生牡蠣にはポン酢代わりのウイスキーがぴったり?/むぎが氏とワンルーム酒場(10)牡蠣とウイスキーでキメる夜
東京ウォーカー(全国版)

飲むと言ったらわが家一択……!カクテルコンペティションにて特別賞を受賞し、バーテンダーの経験もあるYouTuberむぎが氏。YouTubeでは連日、晩酌の様子を配信し、「朴訥(ぼくとつ)とした語り口に癒やされる」「手際のいい調理は見ていて気持ちいい」「画面からお酒の味が伝わってくる」など話題沸騰中。お酒を愛し、お酒に愛されたといっても過言ではない彼女による、ワンルームで楽しむ晩酌エッセイ連載。連載第10回は、「牡蠣とウイスキーでキメる夜」の様子をお届け!
牡蠣とウイスキーでキメる夜
冬の季節になると食べたいものがいくつかある。鍋だったり(鍋をそのままかじるわけではない)、みかんだったり、肉まんだったり。……牡蠣もそのひとつだ。生で食べても鍋に入れてもバターで焼いてもおいしくちょっとだけ特別感を得られ、いろんな食べ方ができるオールラウンダー食材だと思う。
今日はお仕事がいつもより早く終わったのでゆっくりと帰宅。いつもと同じ道を歩いているが辺りがまだ明るいと、同じ道でもどこか違う雰囲気を感じる。雲一つない青いお空。こんな日は道端に咲いているお花さんに「こんにちわ」って挨拶したり、太陽さんに「今日も熱いですね」と話しかけたい気分なのだが、変な人と思われるので辞めておこう。解放感に身を委ね、とりあえずいつものようにスーパーに入り、晩酌を考えることにする。
ふらふらスーパーを歩いていたらおいしそうな牡蠣ハッケーン。今日はHPもまだ半分くらいあるし、少し凝った料理のカキフライでも作ろうかしら。ちょうど先日YouTubeのショート動画を寝る前に観ていたら、おいしそうにカキフライを作ってる動画を観てしまい、カキフライ欲が上がっていた。夜のショート動画は時々飯テロがあるから本当に危険。とりあえず、カキフライ用に加熱用の牡蠣を買おう。
もちろん加熱用なので生では食べられない。以前加熱用の牡蠣を間違えて生で食べてしまい、次の日吐き気と食欲減少と熱で体調がすこぶる悪くなったことがあり、以来牡蠣を買うときはパッケージの「加熱用」と「生食用」をちゃんと確認するようになった。HP回復食材かと思えば、まさかのトラップでHPが削られる思いはドラクエで宝箱だと思ったのが実はミミック(モンスター)だった時の後悔と同じような気がする(牡蠣に関しては100億パーセント自分が悪いのですが)。
加熱用牡蠣をカゴに入れると、やっぱ生の牡蠣も食べたいという欲望も捨てきれずに「生食用」の牡蠣もカゴに入れる。前に体調悪くして生牡蠣もう食べない!って思っても時間が経てばまた生牡蠣を食べたり、二日酔いでもうお酒飲まない!って思っても時間が経てばまたお酒を飲んだり、もう恋なんてしない!なんて言わないよ絶対!って言ってみたり、苦しみを経てもなおそれに手を出すのは、人間の性だからでしょうか、それとも私の自我なのでしょうか。千葉ッ!滋賀ッ!佐賀ッ!自我ッ!
さぁ、そんなこんなで今日は楽しい牡蠣パーティだ、ヒャッホー!!とレジに向かおうとしたけど、カキフライだけだと寂しいから見栄え的に千切りキャベツも仲間に加えようと思い野菜コーナーに移動。今日はカキフライを作るのに全集中したいから、キャベツは既に千切りにしてあるのをチョイス。レモンもカゴに入れてレジを済ませ、スーパーを後にする。
しかし、まだお城(私のお家です)には帰らない。牡蠣といえばぜひ合わせたいお酒がある。世間では「白ワイン」や「日本酒」といった醸造酒が正統派な牡蠣に合うお酒の感じがするが、蒸留酒も侮るなかれ。我が家にはそのお酒は今切らしてるので酒屋さんに足を運ぶ。気分が上がりながら酒屋さんに入ると、ふんわりと樽のような香りが漂い、毎回ワクワクする。目の前には飲んだ事があるウイスキー、見た事ないウイスキー、気になってたウイスキー、次々にでてきて大人のディズニーランドですかここは。そのなかでも今日購入するウイスキーは決まっている。それは「ボウモア12年」だ。
ボウモアはスコットランドのアイラ島という場所で作られるウイスキーで、アイラ島はピート(シダやコケなどの野草が炭化したもの)が豊富な場所でもあり、ピートを焚いて乾燥させた大麦麦芽は「ピーテッドモルト」とも言われスモーキーな風味に仕上がる。それゆえにアイラ島で作られるウイスキーはスモーキーな風味が強く残るのが特徴。ボウモアはそのなかでも「アイラモルトの女王」とも呼ばれているウイスキーで、アイラ島でも最古のウイスキー蒸溜所だ。そして牡蠣にボウモアをほんの少し垂らして食べるのが逸品。それ以外でもハイボールにしてカキフライと合わせるのも最高です。
ボウモア12年を手にとり、他のウイスキーたちもチラチラと見ながらレジへ進む。酒屋のワクワクは高校生の時に入ったCDショップと同じようなワクワクがある。あれ買おうかなこれ買おうかなと楽しんでる時間は、あのころと何も変わらないのかもしれない。変わったのは肉付きがよくなった下っ腹と、酒で浮腫んだ顔面と、社会に揉まれて少しだけ図太くなった性格だ。
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