女性の悩みに寄り添ったプロダクトとコミュニティを…。味の素がセルフケアのサブスクサービス「LaboMe(R)」を始めた理由

東京ウォーカー(全国版)

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発信するのは「完璧ではない、ズボラな自分」

――コミュニティ運営において、ユーザーからはどのような反響がありましたか?
【橋麻依子】オンラインの中でいろいろ発言してくださっている方のほとんどは、これまで自分がどういうことに悩んでいるかを文字にして話すことがなかったのではないかと思います。ですが、自分の悩みや経験を投稿したときに、スタンプがついたり返信があったりと、反応があることがすごくうれしいという声をいただいています。

【橋麻依子】また、LaboMeの強みは味の素の研究員がコミュニティに参加していることですね。現在、管理栄養士や理学療法士といった健康に関してのプロフェッショナルが7人ほど在籍しているので、専門的な知識や知見をエビデンスとともに発信したり、ユーザーのお悩みに返答したりしています。

2023年9月のプロダクト「pitôn Femcare Soap」。ハワイの大自然で育ったタマヌオイルを贅沢に使用したフェムケア専用ソープ【提供=味の素】


――専門家の回答があるのはすごく安心できますよね。
【橋麻依子】研究員として信頼できる情報を発信するために、投稿する内容を「本当にエビデンスとして強いのか」、「偏った内容になっていないか」と何度も推敲を重ねてからユーザーに届けています。現代の情報社会において、情報が信頼できるものかどうかがわからないという悩みもよく聞くので、情報の信憑性に関しては安心してもらえるように徹底的にこだわっています。

――まるで次世代のSNSですね。
【橋麻依子】そうなれるといいですね。LaboMeのコミュニティを「優しいSNS」にしたいと思っています。オンラインのコミュニティ運営で難しいのは、一部の人のキラキラ投稿でみんなの心がくじけちゃうというところですね。そのようなキラキラした演出や着飾りをみんながしなくてもいいように、私やコミュニティマネジャーが最初にズボラな投稿をしたりしています。

【橋麻依子】最初に「完璧じゃなくていいんだ!」という投稿を見せることが大事だと思っています。私自身もズボラだし丁寧な暮らしなんかできていないので、完璧じゃない自分をどんどん発信していくことにこだわって、試行錯誤を重ねています。

――確かに完璧じゃない自分を出すのって、完璧な自分を出す以上にすごく大変ですよね。
【橋麻依子】そうなんですよ。SNSってどこか自分をきれいに見せたいというところがあると思います。ですが、ユーザーが自然体でいられて、好きなときに入れて好きなときにいなくなれる場所やコミュニティを作っていくのが現在の目標です。

2023年10月のプロダクトは、生理中のさまざまな悩みに寄り添う乳白色のバスパウダー「MONTHLY FRIEND」【提供=味の素】


LaboMeで、人・社会・地球のWell-beingに貢献

――今後のプロジェクトの方向性について教えてください。
【橋麻依子】まだLaboMeは実験段階ですので、何がお客様にとってちょうどよく、心地いい形なのかを模索しています。ですので、まずはサービスを利用してくれている方がちょっとだけでも自分のことを好きになれる、幸せになれるような場所を作っていきたいというのが短い目標ですね。

【橋麻依子】その先の目標としては、私がもともと問題視していた「PMSの波があってはいけないと思うこと」を少しでも解決できればと思っています。波を抑えるためにさまざまな商品を試しても、よくならずに悩んで落ち込んでしまうという方がたくさんいます。そのような方に向けて、「波があってもいいんだよ」ということを伝えるべくサービスを展開しています。

「みんなが優しくいられる社会を作ることがLaboMeの目標です」と橋さん【撮影=後藤巧】


――気分や体調の波があることを肯定的に見るのは大事ですよね。
【橋麻依子】ですが、このような課題は、私たちのサービスだけでは解決できないと思っています。企業や行政、教育などさまざまな人や組織と一緒に「人間って波があるよね」という認識を広げていかないと、本質的な理解を得ることは難しいのではないでしょうか。そのような意識を社会に投げかけていって、ちょっとずつ社会が優しくなっていけばいいな、と思っています

【橋麻依子】最初は自分自身のPMSへの悩みがきっかけで、LaboMeを開始しました。ですが、プロジェクトを行っていくにつれて、女性だけの話ではないと感じるようになりました。自分の中で悩みを抱えていながら、がんばって適応しなきゃって思って生きている人たちって、年齢性別問わずたくさんいると思います。そのような人たちが、そのまんまでも心地よく生きていける場所を作るのが目標です。

――最後に、LaboMeを運営するうえで、今後の野望を教えてください。
【橋麻依子】現在、仕事をしながら大学院で社会学や人類学を勉強しています。波や揺らぎがあるのが当たり前の人たちが一緒に集まった社会を、どのようにいいものにしていくかという研究を行っています。平たく言えば、働きやすい職場や生きやすい社会などについて考えていますね。

【橋麻依子】研究で気づいたことや仕事で得てきたもの、そして事業を運営してわかったことなどを組み合わせて、現代社会において声が小さくて苦しい思いをしているような人たちが、もっと生きやすくなれるようなきっかけを作りたいと思っています。

【橋麻依子】「成長しなきゃいけない」、「お金を儲けなきゃいけない」といったことをみんな当たり前だと思って生きていますが、それによって引き起こされる苦しみもあると思います。そのような認識を少しずつ切り崩していければと考えています。事業や研究などさまざまなものを組み合わせながら、よりよい社会を築いていきたいというのが、今後のLaboMeの野望ですね。

「事業や研究などさまざまなものを組み合わせながら、よりよい社会を築いていきたい」というのが、橘さんの野望だ【撮影=後藤巧】


――今後のLaboMeの展開を楽しみにしています。
【橋麻依子】ありがとうございます。最後に、味の素は「アミノサイエンス(R)で人・社会・地球のWell-beingに貢献します。」というパーパスを掲げています。私はこれに共感していて、さまざまな人たちや生き物、そして地球も含めて、みんながもっといい在り方、もっといい生き方ができるようにするため、何か貢献できたらいいなっていうふうに思っています。これからもがんばります!

この記事のひときわ #やくにたつ
・悩みに寄り添うことがビジネスのきっかけになる
・コミュニティを作ることで、悩みや不安を共有できる
・「優しい」は社会を良くしていくきっかけになる

取材・文=越前与 写真=後藤巧

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