ビジョンメガネ・民事再生からの再起の裏に「メガネのマエストロ」制度。“最高の見え心地”を届ける接客とは
東京ウォーカー(全国版)
「助けられる側」になり、社会貢献への思いが一層強く
――コロナ禍で内定取り消しになった学生の特別採用や中古メガネの再利用など、社会貢献に関する御社の考えを教えてください。
【糸川さつき】私自身が長く勤めていて思うことなのですが、「情けは人のためならず」とよく語っていた創業者のDNAを、現在の社長の安東を含め、ビジョンメガネのスタッフが受け継いでいるのだと感じています。創業者は阪神・淡路大震災の際には、いち早く老眼鏡を無料で配りに行き、「メーカーさんやお客様に支えられている」と、いつも言っていました。
【糸川さつき】民事再生を申し立てたときは、明日仕入れる商品があるのか、お客様は来てくれるのか、と本当に苦しい思いをしました。多くのメーカーさんに叱られもしましたが、最終的には助けていただきました。そうやって自分たちが助けられる側になったとき、そのありがたみをすごく感じたんですね。まずは会社を再生して、そして、いつか恩返ししたいという思いがありました。
【糸川さつき】民事再生を経て、仕事に行けるというだけで、本当にありがたいことなのだと思いました。やっぱり仕事があるということが、ちょっとした不安を取り除いてくれて、心に余裕をもたらしてくれます。新型コロナウイルスが蔓延し、未曾有の事態で先行きが見えないなか、採用が削られていくという事態が起きたときに、「今が私たちが恩返しすべき時期なのでは」ということで、採用枠を広げることにしました。

【糸川さつき】リサイクル活動については、2005年から2007年にかけて、NPO団体を通じてアフリカに中古メガネを送っていた時期があったんですね。当時、NPO団体と連携する役割を担っていたのが安東です。この活動が続いていけばいいなと思っていたころに、どんどん会社の業績が悪くなって、支援どころではなくなりました。だから安東も「再開できたらいいな」という思いがあったんですね。

【糸川さつき】民事再生からしばらく経って、気持ちに余裕が出てきて、ちょうど何かやれないかなと思っていたところ、お客様から「メガネってどうやって捨てたらいいの?」と何度か聞かれました。メガネはパーツが多いので、分別するのが難しいんです。それにメガネはある意味で自分と一体化しているものなので、思い入れも強くなります。特にお亡くなりになられた方の形見だったりすると、余計に捨てられない。もう使わないけれど、手元にあるという方が結構いらっしゃいました。そこで安東が昔やっていたリサイクル活動を思い出して、ライオンズクラブさんを通して海外へ送ることになりました。1年間で約2000本のメガネを寄付しています。
――最後に、御社の今後の展望を教えてください。
【糸川さつき】多くの人が40代後半になると老眼になるので、メガネやコンタクトなど何かしらの対策が必要になります。また、問題だと感じていることではありますが、子どもの視力低下が進んで、中学校に入ると半分ぐらいの子がメガネを必要としています。
【糸川さつき】メガネ店もいろいろな販売手法や業態があるので、シェアの取り合いというのは間違いなく起こります。そんななか、ビジョンメガネはどうしていけばいいのか。最初に申し上げたように、我々は「お客様の一番そばにいるメガネ専門店」でありたいと考えています。
【糸川さつき】今はメガネのファッション性が高まっていますが、そもそもメガネは視力が弱い人にとっては生活に欠かせないものです。でもメガネって突然困ることがあるんです。レンズが外れたり、ぶつかって壊れたり、メガネをかけたまま寝て歪んでしまったり。だからこそお客様の生活圏内にあってほしい。そして「助けて」と言われたとき、すぐに助けられるメガネ店でありたいと思っています。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・目指すべき姿を言語化して共通認識にする
・理想とする「ユーザーとの付き合い方」を考えてサービスを設計する
取材=浅野祐介
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