なぜ、今?江崎グリコの「ポッキーチョコレート」が10年ぶりにリニューアルした理由

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

グリコのポッキーと言えば、昭和世代から令和世代まで、誰もが知るロングセラー商品。販売から60年目を迎え、「ポッキーチョコレート」と「ポッキー極細」の2品をリニューアルした。なぜ、このタイミングでリニューアルをしたのか。「ポッキー」ブランドのほかの商品はどうなるのか。江崎グリコ株式会社 グローバルブランド事業部 Pockyマーケティンググループ 鈴木葵さんに話を聞いた。

「ポッキーチョコレート」と「ポッキー極細」をリニューアル


世界で初めてのスティック状チョコレート

【写真】1966年の誕生以来、パッケージもリニューアルを繰り返してきた

1966年の誕生以来、子どもから大人まで幅広く愛されているポッキーだが、誕生当時の1960年代は日本でチョコレートと言えば板チョコが全盛の時代で、“チョコスナック”というジャンルは一般的ではなかった。ただ、「欧米ではすでにスナック感覚で食べられるライトなチョコの人気が高まっていました。そんななかで江崎グリコでは新たなチョコスナックの開発を試みていました。その当時、ヒット商品だった『プリッツ』にチョコレートをコーティングするというアイデアをもとに新商品の開発に着手しました」と鈴木さん。

江崎グリコ株式会社 グローバルブランド事業部 Pockyマーケティンググループ 鈴木葵さん

プリッツはスティック状で持ちやすく、家族や友達同士など集まった人たちで分け合いながら食べられるという、気軽でユニークな食べ方が支持されていた。これにチョコレートを合わせたらおいしいということは容易に想像できたが、実現させるには思わぬハードルがあったという。「プリッツ全体にチョコをかけてしまうと、手で持ったときに汚れてしまいます。その対策として最初は銀紙で1本ずつ巻くという案が出ました。しかし、生産効率やコスト面で考えると現実的ではなく、振り出しに。いろいろとアイデアを出していく中で、開発チームのひとりがプリッツ全体にチョコをかけなくてもいいのでは?と思い、“持つところ”のある、現在のポッキーの原型が誕生しました」と鈴木さん。これが「世界で初めてのスティック状チョコレート」として発売され、たちまち話題となった。

以降、常に生活の中に溶け込むように、日々のおやつや遠足、行楽のお供、パーティーといった人が集まるシーンなど、さまざまな場にポッキーがあった。誰もが知るロングセラー商品だが、実はこれまでに何度もリニューアルを続けていた。

「時代の流れや消費者のニーズに合わせて、パッケージデザインや原材料の配合などの見直しを行ってきました。リニューアルは、より多くのお客様に手に取っていただくための戦略的なタイミングで、実際に寄せられたお客様の声をもとに商品をさらによくするために行っています」(鈴木さん)

発売から今まで時代に合わせたリニューアルを繰り返してきた

年代によって一緒に過ごした「ポッキーチョコレート」も違う

そして、誕生から59年を迎えた2025年、定番の赤箱の「ポッキーチョコレート」と「ポッキー極細」が10年ぶりのリニューアルを行った。約60年というロングセラー商品で、身近な存在だが、鈴木さんいわく「これからも末永く愛される存在であり続けるために」、時代に合ったポッキーを提供し続ける必要があるという。

「『Share happiness!~分かち合うって、いいね~』というスローガンのもと、分け合うことで生まれる前向きな気持ちを、より多くの方に届けたいと考えています。今回のリニューアルでは瞬間的な楽しさだけでなく、世代や背景を問わず、誰もが気兼ねなく分かち合えるような、持続可能な『Share happiness!』のかたちを目指しました」(鈴木さん)

使用する素材を見直してよりシンプルな設計になった「ポッキーチョコレート」

また、近年では「安心して選べる商品」への関心が高まっているという。そこで「ポッキーのあり方を見つめ直し、素材一つひとつから丁寧に見直す取り組みを進めてきました。数百回に及ぶ試作を繰り返し、お客様の受容性を丁寧に確認し、自信を持ってお届けできる準備が整ったこのタイミングで、リニューアルにいたりました」と鈴木さん。

ポッキーブランドにはいくつかのフレーバーがあるが、今回リニューアルされたのは「ポッキーチョコレート」と「ポッキー極細」に絞られている。

「まずはブランドの中心である2品のリニューアルを行うことで、ポッキーブランドとしての基本姿勢を示すことにつながると考えています。定番商品だからこそ、時代の変化に合わせて見直すことで、ブランド全体の価値や信頼を高めていくことができると捉えています」(鈴木さん)

原料となる素材を見直し、数百回もの試作を実施

チョコレート(左)と原料のカカオマス(右)

具体的には、チョコレートに使用するカカオとチョコレートが引き立つようにプレッツェルの素材の見直しを行った。カカオ豆は原産国や同じ国でも地域によって風味が異なる。さまざまな産地の異なる特徴を持ったカカオ豆を30種以上取り寄せ、新しいポッキーに合うものを厳選。「最終的にアマゾン熱帯雨林のカカオ農園に赴き、乾燥や発酵工程も確認することで、より品質のいいカカオ豆にたどり着きました」と鈴木さん。焙煎温度も1度単位で調整し、カカオマスの粒度、加工方法にもこだわり、さらにカカオマスの一部を分割投入することで香気成分の揮発を防ぐ「追いマス製法」を採用し、カカオの風味をしっかりと感じられるように進化させた。

「新しいポッキーはシナモンのようなスパイシーな風味があり、フローラルでフルーティーな香りも兼ね備えたカカオなど複数のカカオをブレンドすることで、より香り高くコク深いチョコレートの風味を実現しました」(鈴木さん)

実際にカカオ農園で確認したカカオ

コク深いチョコレートの味わいを引き立てるため、プレッツェルも進化。ポッキーチョコレートでは国産全粒粉や発酵バター(ともに原材料の一部として使用)を新たに使用することで、「食感がよく、香ばしい味わいのプレッツェルになりました」と鈴木さん。小麦やバターだけでなく、砂糖も複数種使用するなど、素材を見直して数百回もの試作検証を繰り返し、プレッツェルとしてのおいしさと、チョコレートの風味を引き立てる味わいを両立させる、新たなプレッツェルを誕生させた。

「ポッキーチョコレート」と合わせてリニューアルした「ポッキー極細」

今回のリニューアルではポッキーブランドの中核となる2品が対象だったが、いちごや抹茶などほかのポッキーもリニューアルしていくのだろうか。せっかく新たにおいしさを追求して誕生したプレッツェルをほかのフレーバーに使用することも考えられそうだが、「ポッキーは商品ごとに最適な、全く配合の異なるプレッツェルを使用しているため、今回リニューアルしたプレッツェルの配合をそのままほかの商品に展開する予定はありません」と鈴木さん。ポッキーの数だけこだわりが異なるというわけだ。

しかし、「今回のリニューアルで、素材一つひとつと丁寧に向き合いながら試行錯誤を重ねたことで、多くの知見が得られました。これらの知見は、今後、他商品のリニューアルを検討する際に活かしていきたいと考えています」と鈴木さんは続けた。

味わいやレシピを変えず、受け継がれてきたものを長く販売するロングセラーもあれば、ポッキーのように時代やニーズに合わせて進化しながら販売し続けるロングセラーもある。いつもそばにいたポッキーの進化を感じるべく、新しくなったポッキーを味わってみてはいかがだろう。

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

この記事の画像一覧(全8枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

紅葉特集2023

紅葉特集 2025

全国約1100カ所の紅葉スポットを見頃情報つきでご紹介!9月下旬からは紅葉名所の色付き情報を毎日更新でお届け。人気ランキングも要チェック!

CHECK!全国の紅葉名所人気ランキングはこちら

イルミネーション特集

イルミネーション特集

全国約700カ所のイルミネーションを、エリアやカレンダーから探せる完全ガイド!クリスマスマーケット情報も!

CHECK!全国の人気ランキングをチェック!

東京人気ランキングも要チェック!

おでかけ特集

今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け

アウトドア特集

アウトドア特集

キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介

ページ上部へ戻る