい働き方です。
【三輪詩織】ただ、起業することがゴールではありません。事業を続けていくには、特に子どもがいる方なら、周囲の協力があるに越したことはないでしょう。私が意識して行ったのは、どうして起業したいのかを理解してもらえるよう、夫に働きかけたことです。日本はどこかで「育児は女性がするもの」という考えを持っている方が多いので、身近な人の理解と協力を得ることはすごく大切です。
ーー仕事と子育てを両立するコツはありますか?
【三輪詩織】よく「バランスはどうやって取っているか」と聞かれるのですが、そもそもバランスを取ろうとしていなくて…というよりも、取れないと思ったのであきらめました(笑)。自分が仕事に力を入れたいときは、家族に理由を説明して仕事に集中します。逆に、子どもとの時間は、子どもに全力投球をしています。自分の欲求に従って行動しているので、バランスは取れていませんね(笑)。
ーー自分の欲求を大切にすることも必要ですよね。では、三輪さんの将来の野望を教えてください。
【三輪詩織】小さなところで言うと、子どもたちが「働くママかっこいい」と思ってくれることです。彼らにパートナーができたとき、その相手が働きたいなら、理解して、協力をしてほしいからです。もっと言えば、そういうことが当たり前の社会になってほしいですね。
【三輪詩織】大きい野望は、私が発案したサービスやSNSでの発信を通して、ママたちが直面する悩みを解決することです。社会を変える……とまで大きなことは言えませんが、少しでも変わるきっかけをつくりたいです。

ーー最後に「momwell」をどのような方に利用してほしいか、メッセージをお願いします。
【三輪詩織】「momwell」をつくったときに、約1000人のママたちにアンケートを実施しました。私自身の経験も含めてわかったのは、みんなどこかで不安や孤独を抱えているということ。育児のほかに、自分がこの先どうなっていくのかなど、ママたちはさまざまな選択肢に直面し、悩んでいます。
【三輪詩織】今回の商品は、体だけではなく、心にもアプローチすることを目指しました。私たちがママを応援したいという気持ちと、「momwell」を贈る人たちの思いやりが少しでもママに届いてほしいと思っています。そして、そういう優しい気持ちが伝わる社会にしたい。女性だけではなく、男性にもこのスープを手に取ってもらいたいですし、社内の関係性構築にも役立てていただきたいです。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・自分を客観的に捉える機会をつくる
・身近な人の理解や協力を得ることが継続につながる
・自分の欲求も大切にする
取材=浅野祐介、文=伊藤めぐみ、撮影=阿部昌也
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