宿泊費、交通費の負担なしで地方に滞在⁉︎旅行の常識を覆す「FreeTraffic」の革新的なアイデアとは
東京ウォーカー(全国版)
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今回取り上げるのは、Fourwin株式会社が運営する条件達成で交通費分のポイントがもらえるアプリ「FreeTraffic」。旅行者が訪れることで恩恵を受ける地方自治体や観光協会、DMOなどが、旅行者の代わりに往復交通費を負担するというコンセプトのアプリだ。
この「FreeTraffic」が、農業とワーケーションを組み合わせた新サービス「No 農 No LIFE(略称:ののの)」を展開する株式会社Perma Futureと業務連携を開始した。「No 農 No LIFE(略称:ののの)」は1日3、4時間のおてつだいをすることで、宿泊場所とテレワーク環境が提供されるワーケーションサービス。最短3泊4日〜2週間の期間で、1回あたり5500円で参加できる。利用者は「FreeTraffic」と「No 農 No LIFE」を併用して1日3、4時間のおてつだいをすることで、宿泊費と往復交通費を負担せずに地方での滞在が可能になるという。
旅行の交通費が実質無料になる夢のようなサービスだが、なぜこのようなアプリを開発したのか?また、業務提携の背景や今後の展望などを、Fourwin株式会社 代表の永瀬駿平さんに聞いてみた。
ITの力で、社会問題の解決に挑む
ーー初めに、「FreeTraffic」を開発した理由を教えてください。
2022年7月に、東京大学大学院情報理工学系研究科が設立した「UMP-JUST(Unified Multiple Projects-JUST)」という産学連携の組織が主催するアイデアソンに参加して、「FreeTraffic」のもととなる「FreeTrain」というアイデアを考えて最優秀賞をもらったのがきっかけです。
参加した第2回のアイデアソンは「運輸インフラビジネスはインターネットでどう変わる?」(テーマ提供:東海旅客鉄道株式会社(JR東海))というテーマで、鉄道業界のことは無知でしたので参加前は不安がありましたが、テーマの説明を受けているときにアイデアを閃きました。
自分で事業を起こそうと、いくつかのサービスのプロトタイプを作ったり、リリースしたりと模索中でしたが、この「FreeTraffic」をアイデアソンで止めてしまうのは社会にとってもったいないと思い、個人でやっていたプロジェクトをすべて中断して、「FreeTraffic」の開発に集中しました。
ーーアプリの開発にあたり、苦労したことはなんですか?
仕組み自体はシンプルなアプリなので開発自体はそこまで苦戦しなかったのですが、実証実験ができる自治体を探すことに苦労しました。人の移動のボトルネックとなっている「交通費」をゼロにすることで、人の移動が活発化されて、その結果、自治体に経済効果や関係人口増加のメリットがあるということは定性的には理解できると思うのですが、前例のない仕組みを試すことが難しい自治体が多いので、興味を持ってもらえてもその先に進まないということが多かったです。
ーーそれを、どのように乗り越えられたのでしょうか。
どの自治体にも、志や能力が高く、行動力のあるキーパーソンのような人がいるので、そういう人に出会えたときにスムーズに話が進むように思います。島牧村(※)でもそういった方と偶然つながれたことが大きかったと思います。
※北海道島牧村で実証実験を実施している(期間:2023年12月1日~2024年3月31日(日))
すべての人が、無料で移動できる世界をつくりたい
ーー「No 農 No LIFE」との連携にいたった背景や意図を教えてください。
「FreeTraffic」の活動についてSNSで発信していたところ、スタートアップ業界を長くみてきたクラウドファーム株式会社の田名辺健人さんに興味を持ってもらい、2週間に一度のペースでメンタリングを受けています。
そこで田名辺さんが「No 農 No LIFE」を運営する株式会社Perma Futureの代表の池田航介さんとつながっており、「相性がとてもいいスタートアップ企業があるから紹介したい」とのことで紹介していただいたのがきっかけです。
お互いのサービス内容を説明したあとに、サービスを組み合わせるとユーザーにとって大きな価値を提供できることを理解して、すぐに「一緒にやりましょう」と意気投合しました。交通費と宿泊費を無料にして、地域のよさを体験できる画期的な試みであると思っています。
ーーこの取り組みはどのような人にぴったりなのか、ターゲットを教えてください。
旅行者のターゲットとしては、旅行に行きたいがなかなかお金がないという人に使っていただきたいですね。交通費を気にせずに、行きたいところにたくさん行ってくれるとうれしいです。旅行関連事業者にとっては安定的な集客が可能となりますので、経営を安定化させたいと考えている事業者に参加してほしいと思います。
自治体のターゲットとしては、観光コンテンツがあるのにうまくPRできていない自治体や、そもそも観光コンテンツが乏しいと感じており観光コンテンツ開発と並行して目玉がほしい自治体、事業を行う人を増やして地域創生していきたい自治体にとっていいと思います。「FreeTraffic」の普及が進めば誰も損をする人がいなくなり、上記で挙げた以外の多くの人にもメリットがある仕組みであると思っています。
ーー今後の展望や、目指す姿を教えてください。
人の移動のボトルネックとなっている「交通費」をなくすことが、このサービスのミッションです。世界中のすべての人が無料で移動できる世界をつくろうと思っています。そのためにまずは、日本での導入自治体を増やして実績を積み上げていきます。
現在はあえてアプリをシンプルに作っています。実証実験に参加していただいたユーザーからのフィードバックを収集しているので、そのフィードバックをもとにアプリをよりよいものに作り変えていこうと思っています。日本での導入実績がもう何件か増えて、アプリの品質も高まったときに、一気に日本中、世界中に拡大していきたいと思っており、現在はその拡大のための準備をしている段階です。
ーー最後に、読者やユーザーに向けたメッセージをお願いします。
このアプリが普及すると、日本の旅行業界にとっては革命的なインパクトがあり巨大な市場が誕生すると思っています。また、地方が活性化し、日本のさまざまな社会問題を解決するきっかけになると思っています。「FreeTraffic」を社会に実装していくために、多くの方々の協力が必要です。導入を検討していただける自治体や観光協会、DMOなどの方や、そういう方々とつながりがある方はぜひ、お声がけいただけると助かります。また、実証実験を随時実施していこうと思っていますので、旅行者として実証実験に参加していただけるとありがたいです。
「FreeTraffic」の概要
「FreeTraffic」は、旅行者が来ることで恩恵を受ける地方自治体や観光協会、DMOなどが旅行者の代わりに交通費を負担する世界初(※)のコンセプトのアプリ。旅行者の交通費を実質無料にすることで人の移動を活発化させ、地域を活性化させることを目指している。
※国内特許出願済、PCT特許出願済
「FreeTraffic」を使って旅行し条件を達成すると、移動にかかった交通費相当のポイントを受け取ることができる。その獲得したポイントを現金やPayPayポイントに交換することで、実質無料になるという仕組みだ。
<ポイント獲得の条件>
・GPSで出発地点と目的地点を通過したことを検知すること
・アプリ内に登録されている宿泊施設で宿泊すること
・アプリ内に登録されている対象店で支払いをすること
この条件により、アプリ側では旅行者の理論的な交通費を算出することができ、旅行者が受け取る交通費以上の経済効果を地方自治体にもたらすことが期待できるという。
また、ポイント獲得には宿泊日数に応じた上限があり、北海道島牧村の実証実験では1泊あたり6000円を上限として設定している。宿泊日数を増やすことで上限が比例して増えるため、遠方からの交通費でも実質無料にすることが可能になる。
「No 農 No LIFE」との提携
株式会社Perma Futureは「農への仕切りを限りなく低くする」をビジョンに掲げ、農業とワーケーションを組み合わせた新サービス「No 農 No LIFE」を展開。半日は農作業、半日はワーケーションの時間とすることで、非日常を体験することができる。
体験する作業は農作物の収穫など、農作業をほとんどしたことがない人でも安心して取り組める内容になっている。また、ワーケーションに必要なネット環境も完備。古民家風のゲストハウスなど、自然の中で集中して作業することができる。作業後や休みの日には、近くの観光スポットを訪れて楽しむことも可能だ。
今回の提携で、利用者が島牧村で行うおてつだいは、株式会社ヤマト北栄水産の漁業、もしくは宮内温泉旅館でのおてつだい。宿泊環境、テレワーク環境は宮内温泉旅館から提供される。
<おてつだい内容>
・株式会社ヤマト北栄水産
生たこの出荷作業:日、水、金曜日
鮮魚の箱詰め作業:月、火、木、土曜日
・宮内温泉旅館
清掃作業
「FreeTraffic」と「No 農 No LIFE」を併用して北海道島牧村に滞在したい場合は、「No 農 No LIFE」公式サイトから申し込みできるとのこと。
旅行者の移動の負担が減ることで旅行・観光業界が盛り上がり、さらに地方の活性化にもつながる三方よしのアプリ。この取り組みが日本中に広がれば、日々の生活や働き方もより自由になるかもしれない。今後の動向が楽しみだ。
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