無職をおもしろがる!「キャリアブレイク研究所」代表が語る人生の新たな選択肢とは?
東京ウォーカー(全国版)
「今はキャリアブレイク中だ」と胸を張って過ごしてほしい

――「むしょく大学」など活動(コミュニティ)にはどんな方が参加されていますか?
【北野貴大】キャリアブレイク研究所では、主に4つのパターンに分けています。出産・育児を経験して社会接続を目指すライフ型。専業主婦から無職にジョブチェンジするというおもしろい感覚ですよね。次に今の会社で働きづらさを感じ、もっとうまいこと働きたい、またはいったん仕事から離れてちょっと休息したいと考えている、これをグッド型と呼んでいます。センス型と呼ぶパターンは、学術用語で「文化中毒」と呼ばれ、会社にうまく染まることができるので上司からするとすごくいい人材ですが、もっと自分らしく働けたらと感じている方々。4つ目が挑戦するために会社を辞めるパワー型。チャレンジ精神がある人って、ふと全部手放して何かに挑むことが多いんです。また、会社に勤めながら参加される方もいらっしゃいますよ。
――まさに今キャリアブレイク中、という方だけではないんですね。
【北野貴大】会社を辞める決心がつかない方や、生活がかかっているのですぐには仕事を辞められないけれど、キャリアブレイクの世界を覗いてみたいという方も参加しています。

――4つのタイプの参加者は、どのようにキャリアブレイク期間を過ごしているのでしょうか?
【北野貴大】ITのスキルをつけるためにキャリアブレイクするんです、再就職の面接でキャリアブレイク期間のことを聞かれたときの対策のために、何か学校に通ったほうがいいんですかね、といった「キャリアブレイクに目的はいりますか?」ということをよく聞かれます。会社を辞める、職を⼿放すという⼤きな選択を⾏う際にはやはり葛藤があり、⽬的がないと辞めにくいと感じる方が多いのかもしれません。ただ、辞めるときに見えている景色は一部で、キャリアブレイク中に選択肢を広げる人も多くいらっしゃいます。そのため、はっきりとした目的がなくても直感で「キャリアブレイクが必要だ」と感じて始める方もいます。
――キャリアブレイク中にキャリアアップを図るという人も多いということでしょうか?
【北野貴大】キャリアアップというと、日本だと何か資格を取るというスキルアップのような感覚で捉えることが多いですが、本来「キャリアアップ」という言葉は人生全体のことを指すと思うんです。この「スキルアップの呪縛」というようなものが日本にはあって、スキルアップするだけがキャリアブレイクの過ごし方ではないと思っています。家族の時間をキープできる仕事形態に変えるというのもキャリアアップですし、そういう意味で言うと、海外では人生を整えるための期間としてキャリアブレイクを活用しています。
――「とにかく仕事に就かなくては」という焦りだけで動かなくてもいい、ということでしょうか?
【北野貴大】僕は目的がなくキャリアブレイクをする方にも肯定的で、これは何も無責任に言っているわけではありません。今の社会は目的や目標を過剰に大事にしますが、運命とか偶然とか、たまたま出会った人に刺激を受けて人生が変わったとか、人生ってもう少し有機的でいいと思うんですよ。ですので、キャリアブレイク期間中は「こう過ごしたらいい」というのはあまり言いすぎないようにしています。「無職って大丈夫?」などと言われたり、弱者認定されることが多いのが現状ですが、でも決して弱っている方ばかりではなく、主体的にキャリアブレイクを選んだんだから、過ごし方はその人に任せてればいいじゃないかという考えを僕は持っています。外野が「大丈夫?」と言うから弱者となってしまい、言われたほうも「私ってよくない状態なんだ」となると可能性ってどんどんしぼんでいくじゃないですか。胸を張って「今はキャリアブレイクだ」と言い切って過ごしてほしいですね。
キャリアブレイクは、自分の人生のオーナーシップを思い出す期間

――北野さんは以前別のインタビューで、「キャリアブレイクの本質は自分に戻ること。言わば自分復興」とおっしゃっていました。「自分に戻る」というのは、どういう感覚なのでしょうか?
【北野貴大】以前、コミュニティに参加している方に「キャリアブレイクで大切にしていることはある?」と聞いてみました。すると、「人の話を聞かないこと」と言われことがあって(笑)。そのエピソードが僕はすごく好きで、「自分に戻る」「自分復興」って人の話を聞かないことなんじゃないかなと思います。
――「人の話を聞かないこと」ですか(笑)。具体的に説明してもらえますか?
【北野貴大】子どものころの親のアドバイス、学校での先生の教え、会社では上司や先輩からの指示と、考えてみると人生のオーナーシップを持つ時間って少ないなと思います。キャリアブレイク期間中は、家にこもって本を読んだり、旅に出たり、自分の思いだけで行動すると「自分の人生のオーナーシップ」を感覚的に思い出してきて、周りのことがどうでもよくなってくるんですよ。そうなったときに思うだけでなく、話すことも大事だと思っていて、自分から話したり、手放してみたり。思いを止めるだけでなく、外に出すということが「自分に戻る」「自分復興」には大切なことだと考えています。
――そのために「おかゆホテル」や「むしょく大学」という話す場を設けているわけですね。
【北野貴大】そうです。無職って最初は誰でも怖いと思うんです。いろいろな葛藤を抱えながら少し孤独というか。決してあなただけではない、同じ人がいるんだよということを知ってほしい、お互いを信じて応援しあえる人と出会える環境を作りました。
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