佐藤流司「20代のころは少し生き急ぎすぎていたのかも」30代での次なる挑戦について語る
東京ウォーカー(全国版)
さまざまな舞台や映像作品で活躍を続ける佐藤流司さん。“2.5次元俳優”の最前線を走り続ける彼が、次に挑戦する舞台は“詩楽劇”だ。
“詩楽劇”とは、日本の伝統芸能を基に、詩(文学)、音楽、舞踊、芝居、語りなどの要素を融合させた舞台。2025年12月29日(月)から上演されるJ-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』に挑む佐藤さんに、作品への意気込みや日本文化への思い、さらに30歳を迎えて感じたことや今後の展望を聞いた。
経験の深さが芝居に活かされる
――これまで数々のステージに立たれてきましたが、「詩楽劇」は初挑戦になりますね。最初にお話を聞いたときのお気持ちを教えてください。
【佐藤流司】「なぜ自分にこのお話をいただけたんだろう?」というのが率直な気持ちです。きっとそれは、実際に演じてみないとわからない部分もあると思っていますし、期待に応えられるよう頑張りたいです。
――では、その意味をこれから見つけていくと。
【佐藤流司】そうですね。歌舞伎の荒事(あらごと)などが取り入れられている作品に関わるのは初めてなので、新しい挑戦として臨みたいです。
――台本を読まれた感想はいかがでしたか?
【佐藤流司】コンセプトがとても素晴らしいと思いました。神職による修祓(しゅばつ)の導入に始まり、日本の伝統的な要素もありつつ、伝統芸能にあまりなじみのない方でも楽しみやすい内容になっています。幅広い方々に響く作品だと感じました。
――日本の芸能というところで、ジャパニーズポップを扱う音楽パフォーマンスユニット「ZIPANG OPERA」で活動されていることと通じる部分もあるのかな?と思ったのですが、いかがでしょう。
【佐藤流司】実は、その点についてはあまり意識していません。2024年の初めに「これまで経験していないことに挑戦しよう」と決めていて、今回もそのひとつだと思っています。経験が自分の礎となり、すべての仕事が自身に活かされると感じています。
――昨年掲げた「新しい挑戦」という目標は、ほかにはどんな形で叶いましたか?
【佐藤流司】脚本や演出にチャレンジしたり、声の仕事に取り組んだり、久しぶりに写真集を出したり、ファンイベントを開催したりと、新しい経験をたくさん積むことができた1年だったと思います。
――そうした経験が演技にもつながっているのでしょうか?
【佐藤流司】やはり、これまで積んできた経験は芝居にも活かされると思います。さまざまなことを知っている人ほど、演技に深みが出るものだと感じています。
――最近、特にそう感じた俳優の方はいらっしゃいますか?
【佐藤流司】北大路欣也さんです。お芝居のレベルが桁違いで、圧倒されました。
和の要素には自然と影響を受けてきた
――今回演じる瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)はどんな印象ですか?
【佐藤流司】少しコミカルな描かれ方をしている部分もあるので、そこをうまく表現したいですね。緩急を大事にして演じたいと思っています。
――衣裳を着た感想はいかがですか?
【佐藤流司】重いです(笑)。でも、重さだけじゃなく、昔の装束には人の思いや手間が込められているのだと感じました。身が引き締まる思いです。
――ちなみに、佐藤さんご自身が日本文化で影響を受けたものがあれば教えてください。
【佐藤流司】漫画やアニメですね。私の中ではそれが一番身近な日本文化です。刀を扱う舞台作品に出演するなど、和の要素に触れる機会が多かったこともあり、自然と影響を受けていると思います。
――世に起きる変化を描くあらすじも見どころのひとつですが、俳優人生を振り返って、大きな変化や影響を受けた出来事を教えていただきたいです。
【佐藤流司】最近では、東京ドームのステージに立ったことが印象的です。あの経験は本当に貴重でした。ただ、会場が広すぎて、逆に感覚が麻痺してしまうというか(笑)。むしろ、200〜300人規模の劇場の方が観客の表情がよく見えて、かえってプレッシャーが大きいです。
――では、そういった意味で印象に残っている劇場はありますか?
【佐藤流司】今はもうなくなってしまいましたが、青山円形劇場ですね。360度お客様が囲む空間で、背中にも誰かの視線を感じる。あのヒリヒリする緊張感はいまだに忘れられません。
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