タクシーで巡る心霊ツアー、倍率は60倍超!「実際に不思議な体験も」業界の固定概念を変えるユニークな取り組みに注目
東京ウォーカー(全国版)
入社希望者も増加。タクシーのイメージを変える取り組みとしてスタート

ーーツアーが始まった理由は?
【小澤千秋】2013年から企画モノをやっていて、その第2弾としてスタートしました。発案者は代表の吉川(永一)で、海外で盛んなバスツアーを、タクシーでも取り入れようと考えたのがきっかけです。ただ、吉川が役員に話したところ「イメージが悪すぎる」ということで全員が大反対したようです。タクシー会社はやはり安全第一。弊社の役員はみんな乗務社員の経験があるので、タクシーに対する固定概念も強かったようです。
ーーどのように実現させたのですか?
【小澤千秋】今でこそ少しずつ変わってきましたが、以前はタクシー会社といえば、中高年の男性が多く、定年退職した方が始める職業というイメージもありました。そうしたタクシー会社のイメージを払拭し、三和交通の名前を世に出すためにも、「とにかくやりたいんだ」と伝えたそうです。実際にツアーの参加者を募集するとすぐに完売。毎年続いて、今年で9年目です。

【小関正和】タクシー会社のCMって、あまり見たことがないと思うのですが、広告の予算取りがなかなか難しい業界なんです。であれば、こういうツアーを積極的に行ってメディアに取り上げていただき、会社をPRしていくというのが弊社のやり方です。
【小澤千秋】心霊ツアーを始めると、テレビの取材やネットニュースなどへの掲載など、今まで弊社ではなかったことが起きて、本当に運がよかったと思っています。

ーーほかのツアーやさまざまな乗車メニューも、PRが主な目的ですか?
【小関正和】そうですね。なので、採算はほぼ合っていません。心霊ツアーに関してはほぼ赤字です。知名度を上げることで、就職、転職を考えている方が「タクシー運転手をするなら三和交通」と思っていただけるようにもっていきたいですね。特に若い世代……というより、その親世代は、大学を出て交通会社に就職ということに懸念を抱く方も多い。乗務社員の高齢化が進んでいるので、その壁を突破したいです。
ーー入社を希望する人は増えましたか?
【小澤千秋】芽が出始めたのは2019年ぐらいですね。それまで新卒入社は毎年1人か2人だったのに、この年は19人入社しています。また、近年はYouTubeやTikTokにも力を入れているので、それを見て入社したいという方も、2020年から増えてきました。
【小澤千秋】私が2017年に新卒で入社したのですが、「心霊スポット巡礼ツアー」や、ゆっくり走ってほしいと伝えるボタンを搭載した「タートルタクシー」といった取り組みがおもしろそうだと思って入社しました。こうした企画モノは、中途より新卒で入社を検討してくれている人に効果的なのかもしれないですね。


ユニークな企画は漫画やアニメからインスピレーション
ーー話題になる企画を考案する秘訣はありますか?
【小澤千秋】「三億円事件」で犯人が通ったと思われるルートなどを巡る「三億円事件ツアー」、新選組ゆかりの地を巡る「THE 新選組ツアー」など、乗務社員の提案で形になったものもありますが、企画モノのほとんどは代表の吉川が考えています。
【小澤千秋】漫画やアニメなど、いろいろなコンテンツをずっと見ていて、そこからインスピレーションを受けているのだと聞いたことがあります。乗務社員がSP風のスタイルで業務を行う「SP風タクシー」をやりたいと言われたときに、「乗務社員にどうやって教えたらいいのか」と聞いたら「岡田(准一)くんのドラマ(『SP 警視庁警備部警護課第四係』/フジテレビ系)を見せればいいんだよ」と言われました(笑)。

ーー現場は大変なのでは?
【小澤千秋】おもしろい企画が多いので、やってみようという気持ちのほうが大きいです。あとは、絶対に実現できないような無茶な企画は提案されないんです。
ーーこれまでに実現しなかった企画はありますか?
【小関正和】釣り堀に行って、乗務社員が釣りを教えるという案がありましたが、そもそもツアーじゃないとなって、実現しませんでした(笑)。
【小澤千秋】吉川と同じくらい社員も案は出していますが、なかなか実現にいたるような案が出ないですね。
ーー今後実施予定の取り組みは?
【小澤千秋】乗務社員の発案で、冬にイルミネーションツアーをする予定です。三和交通は横浜を中心に展開しているので、赤レンガ倉庫やクイーンズスクエアなど、横浜の綺麗なイルミネーションをタクシーで巡るという内容です。最近は車を持っていない方が多いですが、タクシーで回ることで離れたスポットも効率よく回れますし、非日常感も味わえるのではないでしょうか。
ーー海外では自動運転タクシーなども始まっているようですが、今後の展望を教えてください。
【小関正和】もし日本でも自動運転が始まれば、導入するのは早いのではないかと考えております。ただ、すべてを自動運転にするわけではありません。弊社が最も力を入れているのが接遇で、どうすればお客様に気持ちよくご利用いただけるかを一番に考えています。自動運転では出せない魅力を、これからも発信していきたいと思っています。
【小澤千秋】接遇が適当だと、心霊ツアーをやっているだけのタクシー会社になってしまうと思うんです。企画モノをやっているからこそ、接遇は意識しているところで、研修やロープレをしたり、車内カメラの様子をランダムでチェックしたりしています。
ーー最後に、今年の心霊ツアーを待っている方に、メッセージをお願いします。
【小関正和】府中は去年から新しく加わったエリアなので、今年は新たなスポットが加わりました。ふじみ野と横浜は、乗務社員が違うので、リピーターの方にも楽しんでいただけると思います。参加いただいたお客様に絶対に後悔はさせません。
【小澤千秋】より怖い思いをしてもらえるように社員一同準備を進めております。7月初旬にサイトがオープンする予定なので、詳細はそちらをチェックしていただければと思います。
2023年の「心霊スポット巡礼ツアー」は、7月30日〜8月28日の日曜と月曜に運行。厳しい暑さをヒヤッとする体験で乗り切ってみてはいかがだろうか。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・現状を変えるには、とにかく何かをやってみる
・あらゆるコンテンツが企画のタネになる
・自社の魅力を理解することで時代の変化に対応できる
取材・文=伊藤めぐみ
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