コーヒーで旅する日本/九州編|不思議とポジティブな気持ちにさせてくれる1杯。「SAFARI COFFEE ROASTER」が地域で愛される理由

東京ウォーカー(全国版)

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外観からでも焙煎機があることがわかる

ちなみに秋吉さんはもともと自動車関係の仕事に従事し、整備士の資格も持っている。焙煎機と自動車・バイクのエンジンの燃焼の考え方はとてもよく似ているそうで、特に燃料が完全に燃焼するために必要な空気と燃料の比率を指す、理論空燃比はロースターとなった今も、よりよい焙煎を考えるうえでの土台になっているという。

「焙煎をした結果を、自動車やバイクのエンジンの状態・セッティングに当てはめてみて、じゃあ次は生豆の投入温度を少しだけ変えてみよう、ガス圧をもう少し下げてみようという感じでトライ・アンド・エラーを繰り返しています。セッティングを変えると確実に結果に表れるという点は車やバイクとよく似ている」と秋吉さん。

全く畑違いの業種でも実は考え方自体は似ていることがある。そういうことは確かに多いかもしれないし、どんな経験も無駄にならない。むしろ、時と場合によっては、過去の経験や考え方が期せずして活かされるということが往々にしてあるということだろう。

大分市の店舗は今後、豆売りに特化したスタイルに変えていく予定

そうやって焙煎されたコーヒーは時期によって変わるシングルオリジン7〜8種、ハウスブレンド1種というラインナップ。中でも取材時に注文したグアテマラ ラ・タシータ農園の2024年のカップ・オブ・エクセレンス7位は大変バランスがよく、最初から最後までとにかくクリーンでジューシー!フレーバー、口当たりも素晴らしく、秋吉さんが表現したいクリーンカップ、マウスフィールのよさをしっかりと感じられる1杯だった。しかもイートインの価格は1杯700円とリーズナブル。COE上位の、こんなクオリティの高いコーヒーに日常的に触れられるのは、大分市という街においてコーヒーカルチャーが成熟している証だと感じられた。

外に出ていくために、これから

【写真】立地はもちろん内装にもこだわった中津店。アンティーク家具を活用したカウンターがかっこいい

そんな同店は2023年7月に2店舗目となる「SAFARI COFFEE ROASTER NAKATSU」を大分県中津市にオープンさせた。もともと秋吉さんは宇佐市出身で、同じ県北に位置する中津市でコーヒーショップを開くのが長年の夢だったそうで、念願かなっての中津市出店だ。

中津店はカフェ利用にも力を入れる。ドリップコーヒー(600円〜)とバスクチーズケーキ(400円)

目下の目標は、コーヒーを飲む文化がまだまだ根付いていない大分県北にて、品質のよいコーヒーのおいしさ、魅力を味わいを通して広めること。これは2016年に大分市に1号店を開いたときと同じ状況だ。ただ、中津店を開いて、秋吉さんの中で新たな目標や展望も生まれてきたという。

「日々の暮らしの中に、ふと心がほどけるような一杯を。そんなコーヒーをお届けしたいという思いはずっと変わりません。いつか、自分たちのコーヒーが誰かの日常の楽しみになったり、遠く離れた場所でも『おいしい』と感じていただけたら、それがささやかな夢です。そしていつか、もっと多くの方に当店のコーヒーを知っていただけるよう、できる範囲で挑戦もしていければと思っています」と語る秋吉さん。

店舗、焙煎を任せることができるスタッフを育てていきたいと話す

最後にロースタリーを営む代表としてこう締めくくった。

「僕が店を開いたころは大分県内に数店舗しかなかったロースターですが、今は僕が知っているだけでも20軒近くとだいぶ増えてきました。大分においてそれだけコーヒーが身近なものになったと捉えられる一方、今までと同じことを続けていてはいけないと考えています。今やらねばならないことは、もっと外に向けて発信していくこと。そのために僕がもっと自由に動けるような環境を整えていこうと考えていて、まずは店舗はもちろん焙煎も任せられるスタッフをしっかりと育てていきたい。そして、SAFARIという店が好き、とりあえずSAFARIに行っておけば間違いなくおいしいコーヒーが飲める。そんな風にお店のファンを定着させていきたいと考えています」

秋吉さんレコメンドのコーヒーショップは「THE DRINK」

「大分県中津市にある『THE DRINK』の下畑さんをおすすめします。下畑さんは中津市を拠点にしているバーテンダーですが、全国的なコンペティションにエントリーし、優勝、準優勝など輝かしい成績を多く残しているすごい人。まもなくオープンする下畑さんのバーにも期待しています」(秋吉さん)

【SAFARI COFFEE ROASTERのコーヒーデータ】
●焙煎機/PROBAT L12
●抽出/ハンドドリップ(カリタ ウェーブ)
●焙煎度合い/浅煎り〜中深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム840円〜


取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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