コーヒーで旅する日本/九州編|紆余曲折あって生まれる豊かなコーヒー体験。その日の気分、雰囲気で楽しむ「日曜日の昼さがり」
東京ウォーカー(全国版)
一期一会の味わいを大切に

そうやって2024年4月にオープンした「日曜日の昼さがり」。開業当初は北海道とのつながりを活かし、生乳からこだわったソフトクリームも出していたが、マシンが故障し、修理も困難なため、現在はコーヒーがメイン。

直火式の焙煎機で自家焙煎しており、基本的に深煎り、中煎り〜中深煎り、浅煎りと3種のシングルオリジンを準備。手書きのメニュー表に生産国は書かれているものの、豆の特徴やフレーバーなどは明記していないのが逆にこだわり。「そのときの気分で選べるように最初は挽いた粉を瓶に入れて、それを嗅いでもらって、好きなコーヒーを選んでいただいていました。逆に今は“どんなイメージで焙煎した”という思いを言葉にしてメニューに書き込んでいます。次に考えているのはさまざまな色で描いた絵画をお見せし、どの絵が今の気分に近いかでコーヒー豆を選んでもらうというやり方。ゆくゆくは3つのやり方をミックスして、より気分に合わせたコーヒーを楽しむ豆選びをご提案できたら」という丁子さん。焙煎度合いや生産国で選ぶのではなく、あくまで気分で選ぶという一期一会なスタイルは遊び心があっておもしろそうだ。

焙煎に際しては、どの豆もどれだけ生豆が持っている甘さを引き出せるかを重視し、さらに「抽出でお客さま一人ひとりの気分によりフィットできたら」と丁子さん。たとえば、同じ豆でもすっきりとしたテイストを強調したいなら挽き目は荒くし、湯温は低め。ガツンと特徴を出したいなら、その逆など、抽出で微妙な味わいの差をコントロールするようにしているという。「それがその方に100%フィットするというわけではないかもしれませんが、できる限り、この店、そのときしか味わえないようなコーヒー体験をご提供できたらと考えています」
季節感を大切にした大人なスイーツも

定休日などに直売所を巡り、地元の旬の食材に積極的に触れていくことも丁子さんが大切にしていること。その大きな理由は旬を感じられるスイーツを作るため。「大分は季節ごとに魅力的な食材がそろっていて、それらを使ってスイーツを作っています。お菓子作りは独学ですが、レシピを考えるうえで気をつけているのが、コーヒーだけじゃなく洋酒などとペアリングしても違和感がないかということ。スパイスやハーブをアクセントに加えるなど、大人っぽいテイストにしたいと考えています」と説明してくれた丁子さん。

この考え方で手作りされたスイーツが人気を集め、スイーツの店と思われることもしばしば。「お客さまにSNSで拡散いただき、ご来店いただけるのは本当にありがたいこと。今は店を知ってもらうきっかけがスイーツになっていますが、できればコーヒーの店、ロースタリーカフェと認知が広まってくれたらうれしい。オープンから丸1年を経て、今年は自身がもっと自由に動ける時間を少しでも増やしていけたらいいですね」と2年目の目標を語ってくれた。

丁子さんレコメンドのコーヒーショップは「Cafe 一雨」
「大分県別府市にある『Cafe 一雨』さん。別府に移住して、一人で何も考えずにゆっくりしたいときによく行っていました。一人の時間を全肯定してくれて、どんな過ごし方でも受け入れてくれる雰囲気は『一雨』さんならでは。自分と向き合う時間を作ってくれる大切な場所です」(丁子さん)
【日曜日の昼さがりのコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル直火式5キロ
●抽出/SCSブリューワー(KINTO)
●焙煎度合い/浅煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム850円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)
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