ハウス食品グループの新規事業開発の取り組みがおもしろい!4年目以降の社員全員にアイデアを形にするチャンスが
東京ウォーカー(全国版)
世の中のワーママ・ワーパパに注目を浴びている新しいサービスがある。ひとつは「Kidslation(キッズレーション)」。ECサイトにてサブスクリプション型で冷凍の幼児食を販売するサービスだ。もうひとつは「タスミィ」で、保育園内に設置した自動販売機で幼児1人分と大人1人分を合わせた量のレトルト惣菜を販売するというもの。いずれも保育園の管理栄養士がメニューの監修をしており、栄養バランスのとれた内容になっている。
小さな子どもを育てる親にとって、夕食時が一日で一番忙しい時間帯となる。子どもの食事を別で用意して食べさせ、お風呂に入れて、寝かしつける。同時進行で大人用の夕食も準備しなければいけないのだが、子どもがぐずったり泣いたり暴れたりしたら、そこはもう戦場だ。そんな家庭の助けになればと開発されたサービスが上記だ。
この2つのサービスは、ハウス食品グループ本社株式会社で2020年から行っている「GRIT(グリット)」という新規事業創出プログラムから生まれた。GRITがどういった狙いで生まれたのか、ハウス食品グループ本社株式会社新規事業開発部・課長の井筒勇樹さんに話を聞いた。

既存事業の延長だけではない、新しい未来を見据えた事業開発を目指す
その名のとおり、ハウス食品グループ本社における新規事業開発を担っているのが新規事業開発部だ。
「新規事業開発部は今年で8年目を迎える部署で、メンバーひとりにつき1テーマを担って新規事業の設立に向けて動いています。最近の事例ですと、『街角ステージweldi(ウェルディ)』というキッチンカーのレンタルサービスがあります。『飲食業界の参入障壁をなくし、挑戦者を増やすことで、食の多様性を広げる』というビジョンから考えられたものです。これまで食品の製造販売をしてきたハウス食品としては毛色が違う事業になりますが、今まで培ってきたことの延長で新規事業を考えるのではなく、5年後、10年後の未来を見据えたうえでの事業開発を行っています」
では、新規事業開発部があるにも関わらず、GRITという社内公募型の新規事業創出プログラムを行っているのはなぜだろうか?
「新規事業開発部に配属されたメンバーだけで、会社の次の新規事業を作っていくのも窮屈な話だよね、という考えがありました。社内でヒアリングをしてみたら、新規事業開発部メンバーではなくとも、さまざまなアイデアを持っている社員がいるというのがわかってきまして、ならばそういうアイデアをうまく事業化につなげられる仕組みを作ろうということでGRITは始まりました。アイデアのないところで机に向かってウンウンうなって考え出すよりも、新規事業について志を持っている人が動いたほうが、より精度の高い事業開発につながるのでは、ということで始まっています」
そうして始まったGRIT。エントリーできるのはハウス食品グループに所属している社員。「入社して3年間はまず会社の環境を知ってほしい」という考えから、入社4年目以上という条件はあるが、所属会社や部署、上限年齢などに制限はない。実際に、過去には50代の社員がエントリーしたこともあったそう。応募にあたっては、起案のきっかけ・理由と、想いの2つをエントリーシートに書いてもらっているという。
「新規事業を作るというのは簡単な話ではありません。長く険しい道程になるので、その人の起案にかける熱意や精神力・胆力を知りたいというのがあります。GRITの“G”の由来は“Guts(度胸)”からきているのですが、エントリーシートを提出してもらうことで起案に対しての熱意を確認します。選考通過後は、実際の事業の種となるアイデアをGRITのプログラムを通じて磨き込んでいきます。最終的には経営層に年間上限2テーマを選んでもらって、選ばれた起案者は新規事業開発部に異動してもらい、事業化に向けての実証に進んでいくという流れです」
新規事業創出となるとひとりでやるのは大変そうなイメージがある。GRITはひとりでエントリーするのだろうか?


「エントリー時点ではひとりですが、想いを同じくするメンバーを集めることは推奨しています。それは社内の人間に限ったことではなくて、外部の人でもいいんです。新規事業を立ち上げる際、社内で頑張ってもいいんですが、外部の人とつながったほうがパワーが出るというのはよくあること。ネットワークを広く持ちながら、同じ未来を見ている人を集めてやっていこうという話をしています」
GRITに応募した人が最終選考まで残ると新規事業開発部に異動するというが、これは簡単なことではないはず。社内ではどういった調整がされているのだろうか?
「GRITは人材部門と共催になっているプログラムなんです。事業開発やこれからの事業を考えていくということは人材育成の観点からも良いことだと考えています。どの会社でも、次世代の経営人材をどうやって育てていくかというのが大きな課題になっていると思いますが、それはハウス食品グループも同様です。事業運営を担った経験がある人が増えることは非常に有効で、人材部門からもGRITの取り組みに賛同をもらい、2020年から毎年行われています。ですので、GRITの採択プロジェクトに選ばれたメンバーが異動したとしても、人材部門と逐一情報を共有することで、うまく調整ができています」
2020年からスタートしたGRITは今年で5期目。毎年10〜20ほどのエントリーがあるという。第1期の採択プロジェクトが「Kidslation」「タスミィ」といずれも保育園児とその保護者向けの事業だが、これは偶然なのだろうか?
「GRITは“社員”から起案されるハウス食品グループの新しい未来です。経営層からではなくて、社員から未来がどう見えているのかというのがスタートになっているので、そのときのトレンドや、起案者自身の生活者目線からの想いというのが反映されやすいのかもしれません。保育問題というたまたま同じ未来を見ていた2人が第1期として採択されましたが、経営層から保育問題に取り組もうという話があったわけではないです」
特に、タスミィの事業推進者である石井英貴さんは、自身の妻の第2子妊娠時に120日間のワンオペ生活を経験。仕事・育児・家事のあまりの忙しさから、保育園に「給食を売ってほしい」とお願いするほど切羽詰まった状況に追い込まれたそう。保育園児を持つ家庭にとって、食事問題が大きいというのを身をもって体感したからこそ、熱意を持ってGRITにエントリーをし、新規事業開発に取り組めたという背景がある。
GRITの取り組みが続くことで、ハウス食品グループ全体にもいい機運が高まっているのを感じているそう。
「グループ会社の中にはハウス食品以外にも、ハウスウェルネスフーズ、ハウスギャバンなど多様な会社がありますが、それぞれの会社の中で新しいことに取り組もうというプログラムや、プロジェクトが始まってきています。GRITが火付け役になったのではないかと思っています。また、新卒採用のインターンシップの際に『ミニGRIT』というプログラムをしていることもあって、GRITの応募資格である4年目を迎えるのを楽しみにしている若手社員もいますね。採用の場でGRITについて聞かれたり、『新規事業開発をしたいから入社した』と話したりする社員もいて、新しい力が入ってくるきっかけにもなっていると思います」
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