スターバックスのJIMOTO Made+新作は沖縄から。100年先をつなぐ、やちむんマグ

東京ウォーカー(全国版)

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100年後も職人が壺屋焼を焼き続けるために

陶眞窯の窯主は、大作さんの父・相馬正和さん。那覇市壺屋にある壺屋焼の窯元・育陶園で修行後、1975年に独立・開窯した。陶眞窯で作られる器は、形状から絵柄まですべて正和氏が必ず目を通し、大作さんが旗振りとなり30名近くいる職人たちが形にしていく。
「父はオーダーを断らない。泡盛の酒造メーカーからの大きな壺も、那覇市のさいおんスクエアとやちむん通りにある高さ3メートルを超える巨大なシーサーも。周囲が無理でしょうっていうものでも挑戦し、いろいろなものを作ることで技術を磨いてきた。今でも週に1回新作が上がってくるくらい、好奇心旺盛なんです。そしてもちろん職人気質でもある」

スターバックスのパートナーたちと談笑する窯主の正和氏


今回、スターバックスとのコラボを大作さんが決断したのは、そうした父親の気風を受け継いでいるからかもしれない。
「100年後も壺屋焼の窯元でありたい。壺屋焼のやちむんを、職人として、仕事として作っていられる環境を維持したい。Jimoto Made+は、そのためにできることのひとつ。やるべきだと思いました」と語る。

職人たちの手仕事を見つめるロースタリー東京のパートナーたち。陶眞窯では一般客の見学も受け入れている


伝統技法をベースに新しいアイデア、デザインを取り込んだ作品作りに取り組む陶眞窯のポリシーは「常に新しいものを」。真摯に壺屋焼に向き合うのはもちろん、工房見学を受け入れ、直売店や陶眞窯の器で食事ができるカフェも併設する。陶眞窯からは、独立していく職人も多い。大作さんは「ライバルを自分たちで増やしている」と冗談めかして言うが、陶眞窯から継承された技術や精神が、また誰かに受け継がれ、壺屋焼の100年後をつくっていくのだろう。

工房に併設された直売店


想いが共鳴し生まれた読谷マグ

「JIMOTO Made+」は日本の工芸・産業を次の世代に残すため、商品の背景にある文化、職人の情熱や技術をロースタリー 東京から全国へ発信していきたいという想いが込められている。陶眞窯の精神とスターバックスのこの想いが共鳴し、読谷マグは生まれた。

「コンセプトに共感できたこと、伝統工芸の問題点などをしっかり理解してくださっていること、それをスターバックスという大きな企業がアクションを起こしていることに感銘を受けた」と大作さんは振り返る。
読谷マグを共に作り上げた、スターバックスの商品本部マーチャンダイジング部・堀口さんも、その言葉に大きくうなずく。
「初めてお会いした時、大作さんは言葉数こそ少ないですが、表情や視線から、こちらの想いに共感してくださっていることがわかり、一緒に前を向いて頑張っていけると思いました」

読谷マグの木箱には、壺屋焼と陶眞窯の説明が添えられている。壺屋焼がどういうものかを広く伝える機会ができたことを喜ぶ大作さんのようすに、「私たちのやりたいことを咀嚼して応えてくださったのは、壺屋焼全体の未来を考える大作さんや、そうした陶眞窯の理念があるからなのだと思います」と、堀口さんは敬意を表す。

読谷マグには、陶眞窯とロースタリー東京のロゴが入っている


また、若手の職人が多く活気のある工房のようすに、スターバックスのパートナーたちが重なるところもあるという。
「大作さんがスタッフを大事にしていることを言葉の節々からも感じます。いつ訪れても職人さんたちの雰囲気がよく、そうした温かさが商品にもにじみ出ていますよね。いい意味で、分業でつないでいきながらひとつのものを作っていることが、従業員のつながりを作っているんだなと感じます」

蔦を伸ばす唐草模様のように、職人から職人へ、人から人へ、壺屋焼の未来はつながっていく。

ロースタリー東京のほか、村内にある「スターバックス コーヒー 読谷店」のパートナーらも一緒に工房を見学し、絵付け体験も行った。沖縄にはほかに、リージョナル ランドマーク ストアである本部町店などもある

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