ジェンダー意識の壁をなくし安心で新しい“出会いの世界”を目指す、世界最大級のマッチングアプリTinderの想い

東京ウォーカー(全国版)

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ジェンダーに関する意識を変える『Let's Talk Gender』を公開

ーーTinderは、ジェンダーの在り方に関する啓蒙活動にも取り組んでいますが、先日公開されたWebサイト『Let's Talk Gender』の狙いについて教えてください。
【永野久美】アプリを通して、多様な出会いや自分と違った価値観に触れることによって、自分が知らなかった世界が広がっていくと考えています。ただ、自分が思っている価値観が、必ずしも正しいわけではないじゃないですか。そこで、ジェンダーについてきちんと学べば、相手へのリスペクトの気持ちを持つことができ、いろいろな人を受け入れることができるようになると考えたんです。Tinderが、さまざまな価値観に触れられる出会いを提供しているアプリだからこそ、「Let's Talk Gender』のようなサイトを作ろうと思いました。

多様なジェンダーについて学び、理解を深めることのできるオリジナルサイト『Let’s Talk Gender』を公開


【永野久美】マッチングアプリの多くは、相手に希望する年収や身長などさまざまな条件を、多くのフィルターで絞っていますよね。でもTinderの場合は、あえてフィルターの数を少なくしています。なぜかというと、フィルターをかけずにたまたま知り合った出会いって、違う価値観だからこそ得られる何かがあると考えているからです。一瞬であっても長期間であっても、学べることがあると思うんですよね。いろいろなジェンダーの方たちがいるので『Let's Talk Gender』で学んだことを生かして、多くの人と出会ってほしいと思います。

ーー最初からフィルタリングしてしまうと、想定外の出会いがなくなってしまいますもんね。
【永野久美】これまでの世代って、友達の友達とか、飛行機で隣になった人とか、いろいろな出会いがありましたよね。あの感覚に近いのかなと思っています。フィルターをかけすぎると、意外な出会いや思いがけない出会いは消えてしまいますから。それを残すために、フィルターが少ない仕様になっています。

永野さんにTinderの魅力を伺うと、「フィルターを少なくすることで、リアルと同じような予想していなかった出会いがあるのも魅力のひとつだと思います」と、ほかのアプリとの違いを教えてくれた【撮影=阿部昌也】


ーー『Let's Talk Gender』について、メンバーからの反響はいかがですか?
【永野久美】「こういう内容を知りたかった」とか、「これって学校で教えたほうがいいんじゃない?」っていう声があったので、公開できてよかったなと感じています。人のことだけでなく、「自分って、こうなんだ」と自分についても理解が深められるサイトにしたかったので、それがうまく反映できました。コンテンツが豊富ですが、「多すぎる」というネガティブな意見は少なく、ホッとひと安心しました。『Let's Talk Gender』を制作したチームメンバーには当事者もいるため、当事者の実体験や声が反映されていることがやはり大きいですね。ただのコンテンツではなく、やっぱりその人たちがどう感じるか、それを読む人たちがどう感じるかを大事にしているサイトになっています。

ーー確かに当事者の意見は大きいですよね。辞書的に項目だけあっても、あまり頭に入ってこないと思います。
【永野久美】やっぱり辞書にしちゃうと、そこに当てはまらない人がいっぱい出てくるじゃないですか。誰も排除しない、すべての人が関われるサイトにしたいと思って作っていたので、実際にそういった反響がもらえたのはうれしかったです。

『Let's Talk Gender』は当事者が制作に関わっているので、よりリアルな意見が投影されているそう【撮影=阿部昌也】


ーーどういった方に活用してほしいですか?
【永野久美】すでにメンバーの人も、まだメンバーでない人も、やっぱり自分のアイデンティティに迷ったときに、『Let's Talk Gender』を見ていただいて、自分ひとりじゃないっていうことを感じてもらえるといいですね。あるいは、Tinderで好きになった相手の性自認や性的指向が自分の思っていたのと違ったときや、ちょっと迷ったときのヒントにしてほしいと思っています。まずここからスタートして何かヒントを得て、自分の可能性を広げて先に進んでもらいたいと思いますね。そして、親の世代にもぜひ見てもらいたいです。ジェンダーが流動的になっているときに、それについて親世代にも理解を深めていただく場所になってほしいという想いもあります。そういった意味で、今回のサイトは本当に誰もが見やすいデザインや表現になっています。

ーーきっかけがある・ないだけで、全然違いますよね。
【永野久美】いろいろなジェンダーの方が世の中に存在するということに気づくタイミングは、人それぞれあると思いますが、これがそのきっかけのひとつになったらいいと思います。ジェンダー問題に触れてこなかった人も、この『Let's Talk Gender』を見て考えるきっかけになってくれたらうれしいですね。

LGBTQ+との心地よいコミュニケーションを築くポイントとは?

ーーメンバーが、LGBTQ+といった性的少数者とコミュニケーションをとる際に、どういうことに注意したり、心がけたりするといいと考えていますか?
【永野久美】ジェンダーに関する知識をちゃんと持って行動することと、恐れすぎないことが大事だと思っています。男性・女性という2つの区分だけではないと知っていれば、「相手をどう呼ぼうか?」って一瞬考えると思うんです。例えば、買い物をしている男性2人を見かけたら、どう認識しますか?きっと多くの人は友達だと認識してしまいますよね。ほかにも、男女だったらカップル、大人と子どもだったら親子って決めつけてしまいがちです。でも、一際そこで立ち止まって、「もしかしたらこの2人の関係は自分が思っている関係ではないのでは?」と考えてみると、フッと気づくこともあるかと思うんです。ですから、"自分の先入観で決めない”ことが大事ですね。あと、間違えを恐れないことも大切です。間違えたときは「ごめんなさい」って言えば大丈夫ですし、それをきっかけに変えればいいのです。あと、これは性別関係なくかもしれませんが、きちんと相手に聞くことも大切ですね。例えば、「間違えちゃったんだけど、何て呼ばれたいですか?」と聞いて、「あなたのことを知りたいんです」ってアプローチすることも必要ですよね。

ーー人と人のコミュニケーションですものね。
【永野久美】まず、相手の立場や、相手が心地いいコミュニケーションってなんだろう?って考える。そして、自分もそこを恐れずに楽しむことが大事だと思います。実際、このサイトを作ったチームは、25、26歳の当事者を中心に構成されていて、私も一緒に制作に携わらせていただきました。そこで、まず彼らとしっかりコミュニケーションをとることにしたんです。彼らの話を聞けば聞くほど、これまで自分がジェンダーについて無知だったとあらためて気づきましたし、知識がないのにジェンダーを語るのは危ういと感じることもできました。

【永野久美】もしかしたら、私も過去に、いろいろな人を知らないうちに傷つけていたかもしれないですよね。でも、これからは「傷つけるかも?」と気づけようになったのが収穫です。しかも、そう思えるようになったことが、自分の成長なんですよね。

当事者と制作することで、ジェンダーについて学ぶことができた永野さんは、「知識がない人がジェンダーについて語るのは怖いことだと思います」と、自身の体験を交えて感想を教えてくれた【撮影=阿部昌也】


ーーそこに気づけるようになると、きっとコミュニケーションが円滑に進みますよね。先日発表された『Safe Dating Guide』についても教えてください。制作のきっかけは?
【永野久美】この『Safe Dating Guide』に関しては、Tinderのポリシーをもとに作成されていて、読んでいただくと当たり前のことが書かれていることに気づいていただけると思います。人ごとだと「こうすれば?」って簡単に言えるけど、自分ごとになるとわからなくなることってありますよね。例えば、友人から「誰にも言わず、見知らぬ人に会いに行った」とあとから聞かされたら、「危ないよ!」って言えるじゃないですか。でも、もし自分だったら、家族に「ちょっとデートに行ってきます。知らない人と」って言わないと思うんですよね。

デートの安全を高めるためのヒントをまとめた『Safe Dating Guide』


【永野久美】『Safe Dating Guide』は、マッチングアプリやオンラインの出会いが当たり前になった今の世の中において、自分の身を守るために大事なことをガイドしています。相手をリスペクトしながら、自分の身を守ってどうデートを楽しむか、ここの質を高めるために必要な情報です。知っておきたいことと、知ってほしいこと。そして、もしかしたら今までの人生で誰も教えてくれていない内容が掲載されているかもしれません。ぜひチェックしてみてください。

ーー年齢が上がっていくにつれ、マッチングアプリもジェンダー問題も、受け入れづらい人は多くなりがちかと思います。そういった人に受け入れてもらうための工夫などはされていますか?
【永野久美】基本的には、私が「若いときにこういう情報と接することができたらよかったな」という想いがすごくあるので、情報発信することから始めています。身近な実例がないとやはり変わりにくいと思うんですよね。ただ、あまり年齢は関係ないと考えています。現代の出会いは、たまたま身近にアプリがあるかないかということなので、上の世代の方もきっかけがあれば変わる方もいるかもしれませんし、変わらない方もいるでしょう。周りにマッチングアプリで幸せになった人がいれば、自分も使ってみようと思うのではないかと思います。

【永野久美】ですから、タッチポイントがたくさんあったほうがいいと思うんですよ。Tindeだけで何かできるわけではないですし、何も変わらないんです。やっぱりいろいろな会社や学校、団体などが、同じ方向を向いて発信していけば、気づきの機会が増えると思うんですよね。

ーーアプリを通して多様な出会いを提供していくなかで、社会にどういった変化を起こしていきたいと考えていますか?
【永野久美】Tinderはあくまでも“人と人とが出会うツール”です。出会いって、この先もずっと変わらないことですよね?ただ、その形がちょっと変わっただけ。でも、アプリがあるからこそ、出会えなかった人と出会えるようになったんです。さらにTinderの場合は、条件で相手を探すのではなく、偶然にマッチした価値観にも出会えます。これってすごく楽しいと思うんですよ。

【永野久美】もちろん、やっぱり知らない人とコミュニケーションをとるのはとても緊張しますし、すごく難しいことです。でも、そのコミュニケーションを一回で終わらせてはダメなんです。Tinderの場合は、理想の相手を見つけるだけでなく、フィルターをかけず自分の可能性を広げながら出会うことが楽しめます。出会いの数が多いほど自分のためになると思いますし、マッチングアプリだから嫌な経験もするかもしれません。でも、それもひとつの学びとして、次の出会いにつながるかもしれないので、次々と試しながら、いろいろな人と出会ってほしいと思います。

「自分たちが若かったころにもTinderのようなマッチングアプリがあったらよかった」と、笑いながら過去を振り返る永野さん【撮影=阿部昌也】


【永野久美】『Future of Dating Report 2023』にも書かれていますが、Z世代は、どの世代よりも結婚がうまくいく世代だと私たちは考えているんです。マッチングアプリの存在で、気が合うとか、価値観が似ている者同士が出会う可能性が、今までの世代の何倍もあるわけですから。それで本当に一緒にいたいと思えたら、すごく幸せな結婚ができるんじゃないかなと、私たちは考えています。本当に素敵だなって思いますね。

この記事のひときわ #やくにたつ
・ターゲットの世代ごとの価値観を分析する<br />・テクノロジーを効果的に活用し、リスクを回避する<br />
取材=浅野祐介、取材・文=北村康行、撮影=阿部昌也

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