「大切なのは“正直さ”」車業界の透明化に挑む中野優作のリーダー論に、こじりんが涙した理由とは?【NMB48・小嶋花梨の“最強キャプテン”への道】

東京ウォーカー(全国版)

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“謝れること”と“開き直れること”はリーダーの大切な素質

小嶋「じゃあ、逆に正直であるがゆえに苦労したことってありました?」

中野「たぶんあるんですけど、僕、覚えてなくて。『すぐ謝れるようにしておく』のが重要で、正直、綺麗事ばっかり言ってるし言い切っちゃうんで、間違った判断もするし、有言実行できなかったりするんですよ。そのときは『ごめん』って謝るようにしています」

小嶋「え、それだけでOKになるんですか?」

中野「絶対OKになります!『ごめん!やっぱ無理!』みたいな。今、僕が着ているこのパーカーやTシャツ、いろいろな人から『欲しい』って言われるんですけど、ずっと売らなかったんですよ。だけど『アパレルやります!』って言って、みんな喜んでくれたんです。数百万ぐらいかけて作ったんですけど、やっぱり売るのはやめたんですよ」

小嶋「え!何でやめたんですか?」

中野「やめた理由としては、『やっぱよくないな』と思ったんです。おそらく全部売れるし、儲かると思ったんですけど、『これを着てビッグモーターに行って値引き交渉してやる』みたいなアンチもいたんですよね」

小嶋「うわぁ、なんか嫌ですね。悪質…」

中野「そうすると、傷つく人もいるだろうから売るのはやめたんですけど、そうしたらそりゃブーイングが来ますよね。だけどそのときも『ごめん!』って謝りました。『数百万損するけどやめます』って言ったらそのポストが盛り上がって、『その判断ができる人すごい』って逆に褒められるっていう(笑)」

小嶋「意外な反応が返ってきたんですね!」

中野「経営者で謝れる人って、けっこう少ないじゃないですか。僕は何かあったらスライディング土下座するぐらいの勢いで即謝ります。もちろん、謝る必要がない場面では絶対にしないですけどね。意見が変わったときや、実現できなかったときは謝るようにしています」

小嶋「それだけで全然違いますし、それも結局は『正直』ってことですもんね!」

中野「あと僕、本当に言うことがコロコロ変わるんですよ。昨日言ったことでも今日変わっていたりするんですよ。でも、昨日と今日で状況が変わることってあり得るじゃないですか?」

小嶋「ありますね」

中野「みんなから『言うことがコロコロ変わって一貫性がないやつ』って言われそうだなと思ったんです。そこで、うちでは『変わらないことは変わり続けることだ』って言ってるんですよ。これで完全に正当化しましたね。ただ、『言ったことを正解にする』って決めているから、自分の発言にあんまり責任を持っていないだけなのかもしれないです(笑)」

小嶋「えぇ、そうなんですか?(笑)」

中野「花梨さんの場合は、発言が残っちゃうから難しいですよね」

小嶋「いえいえ、私もけっこう適当な人間ですよ(笑)」


中野「でも、開き直ることは大切だと思います。『ごめん、あのときはそう思ったけど、今は違うんだもん』っていうね(笑)」

小嶋「そうなんですよね。『大変でも正直で乗り切る』というのが、答えな気がしました!では、これもザックリなお話になるかもしれないですけど、営業に限らずお仕事をするうえで大切なことってなんですか?」

中野「僕たちは仕事の定義を決めていて、もちろん仕事とはお金を稼ぐことなんでそれは当たり前なんですけど、それを『スコア』と呼んでいます。そのうえで、僕たちの仕事の定義は『人々の笑顔を増やすこと』と言っているんです。綺麗事かもしれないけど、人の笑顔を奪うことだったり働く人が苦しくなるようなことをして稼ぐのは仕事じゃない。うちではそういうことはやらないって決めています。とはいえ、相手がいる仕事じゃないですか。花梨さんだったらファンの人がいたり。体調が悪くて仕事がつらいときもあるけど、『楽しい仕事はない、仕事を楽しくする人であろう』とセットで言っています。だから、うちの社員って大変な仕事とかがあると『チャンスや!』って言うんですよ」

小嶋「すごい!それ、めちゃくちゃいいですね!」

中野「大変なことがあっても対処するしかないので、自分たちでそういうマインドでいるようにしています。難しいんですけどね。やっぱり言葉が思考を作ると思うので、言葉の質を上げていくことを大事にしています」

小嶋「そういう考え方がみんなに広がっていくと、チームの空気感や居心地などがすべてが変わっていきそうですね。自分も、そういうふうにやってみたいです」

中野「めっちゃいいと思います!たとえば、5人ぐらいで暗いムードで『どうする?どうする?』っていう空気になっているときに、事情を知らない 箕輪さん みたいな人が『何やってんの!』って入ってくると、電気がついたように明るくなるじゃないですか。そうすると『まぁ、なるようになるか!』って思いません?要は、それが多数派になればいいので、うちではそういうふうになるように無理矢理やってますね(笑)」

小嶋「私は、そんなに計画的ではないのかもしれないですけど、自分の中で意識してることがあって。NMB48は全員で約60人いるので、チームが3チームに分かれているんです。なので1グループ12人くらいいるんですけど、2023年秋にそのチームが新たに結成されたので、メンバーが一気に変わったんですね。よく顔を合わせるメンバーがいなくなったり、今まであまり接することのなかった7年ぐらい離れてる後輩、年齢も13歳、14歳のメンバーたちとグループが一緒になったんですが、あまり明るくなくて。たぶん真面目すぎてだと思うんです」

中野「へぇ、そうなんですか」

小嶋「意識してるわけではないと思うんですが、人の話を真剣に聞いている姿がとても暗く感じて。実際にそういう人っていると思うんですよね。色でいうと『寒色』というか(笑)。私はこれを、どれくらい時間かかるかわからないけど『暖色』にしたいと思っていて、いつかできると思っているんです」

中野「間違いなくできます!」

小嶋「勝手に決めつけるのもよくないですけど、そのメンバーたちが今までかけられてきた言葉が寒色だった気がするんです。だから、私はいっぱい暖色の言葉を浴びせて、変えていきたいですね」

中野「めっちゃいいと思います。やっぱりリーダーの使う言葉が伝染するんで、みんな同じようなことを言い始めるんですよ。なので、うちの社員もみんな僕と同じようなことを言ってますよ!じゃあ、テーマは『太陽のように明るいグループ』ですね」

小嶋「そうですね!人数が多いので、私もメンバー全員とちゃんと関わることってすごく難しいんですけど、まずは自分の近くにいるチームの若いメンバーたちに、今自分が伝えられる言葉を伝染させていこうかと。結局、この先のグループを守っていくのはそのメンバーたちなんで」

中野「明るいし、みんな元気をもらえるし、いいんじゃない?ちょっと話が変わるかもしれないけど、“笑わないグループ”ってどこでしたっけ?」

小嶋「『欅坂46』ですね!」

中野「じゃあ、逆に“太陽のように明るいグループ”ってあるんですか?」

小嶋「そういった売り出し方のグループはないかもしれないですね。アイドルって、笑顔なのが当たり前になっているので」

中野「そうか、みんな笑っていますよね。けど、チームの方向性としてめっちゃいいと思いますよ」

小嶋「自分の中では、ここ数年NMB48は“がむしゃらに泥臭く”というのがなんとなくのテーマだったんです。でも、今の世の中がイメージしているアイドル像って、韓国のアイドルグループのような“完成しきったもの”なんですよね。そういうのが好きな人もいっぱいいると思うんですけど、私たちがそれを目指すのは難しいと思っていて。もちろん、それを目指してやってはいるんですけど、私たちは完成しきったものを見せるアイドルではなくて、成長過程を見せてそれを応援してもらうグループなんだと思っています。だったら、きれいなものばかりではなく、“ダサくても一生懸命ならいいんじゃない”っていう雰囲気でやっていきたいなと。まだ出し切れてないとは思うんですけど、声に出して言うようにはしてます!」

NMB48として、そしてキャプテンとして、明確に「こうしたい」という思いがあるようだ


中野「花梨さんってこういう話をしてるとき、生き生きしていてめっちゃかわいいと思います。理想の状態がちゃんと見えているなって。僕もいいと思ったし、きっとこの記事を読んでいる人も『それいいやん!』って思いますよ」

小嶋「ありがとうございます。数年前と比べて、チームとしても私個人としても『絶対に今のほうがいい』って思える部分がちゃんとあるんです。だからそこをもっと伸ばしていきたいなって思っています」

「業態をすべて透明化したい」中野さんが描く中古車業界の未来

小嶋「続いて、『中古車業界を変えていきたい』という思いでBUDDICAを作られたと思うのですが、具体的にどのように変えていきたいですか?」

中野「そうですね、変えることと変えないことがあります。僕がいたビッグモーターの社員さんたちも全員が悪者ではなく、ほとんどの人は真面目にやっていたんです。とはいえ、報道で『中古車業界自体どうなの?』みたいな話がたくさん出たわけですが、その原因を突き詰めると、“ブラックボックスであること”なんですよ。何をやっているのかわからない、みたいな。あとは正しい金額だったり、車って買ったら整備しないといけないんですが、車の部品って何千点もあって。本当に部品を交換する必要があるのかどうかって、正直わからないじゃないですか」

中野「そこに正解はないので、だったらITの力を駆使して、業態を全部透明化させればいいと思っています。だから僕らもSNSでありのままを出すし、今、公式サイトをリニューアルしているんですけど、『展開図』と言って、車の評価を全部表に出すようにしたんですよ。これはこの業界ではけっこう珍しいことなのですが、査定した人物や値段なども出していくし、購入後もデータが残るようにしています。イメージとしては、家に車の整備士が来てくれているような世界観です。特に東京では『車は欲しいけど、面倒くさいよね』といった意見が多いし、車を買った人からは『2年に1回車検で持って行くのが面倒くさい』みたいな意見もあるんで。それこそ『何されるかわからない』とかね」

小嶋「そうですね」

中野「でも、全部アーカイブで残っていたらいいですよね。たとえば、商談の流れが残っていたら悪いことはされないし、整備した履歴が全部残っているのに悪さをしたら『こんなにぼったくられました!』ってSNSに投稿されるわけだから。だから、大体そういうものは残させないんですけど、それをあえて透明化しようと思っています」

小嶋「それこそ『すべて正直に』ってことですよね」

中野「はい。ほかの業界だったら当たり前なんですけどね。また、自分たちだけが実践するのではなく、まず自分たちが先行でやってみて、そのプラットフォームをみんなに開放して、あとは好きにしてもらえたらなと考えています」

中古車業界をクリアにすることを目標に、日々まい進しているBUDDICA


小嶋「なるほど!では、将来的に変えていきたいこともあると思いますけど、もっと近い目標について聞いてもいいですか?」

中野「近い目標は、いろいろなところで言っているんですけど、『10期で年商100億円の会社を作る』です。その100億って、いわゆる“やりたいことをやるための手段”だったんですけど、実は先週に上方修正して『8期で100億達成しよう!』って現場が言ってくれたんです。なんか、2年短縮するらしいんですよ(笑)」

小嶋「えぇ、すごすぎます!」

中野「今6期目なので、あと2年半で『年商100億円の会社を作る』がひとつの通過点で、これが短期の目標ですかね。そして長期の目標としては、僕がBUDDICAにいる間に、日本中の車を愛する人たちが笑顔で車を買って、乗れるような世界を作りたいです。もっと言えば、10年で実現したいですね!」

小嶋「10年…。なんか、すごく長いようであっという間な気がしますね」

中野「そうですね。けど、一気にやれると思いますよ。今は通販で車を届けるBUDDICAの子会社『BUDDICA・DIRECT』の立ち上げ段階ですが、これがうまくいけば一気に実現できると思っています」

小嶋「ありがとうございます。では最後に、中野さんにとってBUDDICAとはどのような存在ですか?」

中野「『BUDDICAはみんなのもの』というのが僕の考え方です。社名にもある『BUDDICA』は、『buddy Car』つまり『相棒の車』という意味があります。たとえると、僕はこの“BUDDICAくん”を作った人で、オーナーでもあるから、会社における“脳”の役割を担っています。そして従業員全員が“BUDDICAくん”なので、右腕になる人もいれば、左腕や足、内蔵を担う人もいます。それに、“BUDDICAくん”は僕にとって子どもみたいなものだから、『BUDDICAくんが大きく成長して、いつか僕が追い出されるのが理想』って、社員には話しています」

小嶋「うわぁ、それいいですね!ありがとうございます!」

中野「逆質問いいですか?」

小嶋「はい」

中野「花梨さんにとってNMB48とは何ですか?」

小嶋「私にとって…何でしょう(笑)。今までみなさんに聞いてばっかりで、自分のことは何も考えてなかったですね。なんかいろいろなんですよ。難しいなぁ」

中野「『言葉にならない』ってことですね。いや、それが答えだと思いますよ」

小嶋「難しいんですけど、いつかは私もここを卒業するので、一生背負いたくても背負えない、大事な存在なんです。よく卒業したメンバーが言うのは、『NMB48は私の青春でした』ですね。でも、本当にそのとおりだと思っています。いつまでも夢を追いかけさせてくれるし、夢をいっぱい見させてもらえるし。頑張らなくても頑張っても全部自分次第って思うと自分そのものでもあるけど、いつかはその看板を下ろさなければいけないという難しさがありますね」

中野「なるほど。たしかに卒業前提だから、それはひと言では言えないですね、僕らみたいに(笑)。じゃあ、その答えはまたの機会に聞かせてください!」

小嶋「はい。きっとまだ『これ!』という結果が出ていないのが答えでもあるので、グループを卒業するころには見つかるようにがんばりたいと思います。本日はありがとうございました!」

中野「すみません、いろいろ聞いちゃって!」

小嶋「いいえ、すてきなお話をたくさんありがとうございました!」

対談後、こじりんは「自分の感情に気づけてよかった」と話した


抑え込んでいた気持ちが涙としてあふれ出たこじりん。同時に、今後の進むべき道が開けたように見え、最後はすっきりとした笑顔となっていた。これからこじりんが、後輩たちに暖色の言葉をかけていき、NMB48はより元気で太陽のようなグループになっていく。そんな未来を、中野さんも楽しみにしているように見えた。

取材・文=西脇章太(にげば企画)
撮影=大林博之(D-Heart Studio)

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