誰もがリフレッシュできる先進的なトイレ「nagomuma restroom」。TOTOが目指す新時代のオフィストイレとは?
東京ウォーカー(全国版)
目指すのは「トイレのコンセプトに合わせた場所づくり」
――今後、nagomuma restroomをほかのオフィスビルに設置される予定はありますか?
【丸山智美】そこはまだ全然です。現在はnagomuma restroomの反応を見ながら今後のプロジェクトを提案していこうと思っています。決してこのトイレが商品として成り立っているものでなく、どのようなビルにでも設置できるわけではないので、このトイレをそのままほかのオフィスビルに提案するということは現段階では考えていません。
【丸山智美】ですが、今後はプランニングとしてnagomuma restroomのようなコンセプトを持つトイレが増えてくるんじゃないかなと予想しています。最近ではロビー階やラウンジ階といったさまざまなフロアがつくられることが多くなっているので、そこで過ごすワーカーのためのトイレをつくろうみたいな動きにはなっていくかもしれないですね。オフィスビルそれぞれに応じたトイレがつくられていく可能性は大いにあると思います。

【宮野直樹】今回のようにユーザーの声や要望が増えていくと、現在ではほかの空間と切り分けられているトイレがシームレスに融和し合っていくかもしれません。その延長線上として新しいコンセプトのトイレが生み出されたり、新しいトイレの形が出来上がったりしていくかもしれませんよね。また、近い将来には今回のトイレの起点になったオールジェンダートイレのニーズも出てくると思います。
――将来的にはどのようなトイレをつくってみたいですか?
【宮野直樹】トイレとほかの空間が今以上にフラットな感じで関係性が持てるような空間ができればいいなと考えています。また、逆にトイレに合わせてほかの空間をつくるといった発想がいろいろ出てくるとおもしろいなと思っています。完全に今までと逆転の発想でトイレがつくれるといいですね。
【宮野直樹】これまでオフィスビルを建てる際に、オフィスやカフェスペース、フリースペース、そしてトイレといったゾーニングがあらかた決まってから設計に入っていました。ですが、トイレに合わせて場所をつくるというか、トイレのコンセプトを中心に建物づくりをできるような文化が広まっていくと、人々のトイレに対する考え方が変わってきたりするのかなと思いますね。

――トイレを中心とした場所づくり…すごくおもしろい空間ができそうですね。
【丸山智美】現状では、場所に合わせてトイレをつくるというのが最新の段階かなと思っています。トイレは建物の中でハレの場ではなく“ケの場”で家賃が取れないので、建築主さんたちはみんなトイレを小さくしたがります。なので、窓際の一番いいところにトイレはないですよね。トイレの設置は奥まったところや空いたスペースにぎゅうぎゅうに詰めたりといった、お弁当箱みたいな世界だったのです。
【丸山智美】トイレを使う人にどんなふうに使ってほしいかとか、トイレで過ごすワーカーの気分転換のためにはどういう内装がよいかといったことを考え始めたのは、本当に最近の話なのです。今まではただキレイなトイレをつくっていればいいという感じでしたが、使う人のシーンまでちゃんと考えだしたのが最新の状況ですね。宮野が言っていたトイレの将来像は、これのさらに先の世界になりますね。
【宮野直樹】一般の方からすると、TOTOって水回りの最先端という会社だとイメージされていると思うので、オールジェンダーやIoTといった新しい社会のスタンダードを見据えて、その時代に必要となるトイレ空間をいち早く提案したり、お客さんから聞かれたときにしっかりと提示できたりするということが必要になってくるかなと思います。

――最後に、今後のTOTOが手掛けるオフィストイレの展望を教えてください。
【丸山智美】nagomuma restroom にはIoTを活用した「TOTOパブリックレストルーム設備管理サポートシステム」を導入しています。これからは使う方だけではなく、人手不足をはじめとしたさまざまな管理の問題が出てくると予想しています。そのため、トイレの設備管理システムを実際に管理する人たちとグリップしたうえで展開していく必要があると思っています。例えば、nagomuma restroomでは居心地のよさが売りではありますが、逆にそれが長時間滞在につながってしまうこともあるので、そこは滞在時間を管理側で確認できるシステムを導入しています。

【丸山智美】あとは、それぞれの個室に水せっけんがついていますが、それがどれぐらい減っているかがアラートでお知らせが行くようになっています。これまでは管理者が水せっけんの減り具合を毎回確認していましたが、システムの導入後は数日に1回だけで済むといった形になっています。今後は商品開発をしていくうえで、このような管理側の手間も減らせるようなものをつくっていきたいと思っています。今後もコンセプトと利便性を追求していきたいですね。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・トイレ空間に求められる価値は日々変化する
・気分転換が仕事の質に直結する
・いかに働きやすい空間をつくるかがオフィスの役目
・最先端の価値観にアンテナを張ることが大事
取材・文=越前与、撮影=後藤巧
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