増え続ける孤独死。電球ひとつで導入できる見守りサービスをヤマト運輸が提供する理由とは
東京ウォーカー(全国版)
「物流企業」であるという意識を変える難しさ。社内外の認知度を高めるのが課題
多くの人が認識しているように、ヤマト運輸は大手物流事業者だ。全く違う分野の事業を新しく始めることは難しくなかったのだろうか?
「社員の数、車両の数、拠点の数。こうした経営資源を全国に保有していることがヤマト運輸の強みです。従来は荷物を運ぶためにリソースを費やしてきましたが、こうした経営資源を活かした新たな事業展開をしていくことも会社の方針としてあります。『ヤマト運輸は宅急便の会社である』というイメージが強いですが、社会課題に貢献する宅急便以外のサービスも展開しているという認知を広げていくことも必要です」

ハローライトの設置、代理訪問はセールスドライバーではなく、各営業所にいる常駐スタッフが行うなど、本来の業務である物流サービスに負担をかけないサービス設計に工夫したのだそう。
「サービス開始当初は『電球で見守りってどういうこと?』という声もあったのですが、サービス展開が進んでいくなかで、徐々に社内での理解も深まっており、さらなる営業強化に取り組んでいます」

実際、「クロネコ見守りサービス」が命を救ったという事例もある。長崎県のある高齢者宅に、息子からの依頼でハローライトを設置したところ、サービス申し込みの数日後に異常検知があった。息子から連絡したが、連絡がつかない。そこでヤマト運輸に代理訪問の依頼が入り訪問した結果、自宅内で倒れているのを発見し、救助につながったという。しかしながら、ハローライトはその性質上、倒れたことが瞬時にわかる仕組みではない。
「高齢者の見守りといってもニーズはさまざまで、ひとつのサービスがあればそれで万事解決というわけではありません。ニーズによってどのようなタイプの見守りが向いているかも違います。緊急性が高い場合は、すぐに状況がわかるようなサービスをご利用いただくのがよいと思います。『クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン』は、まだまだ元気だけど万が一に備えたい、そういった方に選択肢のひとつとして検討していただけたらと考えています」
今後の課題としてはどういったことがあるだろうか?
「現在は異常検知の通知はメールで行っていますが、今はメール自体を使わなくなってきています。世の中の変化に合わせて、アプリや別の通知方法にしていくことも検討しています。また、電球というデバイスにおいても、今後、住宅事情が変化していった際にも、対応できるようアップデートが必要だと思っています」
約9000件という契約者数について、川野さんは「まだまだ」と考えているのだそう。
「2022年7月から2023年3月にかけて3カ月無料キャンペーンを行い、世に向けて初めて大々的にPRをしました。見守りサービスと言われたときにヤマト運輸をイメージしていただけるようにさらなる認知を広げ、より多くの方に利用していただきたいですね」と川野さん。
「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」以外でも、経営資源を活かした新規事業開発を考えているというヤマト運輸。今後、宅急便以外のイメージが定着していくのかもしれない。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・ターゲットを絞りつつも加入条件をつけないことによって、汎用性のあるサービスになる
・経営資源を活かしつつ、長期的な事業展開のため現場の仕事を圧迫しないようにする
・自分たち自身が持っているイメージを打破することで、新しい事業が生まれる
取材・文=西連寺くらら
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