無職をおもしろがる!「キャリアブレイク研究所」代表が語る人生の新たな選択肢とは?
東京ウォーカー(全国版)
大事なのは「仕事を辞める可能性もある」という選択肢を持てること

――働き方・環境が変化を遂げている時代だと思いますが、こうした変化について対応するのにも、キャリアブレイクは有効な時間だと思います。北野さんの考えを教えてください。
【北野貴大】キャリアブレイク研究所の参加者で、コミュニティの一番を占める世代が20代後半、その次に20代前半、そして40代や出産・育児を終えた主婦、退職を控えた世代と続きます。40代以上の方々は「あ〜働き方が変わってきたな」と感じていますが、20代前半〜後半の方々には当たり前の時代なんです。情報社会で、書籍や記事などからいろいろな生き方の選択肢に触れる機会も増え、いろいろな人が自分に合った生き方をチョイスできる時代。そもそも、部署異動や転職、起業など、働く環境を変えるための方法はたくさんありますし、大切なのは、自分の意思で参加したということ。
――「環境を変える」ということのなかに、キャリアブレイクがあってもいい、と。
【北野貴大】そういうことです。誰かにやらされているわけでもなく、僕が推奨したわけでもなく、ただ自分の選択をして参加しただけ。側から見ているとあらためてキャリアブレイクってストリートカルチャーだなとも感じていて、キャリアブレイクの最大の魅力は、実際に仕事を辞めるかどうかではなく「辞める可能性もある」という選択肢を持てることだと思います。一般社団法人キャリアブレイク研究所としても、キャリアブレイクを推奨しているわけではなく、僕を含む理事3人全員がキャリアブレイクを経験していないんですよ。逆に私たちがキャリアブレイクしていないから「おもしろい」と感じることができ、フラットな目線で協会を運営できているのかなと。
――当事者ではないからこそおもしろい運営ができていると。それではキャリアブレイク研究所の今後の目標や展望について考えていることはありますか?
【北野貴大】今は当事者の反響が大きく、「むしょく大学」などはTwitterやnoteなどのSNSを通じて毎日問い合わせがある状況で、当事者側ではかなり文化感が出てきたかなと。次のステージとしては、社会側とか環境側とおもしろい取り組みに挑戦していきたいですね。
――おもしろい取り組みですか。具体的な施策はありますか?
【北野貴大】僕自身、実はキャリアブレイクは社会課題とは思っておらず「おもしろいな」という感覚を持っていて、今はクラフトビールメーカーから「無職のためのビールを作りませんか?」と声をかけられています。日本のビールって夜に飲んでおいしく感じられるように作られているそうなんです。キャリアブレイク中の人は昼も楽しんでいるので、「昼に飲んでもおいしいビール」を造るのはおもしろそうですよね。ほかにも神戸の不動産会社からキャリアブレイクのシェアハウスを一緒に作りませんかという案、文具メーカーから履歴書をもう少しおもしろくしませんかといった相談などもあります。次のステージでは、キャリアブレイクをおもしろく思ってくれる社会側・環境側と力を合わせていきたいですね。
――おもしろくキャリアブレイクという文化を発信していくと。
【北野貴大】そうなんです。僕は「会社の人事とか制度を改革するんだ!」というのはあまり思っていません。僕は会社で楽しく過ごしてきましたし、会社のすごさもわかりますし。仕組みのなかでお金をもらえるってすごい制度ですよ。研究所としてはそこにメスを入れるわけではなく、生きるリズムの選択肢をおもしろがって選んでいる人たちと、ストリートカルチャーとして、第2フェーズを盛り上げていきたいと考えています。そうすれば、地方自治体も「UIJターンがすごく増える!」「キャリアブレイク中の人のための宿作ります」など、一緒に楽しんでくれるようになるんじゃないかなと。このあたりが展望というか、僕が楽しみにしているところですね。
――最後に、北野さんが仕事やキャリアを考えるうえで大切にしていることを教えてください。
【北野貴大】同じ話になりますが、「おもしろがること」ですね。僕はJR西日本グループに就職して、大学時にやりたかったことと少し異なる部署に配属されたんです。でもやってみるとけっこうおもしろかったんですね。これは僕のクセでもあって、というのも親が転勤族だったので、転勤のたびに僕のコミュニティが完全にゼロになってしまうわけです。最初は悲しくなっていましたが、徐々におもしろがるしかないなと考え方を変えました。そうやって転機をおもしろがるクセが付いたんです。キャリアブレイク研究所も、このままおもしろい方向に進めていければと思っています。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・キャリアブレイクとは「生きるリズム」の選択肢のひとつ
・キャリアブレイクの最大の魅力は「辞める可能性もある」という選択肢を持てること
・転機をおもしろがって、まずはやってみる
【プロフィール】北野貴大(きたの・たかひろ)
2014年、JR西日本グループに入社。2022年に合同会社パチクリを設立し独立。2022年10月、一般社団法人キャリアブレイク研究所を設立し代表理事に就任。
取材・文=日高ケータ、撮影=福羅広幸(兄弟エレキ)
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