発売当初は店頭販売だった?自動販売機のアイスクリームでおなじみ「セブンティーンアイス」の誕生秘話に迫る

東京ウォーカー(全国版)

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公園や駅など公共施設の自動販売機コーナーでアイスクリームの自販機を見たことはあるだろうか。この自動販売機で販売されているのは、江崎グリコ株式会社(以下、江崎グリコ)が発売する「セブンティーンアイス」だ。

セブンティーンアイスとは、自動販売機専用のオリジナル商品を展開するワンハンドアイスのブランド。カラフルでかわいらしい17種類のアイスクリームが人気で、1985年の登場以来およそ40年もの間、さまざまな施設や場所に設置されている。

このブランドはアイスクリームを自動販売機で販売するという独自の販売方法を取っているが、このビジネスモデルはどのように始まったのだろうか。今回はセブンティーンアイスの誕生秘話や販売戦略、商品開発などについて江崎グリコ マーケティング部の井上朋美さんに話を聞いた。

公共施設で見かけるセブンティーンの自動販売機


最初は店頭販売だった?セブンティーンアイス開発秘話

1985年に自動販売機での販売が始まり、2023年現在でも同じ方法で販売されているセブンティーンアイス。しかし、ブランドが誕生した1983年は普通のアイスクリームと同じように、小売店のショーケースに並んでいたという。このころはアイスといえば子どもが食べるものというイメージが強かったこともあり、「17種類の味」と「17歳の学生向けアイスクリーム」をコンセプトとして売り出したのがセブンティーンアイスだった。

「今でこそ全世代の人がアイスクリームを食べますが、1983年当時は子どもが食べるというイメージだったので、もう少し上の世代でもおしゃれにおいしく食べられるワンハンドアイスを発売しました。ですが、当初はショーケースでの販売だったこと、そして17種類のアイスクリームがあるということだけしかわからずにブランドの個性が埋もれてしまったことで、売り上げを伸ばすことができませんでした」

セブンティーンアイスのロゴ


その後、「これまでアイスが売られていなかった場所で売ってみよう」ということになり、1985年に自動販売機として本格展開。江崎グリコはもともと栄養菓子「グリコ」を自動販売機で販売していたこともあり、ノウハウや技術をアイスに転用することができたという。記念すべき第1号が登場したのは新宿のボウリング場。若者や家族が集まる場所だったという理由で設置された。

「第1号の自動販売機ではとてもよく売れたと聞いています。アイスクリームが自動販売機から出てくるという驚きと、お客様がたくさんいらっしゃって混み合うボウリング場の施設内で、気軽にアイスクリームが手に入るというメリットが注目されて、非常に話題になったそうです。『ボウリング場に置いているアイスクリーム』=『セブンティーンアイス』として広く知られるようになっていきました」

【写真】2022年度人気No.1の「クッキー&クリーム」

2022年度人気No.2の「カラフルチョコ<ミルク>」


自動販売機という、欲しいときにその場ですぐに手に入る販売方法、そして17種類というラインナップの豊富さが人それぞれが持つ価値観や嗜好にマッチし、大勢の人が集まる場所との相性が抜群だったことがヒットの大きな理由だと井上さんは話す。その後、徐々に人の集まる場所に展開され、現在では全国47都道府県の施設に設置されるにいたった。

設置場所によって変わるアイスクリームの需要とは

現在でも全国各地の公共施設に設置されているセブンティーンアイスの自動販売機。公園や駅、温泉施設、ゲームセンター、高速道路サービスエリアなどさまざまな設置場所のなかでも、特に販売に成功しているのは「スイミングスクール」だという。

「全国にあるほとんどのスイミングスクールさんに設置していただいております。お子様が泳いでエネルギーを使われるので、練習後にアイスクリームを食べるというのがエネルギー摂取の面で相性がいいこと、頑張って泳いだあとにご褒美として親御さんに買ってもらえるということ、この2つが売り上げを伸ばしている大きな要因となっているようです」

生チョコ仕立ての「ワッフルコーンショコラ」

とちおとめ苺果肉はジューシーな「濃厚いちご」


設置場所によって利用目的が大きく異なるため、それに伴ってアイスの売り上げにも違いがあるそうだ。例えば駅では仕事帰りのサラリーマンが夕方や夜に買うことが多いため、甘みの強いクリーム系の濃厚なアイスクリームが人気。また温泉施設ではお風呂上がりのクールダウンのためにシャーベット系がよく売れるという。このような客層の違いによって陳列する種類を変えるなど工夫をしている。

最近では学校にも設置されているのだとか。生徒の満足度の向上や学校自体の魅力付け、そしてカフェテラスを充実させてきちんとマナーをつけさせるといった教育的な目的などから、積極的に設置を行う学校も多いそうだ。ひと昔前であれば学校でアイスクリームを食べるのはありえないという風潮があったが、時代によって価値観や意見が変わっていることもあり、設置場所にも変化が訪れている。

「また、空港や観光地など外国からの観光客が集まりやすい場所では、外国人観光客のみなさんが自動販売機を背に記念撮影をしていることも多いです。外国人の方々にとって、アイスクリームの自動販売機はとても珍しいようです。このような販売方法ができるのは、日本の治安のよさを表していると思いますね」

バニラとソーダの相性が抜群の「ソーダフロート」

濃厚バニラとサクサクワッフルがおいしい「ワッフルコーンバニラ」


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