コロナ禍を経て進化？盛り上がるお化け屋敷シーンのトレンドと今後とは

独自の進化を遂げるお化け屋敷。トレンドは「謎解き型」と「非接触型」

――クリエイターごとに独自の進化を遂げていたり、大型の仕掛けも増えてきたりしている、とお話しされていましたが、それを踏まえ、近年のお化け屋敷のトレンドなどをお伺いしたいです。
【大原】ひとつは謎解き型、ひとつは非接触、もしくは接触の少ないものでしょうか。

【大原】謎解き型は、リアル脱出ゲームでお馴染みのSCRAPさんがリアル脱出ゲーム×お化け屋敷として、「かくれ鬼の家からの脱出」や「呪われた廃工場からの脱出」、IPコラボの「貞子 呪いのビデオからの脱出」などを発表されています。

【大原】また、オバケンさんというお化け屋敷クリエイターも謎解き型のお化け屋敷が得意で、先ほども出ていた「畏怖 咽び家」の姉妹店的な立ち位置の「凶遡 咽び家」などを発表されています。この謎解き型は、謎解き、脱出ゲームのブームを受けてのものですが、多くは少人数で遊べることが多く満足感が高いこと、また、より緊迫した状況での謎解きが魅力だと思います。

【大原】また、テーマや自分の行動でストーリーに変化が起こったりするので、ホラー映画やホラーゲームの主人公のような気持ちになれるのもこのタイプのお化け屋敷ならではのおもしろさ。

【大原】ちなみに、「かくれ鬼の家からの脱出」と「貞子 呪いのビデオからの脱出」、「畏怖 咽び家」と「凶遡 咽び家」は現時点(2023年9月8日)でも実施されているので、よければぜひ遊びに行ってみてください！

――次に、非接触型についてお伺いできますでしょうか。
【大原】そもそも業界的にお化けとの直接の接触はほぼないのですが、それでもやはり演出でかなり近くまで来ることはあります。近年では、(感染症対策として)例えばお化け役がお面や防毒マスクを着けていたり、ゲスト側が小道具として仮面をつけたりすることでリスクの軽減を図ったりしているようです。

【大原】また、まさにコロナ禍での進化なのですが、オンラインで楽しめるものとして、SCRAPさんのオンラインリアル脱出ゲーム×お化け屋敷として、「呪い鏡の家からの脱出」や、BAKERUさんのオンライン進行型ホラー「イキサキ探し」なども生まれましたし、ほかにも、リアルだけど三密回避のお化け屋敷として、怖がらせ隊さんの車のなかや棺桶のなかで楽しめる「ドライブインお化け屋敷」や「絶叫棺桶」なども生まれました。

【大原】コロナ禍で一時期大変だったお化け屋敷業界ですが、さまざまな方法でそれを突破するお化け屋敷が生まれ、多様化したのはおもしろいですし、リアルな場所で人形もしくは演者が直接驚かせる！がテンプレ化してしまった業界的には大きな転換を迎えたと思います。

「ホラーイマーシブシアター型」が増えていく？お化け屋敷の今後を予想

――さまざまな転換を迎えたお化け屋敷業界ですが、今後どうなっていくと予想しますか。
【大原】お化け屋敷クリエイターは今回ご紹介した人たちのほかにも何人かいらっしゃり、すでにお話ししているようにそれぞれが独自の進化を遂げていて、強みなどが如実に出てきています。そして、それによりクリエイターごとにファンがついてきて、「そのクリエイターのお化け屋敷だから行く！」という方も多くいらっしゃいます。なので、バイネームでお化け屋敷が企画され、そのお化け屋敷へファンが訪れるという流れが、今後どんどん強まってくると思います。これにより、きっと新たなお化け屋敷クリエイターが生まれてくるのではないか、と思っています。

【大原】また、ここ数年で観客が物語へ介入もできる新しいエンターテインメント「イマーシブシアター」というものがエンタメ業界でどんどん生まれています。これはホラーとも相性が良いので、希望的観測も含めて「ホラーイマーシブシアター」という概念を取り入れたお化け屋敷が増えていくのでは、予測しています。

【大原】実際、少しずつ「イマーシブシアター」要素のあるものが出てきているのですが、今後さらにその要素の強いものが登場してホラーイマーシブシアターがお化け屋敷界のひとつのフォーマットになるはず。

【大原】私自身「イマーシブシアター」も大好きでお化け屋敷と同様にウォッチしているので、大好きな要素がふたつ組み合わさることは大歓迎！たくさんのホラーイマーシブシアターができることを願っています。