脱・指示待ち社員!主体性のあるメンバーを育てるマネジメント研修「Management 3.0」に注目

東京ウォーカー(全国版)

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就職活動で「リーダーシップを持った人材が欲しい」とか、会社で「リーダーシップを持って取り組んでほしい」というような言葉が用いられることがある。逆に、指示を待って自ら動こうとしない人は「指示待ち社員」と言われ、敬遠されることもある。このように、働く現場で主体性を求められるシーンは多いわけだが、主体性の有無は個人の性格やそれまでの経験に依存した物事のように思える。しかし、これに対して「主体性は育てられる」というメッセージを送っているのが、マネジメント研修の「Management 3.0(マネジメントサンテンゼロ)」だ。Management 3.0の講師資格を持つヒロラボラトリー合同会社の代表、渡辺博司さんにManagement 3.0がどのようなものなのか話を聞いた。

ヒロラボラトリー合同会社の代表・渡辺博司さん。日本ではまだマイナーなManagement 3.0だが、世界中では既に10万人以上が受講している。今後の日本においても「メンバーの主体性をあげる」というテーマは広い業界・業種に求められることだと考え、Management 3.0の世界観を広めることに注力しているそう 【画像提供=ヒロラボラトリー合同会社】


メンバー一人ひとりが主体性を持つことで、チームとしての躍進を目指す

そもそもManagement 3.0とは、オランダ出身のシステム開発者、ヨーガン・アペロ氏が2010年に発表した書籍に端を発するという。

「『Management 3.0』という本では、非常に端的に表現すると、チームのメンバーがそれぞれ主体性を持つことで、組織の成長を加速させて飛躍させることができるということを説いています。この考えに基づいた研修プログラムをManagement 3.0社が提供していて、研修プログラムの名前も同じくManagement 3.0という名前です。ややこしいのですが、Management 3.0は書籍名であり、会社名であり、サービス名でもあります。私は、Management 3.0の講師認定を受けて、日本で研修プログラムを実施しているという立場です」

では、Management 3.0ではどういった組織を目指しているのか。

「Management 3.0で目指す姿として、主体性のあるメンバーが非常に多く存在し、従来のような上意下達の一方通行ではない、みんなが得意領域で相互にマネジメントができる組織を提唱しています。この考えを説明するためにこれまでの組織の姿を便宜的に『1.0』『2.0』と定義しています。詳細は研修内で説明しますが、かいつまんでご紹介すると、まず『1.0』というのは、日本でも1900年代から広まった姿で科学的管理法とも呼ばれる、会社が決めたタスクとルールで人を縛り、機械のパーツのように人をとらえる考え方です。成果が出なかったときは悪いのは会社やルールではなく働く人に問題があると考え、人を辞めさせてほかから補充してまたルールに従わせる、トップダウンが正義、そんな考えの世界です」

単純作業を繰り返す業務ならば「1.0」の考え方でもうまくいくこともあったようだ。しかし、世の中の考え方が複雑化し、新しいものを生み出す必要が増すにつれ、次第に「1.0」では立ち行かなくなってきたという。

「次に生まれたのが『2.0』の世界です。『2.0』では社長と現場の間に中間管理職を置いて、管理職が現場をコントロールします。社長や管理職の目標達成のために現場メンバーがいる、という考え方です。『1.0』のときのように、人を機械のパーツのように扱うことはしませんが、それでも従業員にトップ、ないしは中間管理職の“言うことをきかせる”という管理の仕方ですから、そこに主体性はありません」

「1.0」「2.0」ときて、「3.0」でなぜ主体性ということを重要なキーワードにしているかというと「変化に富んだ世界で問題や課題、狙いたいゴールに対処するにはその問題やゴールに近い現場メンバー自身がその場で判断したり行動するほうが対処しやすい」ことが理由だと渡辺さんは言う。

「たとえば、100個の課題があったときに、『2.0』の組織のような課題から遠くに位置するまとめ役のトップに、その都度判断を仰いでいると伝言ゲームで情報がうまく伝わらなかったり、初動が遅れたりして課題の解決に苦労することが多いです。また、一度決めた解決策がずっと有効かというとそうとも限りません。競争相手が強くなったり、想定していなかったサービスが生まれて顧客が離れていったり、それまでのやり方を変えていかなければならないということもよくあります。そのような状況でいつもほかの人から指示をされないと何も動けない人ばかりがいる組織というのは強くありません。課題に近い現場のメンバーが変化に気づいたら、その変化に対応できる方法をメンバー自身で主体的に作れる組織のほうがはるかに強いです。そこで、強い組織になるためにそういった主体性のあるメンバーを増やしていきましょう、というのがManagement 3.0の考え方です」

主体性を上げるというと、気持ちの問題のようにも思えるが、Management 3.0の研修プログラムでは人の浮き沈みの気持ちをコントロールできるということなのだろうか?

「結果的にできる、ということです。Management 3.0の基本的なコンセプトとして、“人ではなくてシステムをコントロールする”という考え方があります。何か成果がでなかったときに、『1.0』や『2.0』の世界観だと人を責めることが多くあります。しかし、『3.0』では人を責めることはありません。その人が仕事をするためにどんなシステムが準備されていたのかを重要視します。ここでいうシステムは機械的なツールのことではなく、相手と自分の間にある仕組みやルール全体を指しています。しっかりと仕組みを整えることで、人々は働きやすくなり、成果も出しやすくなり、モチベーションも持続する。結果、いいサイクルが廻り始めてそのなかで主体性もが上がる、ということなんです」

主体性を持ったメンバーが集まった結果、“船頭多くして船山に登る”のようなことは発生してしまわないのだろうか?

オフラインでの講座風景。Management 3.0の世界観を理解するところからスタートする 【画像提供=ヒロラボラトリー合同会社】

「Management 3.0では全員がチームのトップポジションになろうということを言っているわけではありません。そもそも、目指すべきトップがひとつに限らないということは多くあります。よく例えとして用いるのはスポーツチームですね。野球を想像してみてください。ピッチャー、キャッチャー、ファースト……とポジションがあって、あなたはファーストですとなったら、一塁を守りましょうとなるわけです。ファーストの人が三塁を守りにいったらおかしいですよね、そのポジションでのリーダーになりましょうということです。しかも、誰かに『ファーストにボールがいったぞ!』と言われて初めて動くようではいけませんよね。主体的に守らなければなりません。もちろんシチュエーションによっては、指示を出したり出される必要はありますし、そもそも守備範囲はどこまでなのか、どういった状況ならセカンドがファーストに出張る必要があるのかとか、そういったことを考える必要はあります」

渡辺さんによれば、主体性を持った人材確保というのは、さまざまな業界の経営課題としても上がっていることだという。

「以前にも増して、昨今はさまざまな課題解決が求められるようになり、課題に合わせたツールが次々と登場しています。AIの台頭もそうです。ですが、どんなツールやスキルがあったとしても、課題を解決する主人公である現場メンバー自身に意思がなければ、課題解決も、解決に向けたツールやスキルの利用もままなりません。旧来のような組織の姿をよしとして、優秀な管理職を用意し、多くの指示を出すようにしたとしても、それは管理職の疲弊につながり、やがて組織全体の疲弊につながってしまいます。それでは変化の多い現代に対応できない。そういったわけで、多くの組織が現場メンバーが活躍できる考え方を求め始めています。最近の事例で言うと、現場に主体性を持たせるという考え方が紹介されている『ティール組織』(著者:フレデリック・ラルー、訳:鈴木立哉、解説:嘉村賢州/英治出版)がベストセラーになっています。主体性を持った人が入社してくれれば話は早いのですが、自社独自環境で有効な主体性は、自社で育成することが必要だということに多くの組織が気づき、現場に主体性を持たせる方法を探しているのが、今のビジネス業界のトレンドでもあり、今後の企業に必要な要素でもあります」

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